浦河町・荻伏の元浦川沿いにある「浦河町10景・サラブレッドロード」を進んだところに永田克之牧場がある。同牧場は、夫婦二人で６頭の繁殖牝馬を繋養する小規模な牧場だが、平地に整然と区画された放牧地と整備された真新しい14馬房ほどの厩舎からは、牧場主の馬に対する愛情が伝わってくる。
　４年前に新築されたという厩舎にある事務所を訪ねると、永田克之氏は「京都まで（応援に）行ってきましたよ」と明るく語り始めた。きさらぎ賞は京都競馬場スタンド前の立見席で観戦。同馬の馬主・サラブレッドクラブ・ラフィアンの会員十数名と同事務所スタッフと一緒に応援したという。
　「４コーナー過ぎが見づらかったけど、ゴールははっきり見えました」と永田氏。ゴール直後には、会員の方々から次々に祝福の握手ぜめを受け、生産者ならではの喜びを存分に堪能したようだ。
　マイネルブルックの母ウィニングリバーと祖母ビーマイファイヤは、ともに同牧場の生産馬。永田夫妻にとっては家族同様の存在だ。ブルックは、生後２～３日で初めて放牧される時、「母馬より先に行こうとしていた」ほどの勝ち気な面を見せていたとか。おとなしいタイプの母馬には似ていなかったらしい。
　ブルックの上は、半兄弟のロッコウパレス（地方８戦１勝）、サカモトスキャン（地方29戦８勝）。下には明け１歳の全弟がいて、これがブルックにそっくりらしく、さっそく放牧地に案内してもらうことに。永田氏の掛け声にすぐに近寄ってきた白斑の無い鹿毛の馬は、なかなかの貴公子然とした仔馬だった。「ファンの方にとても早い情報となりますが、この仔馬は数日前にマイネルさん（ビッグレッドファーム岡田繁幸氏）に買っていただいた」と永田氏は明かしてくれた。
　マイネルブルックにクラシック戦線での活躍を願う永田夫妻には、かつての活躍馬ビーマイナカヤマ（同牧場生産馬）以上の夢が膨らんでいるようだ。
【募集カタログより抜粋】
父スターオブコジーンは、強靱な収縮力を持っているので種牡馬として優れていると思っていたのですが、カロ系の例にもれず、速い回転を生み出すバネが足りないのです。しかし、適当な配合によってバネのある子供が得られれば、今後大物が登場する可能性も十分あると期待しています。当クラブのスターオブコジーン産駒が比較的よく走っているのは、私がこの馬の特徴を見分けるのが得意だということもあります。本馬も、粘り強い体質でありながら軽さがあるので、大成するはずです。
　第44回きさらぎ賞は、３番人気のマイネルブルックが、クラシック候補のブラックタイドを追い比べで退け、重賞初制覇を果たした。手綱を取った藤田伸二は、重賞60勝目となる２週連続の重賞Ｖ。好調のマイネル勢としても、共同通信杯のマイネルデュプレに続く２週連続重賞Ｖとなった。
　ブルックは、北海道・浦河町の永田克之氏の生産馬で、母はウイニングリバー（1993生まれ、鹿毛、父ムーンマツドネス）。ブルックは同馬の４番目の産駒にあたる。