2010年07月11日 七夕賞 G3
優勝馬:ドモナラズ
プロフィール
- 生年月日
- 2005年01月09日 05歳
- 性別/毛色
- 牡/栗毛
- 戦績
- 国内:27戦6勝
- 総収得賞金
- 118,698,000円
- 母 (母父)
- アンプルカット by ナリタハヤブサ
- 馬主
- 小田切 有一
- 生産者
- 下河辺牧場 (門別)
- 調教師
- 音無 秀孝
- 騎手
- 柴田 善臣
夏の福島開催を締めくくる第46回七夕賞(G3)は、ハンデ戦らしい横一線となったゴール前、11番人気ドモナラズが軽ハンデを生かし、大外豪快に突き抜けて重賞初勝利を飾った。
ドモナラズは日高町・下河辺牧場の生産馬。レース当日、下河辺行雄さんをはじめとする牧場スタッフは、セレクトセール1歳に上場する前日展示のためノーザンホースパークにいた。
「ドモナラズは4度目の重賞挑戦になりますが、なぜかこれまで一度も現地で応援できたことがないんです」と行雄さん。
今回も現地へ行くことはできず、合間を縫ってせり会場に設置されているモニターでの観戦となった。同レースの1番人気、サンライズベガも生産馬。人気を背負っているだけに期待度はこちらの方が高く、ドモナラズには掲示板くらいあれば…という思いでレースを見守っていたそうだ。
「ドモナラズが団子状態を抜けて先頭でゴールした時には嬉しさよりも驚きの方が先行しましたけどね。サンライズベガも3着に来てくれて、翌日からはじまるせりに向けてパワーをもらいました」
ドモナラズは2005年1月9日、その年はじめての子馬として産声をあげた。母アンプルカットは初産ながら何のトラブルもなく、しかも牡馬。幸先の良いお産シーズンのスタートだった。
「05 年産下河辺牧場の“長男”ですからね。生まれた日のことは良く覚えていますが、それ以降は特に人間の手を煩わせることもなく、扱い易い素直な子馬でした。アンプルカットは毛色は違えど父のナリタハヤブサに顔付きがそっくりで、子馬も母似。その頃にはもうナリタハヤブサは亡くなっていたんですが、成長とともに母の父を思わせる雰囲気になってきて…ここに生きてるんだなと感じました」と繁殖スタッフは感慨無量な面持ちだった。
ドモナラズ誕生のエピソードは、2代母のギヤラントミシーにまで遡る。ギャラントミシーは行雄さんの祖父で下河辺牧場の創設者、下河辺孫一氏が導入した繁殖牝馬。
「ギャラントミシーの産駒たちは派手な勝ち鞍はないものの、コンスタントに走って牧場を支えてくれました。最後の種付けに生産馬のナリタハヤブサを選んだのは、やはり祖父の“夢の結晶”だったのだと思います」。
次々に ダートレースのレコードタイムを塗り替え、その年に種牡馬入りしたナリタハヤブサもまた、牧場創世記から脈々と受け継がれて来た縁の血統。ドモナラズの母 アンプルカットは、7年間種牡馬生活を送ったナリタハヤブサ産駒の中で、中央デビューを果たした数少ない1頭だった。
3勝をあげ、牧場に帰って来たアンプルカットに、行雄さんは「最優秀ダート馬の父、そしてアンプルカットもダートで好走していましたから、やはりダートに秀でた馬を意識してアフリートをつけました。でも芝で走るんですから、馬は走ってみないとわからないね」と苦笑い。
ギヤラントミシー導入から29年。長い時間を経て開花をはじめたこの牝系に、今は亡き孫一氏も目を細めていることだろう。