前哨戦となる毎日王冠(G2)を快勝。もし、カンパニーが8歳馬でなかったとするなら、この天皇賞(秋) (G1)で5番人気という低い評価を与えられることは無かったはずだ。

　「毎日王冠ではウオッカを目標に競馬をして、ゴール前で差しきることができましたが、1ハロン伸びる天皇賞(秋)ではまた、違ったレースになるのではとの思いもありました」とノーザンファームの中尾義信さんは、年齢だけではない評価となったファンの心情も代弁する。

　これで天皇賞(秋)(G1)には4度目の挑戦。5歳時には16着に敗れてはいるが、6歳時には3着、7歳を迎えた昨年も4着と相性のいいレースでもある。

　「今回はパドックを見ていても、馬の出来が素晴らしかったですね。また、内枠に入れたこともレースを進める上では良かったのではないかと思います」（中尾さん）

　これまでのレースでは後方一気の末脚を決め手としていたカンパニーではあったが、最近では好位差しや先行抜けだしと、展開に応じて様々な競馬ができるようになっていた。この天皇賞(秋)(G1)では9番手でレースを進めると、直線に入ってからの3ハロンで、32秒9という爆発的な末脚を披露。あっという間に先頭に躍り出たとき、他の出走馬17頭についてこられる馬はいなかった。

　「厩舎での養い、そしてここまで大事に馬を使ってくれたオーナーと、様々な方の思いが、この結果に繋がったのだと思います。また8歳でのG1ホース誕生となったことは、生産、育成を手がける我々としても励みになっただけでなく、今後の目標にもなりました」（中尾さん）

　これでノーザンファームは今年、中央競馬で行われたG1レースを5勝(Jpn1を含む)。この後のG1レースにおいても有力馬が控えており、更にその数を積み上げていく可能性は高い。そしてカンパニーもマイルCS(G1)への挑戦が陣営から発表された。

　「天皇賞馬のマイルCS参戦ということとなりましたが、マイルのスペシャリストたちとどんなレースを見せてくれるかということで、レース的にも面白くなったのではないでしょうか」と中尾さん。この取材の前にはJBCスプリントでは育成馬のスーニが、そしてJBCクラシックでは生産、育成馬のヴァーミリアンが優勝。勢いに乗ってきたノーザンファームの関係馬から、今後も目が離せそうに無い。