重賞ウィナーレポート

2005年03月20日 スプリングS G2

2005年03月20日 中山競馬場 曇 良 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ダンスインザモア

プロフィール

生年月日
2002年05月03日 03歳
性別/毛色
牡/黒鹿毛
戦績
国内:4戦3勝
総収得賞金
208,139,000円
ダンスインザダーク
母 (母父)
スーパーリヴリア  by  リヴリア(USA)
馬主
木浪 巖
生産者
西川富岡牧場 (静内)
調教師
相沢 郁
騎手
蛯名 正義
  • 母スーパーリヴリアと当歳の半妹
    母スーパーリヴリアと当歳の半妹
  • 母スーパーリヴリアと当歳の半妹
    母スーパーリヴリアと当歳の半妹
  • 社長の高岡京子夫人とスタッフの根来君
    社長の高岡京子夫人とスタッフの根来君
 本馬のふるさとは静内町西川の西川冨岡牧場。東静内の町から捫別川沿いに山に向かい奥の方に位置しており、社長の冨岡京子さんとスタッフ2名で16頭の繁殖牝馬を繋用している。前評判の高かった強豪たちを押し切ってクラシック戦線へ名乗り出た本馬の初重賞制覇は、同牧場にとっても初めての重賞勝ちで、その喜びはとても大きいが、喜びの内情には奥深いものがあった。

 今の時期、生産農家は出産・種付けと忙しい。京子さんも愛馬の出産が続く中、布団で寝ていられない日々を送っており、今回の大事なレースは、仕事の合間に、小学2年生の娘さんとふたりで自宅のテレビで応援したという。「まさかと思っていましたが、よく勝ってくれましたね。なかなか信じられませんでした。娘も一生懸命応援して、勝ったら凄く喜んでくれましたよ」と深い笑みを浮かべる。
 本馬を生産したのは、ご主人の一義さんだが、2年前に不慮の不幸に遭い他界された。京子さんは「私は手伝い程度でしたから、馬のことはよく判らないし、迷ったのですが、主人の夢が残っていましたし、皆さんに“私が続ける”と言ってしまいました」と当時を振り返る。それから苦労が続いた事になるが、「“恥”というのは考えられなかった」と京子さんは、ご両親、ご近所の方、獣医さんと判らないことを聴きまくり、ご主人の忘れ形見の本馬を力の糧として生産活動に取り組んできたそうだ。また堆肥の改良、餌の選択など強い競走馬つくりにも意欲的に学んだ。「馬って可愛いですよ。ほんとの自分の子供のように思えてくるのです。でも娘には相手をしてあげる時間が無く、一時は悩みましたね」と主婦の一面を覗かせる。

 本馬は幼駒のころ、父ダンスインザダークの名前から“ダーク君”と呼ばれたそうで、母親似のおとなしい仔だったという。母のスーパーリヴリア(母の父リヴリア)は新冠町産で2000年に同牧場に繁殖入りしている。本馬は第7仔となるが、半姉の4歳ウッドリリー(父ジェニュイン)が現役馬として活躍中。半妹の2歳(父タイキブリザード)も入厩の様子で、早ければ年内にデビューしそうだ。現在、牧場には生まれたばかりの当歳の半妹(父メジロライアン)が母親に付き添っているが、足が長くバランスも良さそうだという。今年の配合は馬主(木浪 巌氏)と相談の上、迷わずダンスインザダークを選び受胎確認中とのことで楽しみは続く。

 「(本馬が)勝って、馬主さんが喜んでくれたことが何より嬉しいですね」という京子さんだが、ご主人の時代から長いお付き合いがあり、苦労を知る木浪氏には、本馬の快挙に直ぐ労いの電話を頂き、皐月賞へのお誘いを頂いたそうだ。
 当日は、中山競馬場で本馬を応援する富岡親娘の姿がありそうだ。そしてこの1日だけは、娘さんが母親を独占できる時となる。そして本馬がコマを進めて無事にダービー出走となれば、ご主人の夢を果たせる。是非、本馬への応援をお願いします。皐月賞の最終トライアル、第54回スプリングS(GII)は、5番人気でダンスインザダーク産駒の新星・ダンスインザモアが、後方から直線で馬群を割って鋭く突き抜けて優勝。デビュー4戦目で一躍クラシック戦線の有力候補に名乗りを上げた。