重賞ウィナーレポート

2009年07月05日 函館スプリントS G3

2009年07月05日 札幌競馬場 曇 良 芝 1200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:グランプリエンゼル

プロフィール

生年月日
2006年03月16日 03歳
性別/毛色
牝/栃栗毛
戦績
国内:9戦4勝
総収得賞金
216,461,000円
アグネスデジタル(USA)
母 (母父)
アンダンテ  by  サンデーサイレンス(USA)
馬主
北側 雅司
生産者
上村 清志 (三石)
調教師
矢作 芳人
騎手
熊沢 重文
  • グランプリエンゼルの半弟・当歳(父ジャングルポケット)
    グランプリエンゼルの半弟・当歳(父ジャングルポケット)
  • 牧場看板
    牧場看板
  • 広々とした放牧地
    広々とした放牧地
  • 牧場の厩舎
    牧場の厩舎
 札幌競馬場で行われた函館スプリントS(G3)は3歳牝馬のグランプリエンゼルが並み居る古馬勢を一蹴。見事、初重賞制覇を果たした。生産は新ひだか町三石美野和の上村清志さん。過去には札幌2歳S(G3)を制したオリエンタルロックを生産した牧場だ。繁殖牝馬は現在7頭。ご家族で牧場を切り盛りしている。

 上村清志さんはレース当日、朝の牧場作業を終えて札幌競馬場へ向かい、大学生、高校生、中学生のお子様と共に観戦したそうだ。レースを振り返っていただくと、

 「オリエンタルロックで札幌2歳Sを優勝した時は、人気もなくて割りと気楽に見ていられたのですが、今回は有力馬の回避もあり、1番人気に推されたので緊張しつつ見ていました。調教も良くて斤量も軽いので期待しておりましたが、今回は古馬との対戦にもなりますしね。応援していた席から4コーナーまでが遠くて、ターフビジョンを見ながら“抜け出て来られるかな”と心配しながら見守りました。最後はグイッと力強く伸びてくれてくれましたね。家族で口取りができたし、嬉しさで一杯です」と、笑顔で語った。

 “不思議と札幌競馬場とは相性が良いです”と語る上村さん。これまでも何度か札幌競馬場で口取りに立ち会うことが出来たという。今回の栄冠も陣営にとって格別のものだったようだ。「減量して乗ってくれた熊沢騎手は涙を流して喜んでいました。馬主さんも初めての重賞勝ちで、大変喜んでおりました」と、上村さん。

 また一つ札幌競馬場で忘れられない思い出ができたことだろう。上村さんはレース後すぐに三石へとんぼ返りし、その晩は近所の方を招いて盛大に祝勝会を行ったそうだ。

 本馬の牧場時代の様子を伺うと、
「小柄な馬でしたが、動きは良かったです。どちらかと言うと母親似でしたね」と、振り返った。今回のレースでは出走馬中、最も少ない馬体重(432Kg)での出走でもあった。デビュー後は気の強いところが出てきたようだが、“それがレースで良い方に出ているのでしょう”と、上村さんは分析する。

 母アンダンテは現役時代2勝。桜花賞(G1)の出走経験も持つ。上村さんに特徴を伺うと、「サンデーサイレンスの仔にしては大人しい馬ですね。受胎も良いです」と、紹介。3番仔グランプリオーロラ(牝 父ウォーニング)は5勝を挙げる活躍を見せ、今年の2歳には父グラスワンダーの牝馬がいて、もうすぐ入厩予定とのこと。今年は父ジャングルポケットの牡馬が無事誕生している。

 「2歳の半妹は馬格がある馬ですね。こちらは距離もこなせそうです。当歳はスーッと伸びのある馬ですね。肌も薄くて良い馬ですよ」と、紹介。当歳馬は7月22日の北海道市場セレクションセールに上場予定で、上村さんも“良いタイミングでグランプリエンゼルが勝ってくれました”と、満足げな様子。今回重賞勝ち馬の半弟となったことで、セールでも注目を集めそうだ。2009年はシンボリクリスエスを配合し受胎済み。

 「シンボリクリスエスは幅のある良い馬だし、距離がもつ馬が出て欲しいと思って種付けしました」と上村さん。アンダンテは母の父がサンデーサイレンスということもあり、種牡馬選びには毎年悩むところもあるようだが、どんなタイプの産駒が出てくるか楽しみだ。

 本馬の次走は札幌競馬場のキーンランドC(G3)を予定しているという。最後に上村さんは、「今後も無事に、更に上を目指して欲しいです」と、エールを送った。今年はスピード豊かな3歳牝馬がサマースプリントシリーズを盛り上げる存在になってくれそうだ。