重賞ウィナーレポート

2006年04月30日 天皇賞(春) G1

2006年04月30日 京都競馬場 晴 良 芝 3200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ディープインパクト

プロフィール

生年月日
2002年03月25日 04歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:10戦9勝
総収得賞金
1,454,551,000円
馬主
金子真人ホールディングス (株)
生産者
ノーザンファーム (早来)
調教師
池江 泰郎
騎手
武 豊
  • ノーザンファーム
    ノーザンファーム
 まさに次元の違う走りだった。文筆業を生業としている者としては申し訳ないが、ディープインパクトの凄さは文字で表すよりも、実際にレースを見てもらった方がいい。例えば、この天皇賞・春のように。

「強いて言うなら馬が違いましたね。私たちの牧場からは2着に入着したリンカーンも出走していたのですが、横山(典)乗騎手が完璧に騎乗して、リンカーン自身も従来のレコードを縮めているにもかかわらず、ディープインパクトがそれ以上の競馬をしていた。こ
のような名馬が私たちの牧場で産まれてきたことを、今は良かったと思うだけです」
 とノーザンファームの中尾義信さんは、深く息を吐きながら話す。
 
 とはいえ、レース前は必ずしもディープインパクトの勝利を確信していたわけではない。
「この馬自身が菊花賞を経験していますし、血統背景的にも距離をこなせると見てはいましたが、他にも長距離のスペシャリストが揃っていまいたからね」
 実際、中尾さんはレース前に頼まれた新聞社からの取材依頼を「結果が出てからにしてください」と断っている。競馬はスタートからゴールまで何があるか分からないからであるが、そんな中尾さんの心配すら通り越してみせたのが、この天皇賞・春におけるディー
プインパクトのレースぶりだった。

「これまでの活躍馬はノーザンファームらしい、またサンデーサイレンスらしい、といった枠で当てはめてしまいがちですが、その枠すら飛び越えて、ただ、理屈抜きに強いという印象しかありません。だからこそディープインパクトを越えるような馬作りを、我々は
しなくては行けないと思っています。それは大変に難しいことかもしれませんが」
 中尾さんはそう話して、また深く息をつく。

「日本競馬史上最強馬」との肩書きもついた、ディープインパクトを越える馬は、まず出てくることはないだろう。しかし、中尾さんやノーザンファームのスタッフは、その途轍もない目標に対し挑み続けることで、更なる強い馬作りへとあくなき執念を見せ続ける。
 この後のディープインパクトは、海外挑戦が予定されている。「ただ、無事に走ってほしいですね。それだけです」と話す中尾さんの言葉は、競馬ファン共通
の思いだろう。あとは、世界の舞台においても文字で表現出来ないような驚愕の走りと、言葉にならないような感動を期待するだけだ。