重賞ウィナーレポート

2005年10月29日 スワンS G2

2005年10月29日 京都競馬場 曇 重 芝 1400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:コスモサンビーム

プロフィール

生年月日
2001年03月28日 04歳
性別/毛色
牡/青鹿毛
戦績
国内:15戦5勝
総収得賞金
260,614,000円
ザグレブ(USA)
母 (母父)
ロビースレインボウ(GB)  by  Rainbow Quest(USA)
馬主
岡田 美佐子
生産者
ヤマオカ牧場 (新冠)
調教師
佐々木 晶三
騎手
本田 優
  • 造成中の牧場を見守る岡田繁幸代表
    造成中の牧場を見守る岡田繁幸代表
  • 造成中の牧場を見守る岡田繁幸代表
    造成中の牧場を見守る岡田繁幸代表
  • どこまでも広いBRF明和ヒルズの当歳馬夜間放牧場
    どこまでも広いBRF明和ヒルズの当歳馬夜間放牧場
本馬のふるさとは新冠町西泊津のヤマオカ牧場。今回は、幼駒のころから育成・調教され、1年2ヶ月の長い骨折休養からの復活まで世話をしてきたビッグレッドファームにお話をお伺いした。

ビッグレッドファームの蛯名マネージャーは「よく勝ってくれましたよね。前走(富士S 9着)は見所もなく、脚元の様子も良くないと聞いていたので、牧場に戻ってくるものだと思いました。むしろ、会員(ラフィアン・ターフマンクラブ・同グループ)の馬で、うちの種牡馬マイネルラヴの仔のマイネルハーティを気にしていました」と、喜びながらも会員の方に気を遣う。しかし、蛯名Mには、本馬のこの復活には感慨深いものがある。

本馬は、2歳時に京王杯2歳Sを勝ち上がって、G1(朝日杯FS)を制覇し、ダービーに出走(12着)。レース後、左前脚骨折が判明した。昨年6月に蛯名Mはレントゲンを見ながら「この怪我は手術できない。本馬の治癒力にかけるしかないですね。1年は掛かるでしょう」と心を痛めていた。1年ほどで調教に入ったそうだが「色々考えて、気を遣いましたので調教主任の島崎も苦労したでしょう。でも正しいことが証明できました」と苦労の末に出た結果に安堵の表情が浮かぶ。蛯名Mは、2歳時に同期のコスモバルク(本馬と同じ父ザグレブ、IREに帰郷)と 同牧場で一緒に調教していた時などを思い出している様子だ。

本馬の母はロビースレインボウ(母の父レインボウクエスト)。現在、同牧場が預かっており、半弟の当歳(父アグネスデジタル)と共に元気一杯。本馬も牧場に調整で戻る予定だそうで、これも何かの縁、心身ともにリフレッシュして、また、GⅠ戦線に復帰できそうだ。

帰りがけに、隣接する牧場を買い取り造成中というので様子を見に行ったら、岡田繁幸代表が陣頭指揮を執っていた。お祝いの挨拶を言うと「先週は、勝たせてもらったね」と、とても嬉しそう。本馬の復帰の他、岡田代表がオーストラリアの市場に行き最高価格で購入したヴリル(○外のサンデーサイレンス産駒、同牧場の種牡馬を見越した期待馬)も東京9R白秋Sで復活の優勝だ。

話は直ぐに、造成中の現場のことに変わった。「ここにある重機は全部うちのだよ。働いている人も全員うちのスタッフ、やれることは全部自分たちでやりますよ。ここは是非欲しかった土地でね、(指さしながら)ここに大きな門構えを造って、そこの並びには大きな木を植える。あそこに大きな池が完成したので後ろに残された大きな木々も生きてきた」と説明は尽きない。

元々、世界に負けない牧場つくりを信念としており、施設造りにも余念は無い。「下の川には、魚を放流して、乗馬やレストランもだけど、文化(陶器、絵画など)も必要だ。複合的に考えれば実現できますよ。世界のエルメスが“ここに工場を建てたい”と言わせたいよ」と“郷つくり”にまで夢を伸ばす。

最後に「今度入れるロージズインメイ(5歳馬、種牡馬として年内に導入予定、今年ドバイワールドCで圧勝など)はいいよ。サンデーサイレンスに匹敵するような(種牡馬としての)活躍をするはずですよ」と馬の話に戻る。10月の地元の繁殖馬セールでも15頭を購入して、勢いは止まらない。「やるとこまでやりますよ」と、胸を広げる姿には引き込まれるものがある。連闘策で臨んだコスモサンビーム(牡4歳、父ザグレブ)が11番人気の低評価を覆して第48回スワンS(GII)を快勝。2003年の朝日杯FS以来となる復活重賞Vを飾った。2着に1番人気サイドワインダー、3着には13番人気ウインクリューガーが入り、3連単の配当は108万4310円の大波乱となった。