重賞ウィナーレポート

2005年07月03日 函館スプリントS G3

2005年07月03日 函館競馬場 晴 良 芝 1200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:シーイズトウショウ

プロフィール

生年月日
2000年04月02日 05歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:25戦5勝
総収得賞金
504,499,000円
サクラバクシンオー
母 (母父)
ジェーントウショウ  by  トウショウフリート
馬主
トウショウ産業 (株)
生産者
トウショウ牧場 (静内)
調教師
鶴留 明雄
騎手
池添 謙一
  • ▲シーイズトウショウの半弟
    ▲シーイズトウショウの半弟
  • ▲母ジェーントウショウ
    ▲母ジェーントウショウ
  • ▲トウショウボーイの墓(手前)の前に、コーニストウショウとサマンサトウショウの骨壺が並ぶ。(奥はソシアルバターフライの墓)
    ▲トウショウボーイの墓(手前)の前に、コーニストウショウとサマンサトウショウの骨壺が並ぶ。(奥はソシアルバターフライの墓)
本馬のふるさと、静内町・東別のトウショウ牧場は、前週のスイープトウショウ(宝塚記念)に続く生産馬の快挙に沸き立つ。

レース当日は、同牧場の志村場長夫妻とスタッフとで函館競馬場まで応援に駆けつけたそうだ。「鶴留先生が自信を持っていましたからレースが楽しみでした。4角で2番手につけていた時に、勝てると思いましたよ。体重が増えているのに、前年より勝ち時計がコンマ4秒早かったですから、また成長したという事でしょう」と志村場長は落ち着いた笑顔を見せる。
本馬は昨年の同レース優勝以降、G戦線で惜敗が続いていたが、場長は「成績が芳しくなくて、一時は繁殖に戻すことも考えました。鶴留先生が休養を勧めてくれ、小牧温泉で調子の悪い所も完治しました。休養明けの谷川岳(2走前のオープン戦)で、いい走りを見せて、前走(TV愛知杯)ではレコード勝ちしましたからね」と本馬の殊勲が嬉しそう。
今後の活躍に期待も膨らむが「復調してくれたので、出来たら良馬場でのGⅠ戦に臨んでもらいたいですね。まずは秋のスプリンターズSでしょうか。明日(7日)牧場に戻ってきて、レースに備えます」と、愛馬の帰場が待ち遠しい様子。

本馬の母ジェーントウショウは、近くの分場にいるが、昨年より少しふっくらとして、元気にしていた。今年2月に産まれた初めての男の仔(父コロナドズクエスト)と一緒だったが、この仔が大変なヤンチャ者。スタッフのジャンパーをかじったりして落ち着かないが、人懐こい仔でスタッフも可愛くてたまらない様子だ。「父親譲りの大きくガッシリとした馬格」(志村場長)と言うように、牧場の期待も大きい。
本馬は第Ⅰ仔だが、半妹の3歳スカイトウショウ(父ハウスバスター)は中央にデビューして4戦を経て、繁殖に上がっている。また半妹の2歳(父ジェニュイン)は入厩に向け後期育成中、順調に行けば年内のデビューとなる。

祖父トウショウフリート(祖父の父トウショウペガサス)は、スピードのある馬で天皇賞を狙えるほどの期待馬だったが、故障で種牡馬に。「3代母にソシアルバターフライの近親配合を試験的に試みた」(志村場長)という配合のギャンブルに成功したようだ。 一方祖母コーニストウショウは3代母に名牝シラオキを肌に入れる血統後継馬で、本馬は、将来、同牧場の代表後継馬としての役目を持つ。

本馬とGⅠ馬スイープトウショウの血統の接点は、当時“日高三大名牝”で表彰されたという、ソシアルバターフライ(代表産駒トウショウボーイ)となるが、「先代の場長が、繁殖牝馬の輸入解禁された年に、米国の西海岸の牧場を探し回り導入した馬です。残念ながら私が赴任した年に亡くなりましたが、近づき寄れない(威光を持った)雰囲気の馬でした」と振り返る。
両活躍馬の祖母達であるコーニストウショウとサマンサトウショウは、この春死亡した。志村場長は「コーニスの亭主がトウショウボーイ(同馬の間に活躍馬が多い)で、サマンサのお父さんにもなるので、ふたりの骨壷をトウショウボーイの墓に置いてあげています。そのうちに横に埋めてあげますよ」と両馬を弔う。

同牧場は、オーナーブリーダーならではの、競走馬づくりを展開しているが、名門牧場の完全復活に、これからも“トウショウ”の名がレースをさらに楽しませてくれそうだ。第12回函館スプリントS(GIII)は、2番人気のシーイズトウショウ(牝5歳、父サクラバクシンオー)が道中2番手から直線で楽に抜け出して優勝した。重賞3勝目、昨年に続く函館スプリントS連覇となった。