重賞ウィナーレポート

2010年07月04日 ラジオNIKKEI賞 G3

2010年07月04日 福島競馬場 曇 良 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:アロマカフェ

プロフィール

生年月日
2007年03月09日 03歳
性別/毛色
牡/黒鹿毛
戦績
国内:8戦3勝
総収得賞金
184,355,000円
マンハッタンカフェ
母 (母父)
カリーノカフェ  by  ハートレイク(GB)
馬主
西川 光一
生産者
浜口牧場 (新冠)
調教師
小島 太
騎手
柴田 善臣
  • 重厚な木の看板
    重厚な木の看板
  • 母カリーノカフェと当歳(牡)
    母カリーノカフェと当歳(牡)
  • ブラックタイドを受胎
    ブラックタイドを受胎
  • 当歳の父はサクラプレジデント
    当歳の父はサクラプレジデント

 第59回ラジオNIKKEI賞(G3)は、残り200mでアロマカフェが抜け出すと、猛追してくるクォークスターをクビ差凌ぎきり、嬉しい重賞初勝利をあげた。この勝利は、戦前から続く老舗牧場にとっても初の重賞制覇となった。 

 アロマカフェを生産したのは新冠町の中心部、サラブレッド銀座に門を構える浜口牧場。3代目となる代表の浜口洋子さんと、獣医師でもある息子の英也さん、美紀子さんご夫婦の3人で繁殖牝馬10頭を繋養している。

 当日は英也さんが現地で応援する予定だったが、飛行機の予約が取れず断念。家族揃ってテレビ観戦となった。

 「最終的には3番人気になりましたが、プレッシャーもなく、いいレースをしてくれれば良いな、くらいの気楽な感じで見ていました。4コーナー回っていい位置に付けていたときは、いつもの脚を使えば勝てる!と確信して力が入りましたよ。福島の短い直線で、ゴールがあれほど遠く感じたことはありませんでした」かつて“残念ダービー”と呼ばれていた同レースも今は昔。秋のクラシック戦線を占う上で重要なレースとなっているだけに、英也さんは「菊花賞には行きたいですね」と笑顔を見せた。 

 アロマカフェの母、カリーノカフェは、4年前に別の牧場から移動して来た。お腹の中にはのちのアロマカフェとなるマンハッタンカフェの子供を宿していた。

 「今は年をとったからなのか、環境に慣れたからなのかだいぶ気性も落ち着いてきましたけど、来た当初は齧るし蹴るしで油断ならない状態だったんですよ」と言う洋子さんの口ぶりから、相当なお転婆娘だったことが想像できる。同様に、英也さんも迫って来る出産に不安を感じていた。「出産中に馬房に入って大丈夫かとか、産後子供を触らせてくれるかなどなど心配事は尽きませんでしたが、いざお産となったら安産だったし、すんなり子供も触らせたのでほっとしました」と振り返る。人間の不安をよそに、生まれた子馬は父母の特長だけを貰ったような見栄えのする、美しい馬だった。

 「いかにも父の産駒という感じで、スラッと長い脚に柔らかい筋肉を持っていました。体の線が奇麗なカリーノカフェの影響も受けてシャープな印象でしたね。成長途中で体高ばかりが伸びてしまって、体を作りたいけど脚元が気になって、どうすればいいのかと悩んだこともありました。今となってはいい思い出で、アロマカフェには勉強させて貰いましたよ」と英也さんは清々しい笑顔で話してくれた。

 スプリングS(G2)6着、青葉賞(G2)4着と、あと少しのところで叶わなかった春のクラシック出走。確実に力を付け、最後の一冠行きの切符を手に入れたアロマカフェの走りに期待は高まるばかりだ。