重賞ウィナーレポート

2009年12月06日 ジャパンCダート G1

2009年12月06日 阪神競馬場 晴 良 ダ 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:エスポワールシチー

プロフィール

生年月日
2005年04月22日 04歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:17戦9勝
総収得賞金
1,023,197,000円
ゴールドアリュール
母 (母父)
エミネントシチー  by  ブライアンズタイム(USA)
馬主
(株) 友駿ホースクラブ
生産者
幾千世牧場 (門別)
調教師
安達 昭夫
騎手
佐藤 哲三
  • エミネントシチーと牧場の皆さん
    エミネントシチーと牧場の皆さん
  • 母のエミネントシチー
    母のエミネントシチー
  • 幾千世牧場の厩舎
    幾千世牧場の厩舎
  • 幾千世牧場エントランス
    幾千世牧場エントランス
 馬産地日高の玄関口、日高町。千歳空港から車で約40分。札幌からでも90分程度。2006年の町村合併により、それまでの日高町、門別町が飛び地合併し、新しく「日高町」として生まれ変わった、そこがジャパンカップダート(G1)に優勝したエスポワールシチーの故郷だ。

 幾千世牧場は、地名の幾千世に由来する。幾千世は、アイヌ語で“エゾシカのイエ”を意味するという「ユク・チセ」が転訛されたそうで、北海道内には同じ地名の土地もある。それだけ自然の豊な土地だったのだろう。

 同牧場は1969年創業。約70ヘクタールの広大な土地に繁殖牝馬約25頭をけい養し、スタッフは騎乗者6人を入れて10人。このほかに数人のパートタイマーもいるという。300mと500mのトラック馬場、そして1400mの坂路コースを利用し、さらに近隣のファンタストクラブの施設を利用して生産、育成業務も行なっている。

 「レースに勝ち続けることで、馬が自信をつけてきたような気がします。風格のようなものを感じましたね」とは阪神競馬場まで応援に駆けつけた鹿戸照美社長だ。

 昨年夏にダート転向後、4連勝。オープン昇格後、初めて経験する重賞のペースにやや戸惑ったもののマーチS(Jpn3)で重賞初勝利をつかむと、再び3つのG1レースを含む4連勝。牧場のテレビの前で声援を送る妹の美由紀さんらも胸をなでおろす、まったく危なげない逃げ切り勝ち。海外から参戦したティズウェイを含む15頭のライバルたちにまったく付け入る隙を与えない完勝劇だった。

 「1年間に4つも重賞を勝ってくれました。ひとつ勝つだけでも大変なのに、生産者冥利に尽きますね」と鹿戸社長は声を弾ませた。

 母のエミネントシチーは、エスポワールシチーを難産の末に生んだあと「繁殖牝馬として、仔を出産するのは難しいかもしれない」という獣医師の診断を受けて種付を見送っていた。「JRAで3つも勝った馬だから」と鹿戸社長は牧場で静養させていたが、孝行息子の活躍により、この春4年ぶりに種付を行なって、無事に受胎が確認された。このまま無事にいけば、来年の春にはエスポワールシチーの全弟妹が出産される予定だ。

 エスポワールシチーは今後、海外G1挑戦も視野に入れているという。「世界を相手にどれだけできるのか、それも楽しみです」と期待に胸を膨らませている。