重賞ウィナーレポート

2005年11月13日 エリザベス女王杯 G1

2005年11月13日 京都競馬場 曇 良 芝 2200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:スイープトウショウ

プロフィール

生年月日
2001年05月09日 04歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:16戦7勝
総収得賞金
744,824,000円
エンドスウィープ(USA)
母 (母父)
タバサトウショウ  by  ダンシングブレーヴ(USA)
馬主
トウショウ産業 (株)
生産者
トウショウ産業株式会社トウショウ牧場 (静内)
調教師
鶴留 明雄
騎手
池添 謙一
  • トウショウ牧場山田一曉育成主任
    トウショウ牧場山田一曉育成主任
  • トウショウ万歳
    トウショウ万歳
秋華賞、宝塚記念、に続く本馬のGⅠ三冠制覇に生産牧場のトウショウ牧場は喜びに沸き立っている。この日、牧場事務所でスタッフとレースを観戦した志村場長は「うちの馬は、4コーナーで外に出るのにもたついていましたからね。オースミハルカ(2着馬)があまりにも先に行っていたので、追いつかないと諦めかけていました。差してゴールした時は唖然とさせられましたよ。直線に入ってからも、みんな、声も出せないほどでした。ゴールした時は万歳して大騒ぎになりましたよ」とホッとした表情を見せる。

本馬の重賞ウィナー取材は4度目となるが、いつも志村場長を悩ませているのが本馬のヤンチャぶりだ。ゲート入りの悪さに加え、調教時にもコースで立ち止まり厩舎スタッフを困らしているようだが、前走の天皇賞・秋(5着)では、さすがに参ったようだ。「JRAからも、天覧レースなので発走時刻は遅らせられないと警告されていたのに、本馬場に入ったとたん立ち往生、それも陛下の目の前ですよ。騎手(池添謙一)が下馬して、スタート地点まで牽いて行ったようだけど、前代未聞のことですよね。今回、スタートの輪乗りで険しい表情をしていた池添君も、無事にゲートに入ったときは“(入っただけで)もう力が抜けましたよ。”と言っていました。相当なプレッシャーがあったのでしょう」と苦労を重ねる騎手や厩舎スタッフの苦労を思いやる。

それにしても、上がり3F33秒2の末脚で差し切ったゴールシーンは、本馬らしかったが、場長は「あの末脚は(母タバサトウショウの肌に入る)ダンシングブレーヴの血でしょうね、ロンシャン(競馬場)の深い芝をラスト1F10秒で走っていましたから」と説明してくれる。

本馬の1歳の頃から育成を手がけ、このレースを京都競馬場で応援した山田一曉育成主任を育成厩舎に訪ねた。山田さんは「水曜の追いきりも見られたのですが、軽そうで良かったですね。今回は素直そうにしていましたよ。でも、厩舎の方は追いきりやレース前日は、(無難に走ってくれるか)心配で、眠れないそうです。レースの時に、無事にゲートに入ってくれた時は、先生(鶴留明雄調教師)も万歳をしていました」と、こちらも本馬に悩ませられている現場の様子を語る。また、山田さんとしても、本馬の馴致を手がけてきただけに、心中は穏やかではない。「私もブレーキング(馴致)に携わってきましたからね。レース前のジョッキーも険しい顔をしていましたし・・・。もう少し(馴致に)手を掛けられていたらと反省する事もあります」と心配していた様子だ。
しかし、本馬の快勝に「口取り写真に参加できましたし嬉しかったですね。将来、戻ってきて、どんな仔を生んでくれるのか楽しみです」と育成時代の本馬の乗り味の良さを思い出しているようだった。

今回の快挙に、最強牝馬との評価を受ける本馬だが、今後の予定を志村場長は、「このレース後は、年内に使う予定は無かったのですが、私、個人としては有馬記念でディープインパクトと走らせて頂きたくなりました。本馬は1年ぐらいで繁殖入りすると思いますが、将来はディープインパクトと“夢の配合”をしたいですよね。そのためにも、一緒に走らせたい」と夢は膨らむ。

最後に志村場長の「あの仔の考えていることは、人間の発想を超えていて理解出来ないよ」という言葉が本馬を語る。2番人気のスイープトウショウ(牝4歳、父エンドスウィープ 、母タバサトウショウ)が逃げ粘るオオスミハルカ(2着)をゴール前でキッチリ差しきって優勝。秋華賞、宝塚記念に次いでGI3勝目を挙げた。通算成績16戦7勝、重賞は5勝目となった。3着には4番人気アドマイヤグルーヴ、1番人気エアメサイアは5着に敗れた。