重賞ウィナーレポート

2005年05月29日 日本ダービー G1

2005年05月29日 東京競馬場 晴 良 芝 2400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ディープインパクト

プロフィール

生年月日
2002年03月25日 03歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:5戦5勝
総収得賞金
1,454,551,000円
馬主
金子 真人
生産者
ノーザンファーム (早来)
調教師
池江 泰郎
騎手
武 豊
【取材先:ディープインパクト号の生産者・ノーザンファーム(事務局)】


―――― 無敗での2冠達成おめでとうございます。まずは生産者として今のお気持ちをお聞かせ下さい。

(スタッフ) ありがとうございます。これまでのレースでも本馬の名前のとおり、非常に印象の強い内容ものが多く、デビュー戦から何か一人我が道を行くようなレースっぷりで、それをクラシックレースへ繋げてくれたということは、この馬の生産・育成に携わった人間にとっては大変光栄に感じています。


―――― 圧倒的な単勝支持率でしたが、レース前の本馬をご覧になっての感想をお聞かせ下さい。尻跳ねをしたりとやや落ち着きがないパドックでしたが不安などは感じませんでしたか?

(スタッフ) 見るからに名前ほど大きなインパクトのある馬ではなく、それでいて凄く大きなアクション、そして気迫溢れる動き、オーラを感じさせます。確かにパドックでは従来には見られない仕草もありましたが、大一番に向け最終追い切りも質の高いものを消化した後、同様なプロセスを経てパドックに集まってきた他の馬達のただならぬ気配を感じて、この馬なりのパフォーマンスを見せたのでしょう。いい意味での気合乗りが感じられましたから不安は全くありませんでしたね。逆にサンデーサイレンス産駒らしさが見られて頼もしくも見えました。


―――― この日も最後の直線では物凄いパフォーマンスを見せてくれましたね。昨年のキングカメハメハのタイレコードを記録し、牧場にとっては2年連続制覇、素晴らしい一日になりましたね。

(スタッフ) 毎年毎年この仕事に携わる人間にとって誰もが目標としているのがこのレースですから、自ずと力が入りました。生産馬4頭・育成馬7頭を当牧場関係馬としてレースへ送り出すことが出来て1、2着という結果を得られました。当日は事務所での観戦は僅か2人でしたが、それぞれが家庭や独身寮などで観戦、更には競馬場へ20名近い応援団も駆けつけ、レース後は職員一同それぞれに感慨深いものがあったようです。


―――― 皐月賞の後、色々なメディアでも本馬について取り上げられました。周囲の期待が高まる中で携わる人間にとっては大きな重圧にもなった事と思いますが・・・。

(スタッフ) 「一度も負けていない」「皐月賞で強いレースをした」ということで色々なマスコミの方から取材を受けました。その折々にも申し上げましたが、見た目は特別な馬ではありません。パドックで応援に来てくれたファンの方々も同じ種馬の子を見て比較したときに「どうかな?」という印象を受けるかと思いますが、これがこの馬の魅力でもあると思います。「心臓で走る」といった表現がいいでしょうか。過去にサンデーサイレンスの直子で成績を残した名立たる馬のイメージは確かに大きなデータでもありますが、我々生産をしている人間にとって「走る馬」というのは色々なタイプがいると改めて感じさせてくれた馬ですね。


―――― もう既にスターホースと呼ぶに十分相応しい馬と思います。

(スタッフ) 武豊ジョッキーも言っていたように、今の時代に現れた正に「英雄」と呼んでもよいのではないでしょうか。先頭に立ってからは余程のアクシデントが無い限り勝つだろうと確信した矢先、ゴールへ近づけば近づく程スピードが増してゆくあの姿勢に「一体何を目標に走っているのだろう?」と感じさせるほど、非常にドラマチックなくらいに頑張る馬ですね。


―――― さて約20年ぶりとなる無傷での3冠挑戦への資格を得ました。秋までとにかく無事に進んでいって欲しいですが、今後本馬にはどういった事を期待しているかお聞かせ下さい。

(スタッフ) 今後の予定は既に報道されていますが、この馬のことを熟知している池江厩舎のスタッフが選択したことですから、我々は牧場から無事を見守るだけですね。一部早い時期から古馬との対戦を望む声も聞かれましたが、まずは大目標である菊花賞へ向けての調整となります。この夏を境に負かした相手の中から急激に伸びてくる馬もいるかもしれませんし、他の路線から新たな第3の刺客が現れるかもしれません。本当に秋が楽しみですね。


―――― ご協力ありがとうございました。これからも無事に益々ご活躍されることを心よりお祈り申し上げます。単勝支持率73.4%という絶大な人気に応え、皐月賞馬・ディープインパクト(父サンデーサイレンス)が第72回日本ダービーを5馬身差をつけて圧勝。史上6頭目の無敗の2冠馬に輝いた。勝ちタイムの2分23秒3は、昨年のキングカメハメハがマークしたダービーレコードタイ記録。武豊騎手はダービー4勝目、馬主の金子真人氏はダービー2連覇、生産者の早来・ノーザンファームは春の3歳GⅠを完全制覇という、多くの偉業が誕生した。