重賞ウィナーレポート

2005年03月27日 マーチS G3

2005年03月27日 中山競馬場 晴 良 ダ 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:クーリンガー

プロフィール

生年月日
1999年06月16日 06歳
性別/毛色
牡/芦毛
戦績
国内:37戦9勝
総収得賞金
485,084,000円
フォーティナイナー(USA)
母 (母父)
クールアライヴァル(USA)  by  Relaunch(USA)
馬主
林 進
生産者
浦河日成牧場 (浦河)
調教師
岩元 市三
騎手
和田 竜二
  • 母クールアライヴァルと本巣克彦社長
    母クールアライヴァルと本巣克彦社長
  • 母クールアライヴァル
    母クールアライヴァル
  • 功労馬ナガラフラッシュ
    功労馬ナガラフラッシュ
  • 母クールアライヴァル
    母クールアライヴァル
 本馬のふるさとは浦河町上杵臼の浦河日成牧場。幌別市街から雪解けの進む天馬街道を15分ほど走ると右手に道路から山あいに広がる同牧場が見える。繁殖牝馬11頭を本巣克彦社長夫妻とスタッフ2名で賄うが、先代の父三郎氏も馬の様子見や相談で出番があるようだ。かつて、障害GIを制したポレール(’97年中山大障害)や、平地ではナガラフラッシュ(’93年小倉3歳S、3歳牝馬S)などの重賞馬を輩出しており生産馬の活躍は目立つ。父三郎氏は、「馬で(生産牧場として)大事なのは、血統と草作り」と言い切るが、温和な笑顔を絶やさない表情の中に強い信念を持つ人だ。克彦社長は、その信念をしっかりと受け止め、土の含有微生物まで目を向けて、良い牧草作りの為の土壌改良を進めている。

 本馬は交流重賞では4つの勝鞍を持つが、中央での重賞は初制覇となり、地道な努力を続ける同牧場にとっては、久し振りの生産馬の快挙に喜びは大きい。レースを家族とテレビで観戦した克彦社長は、「本馬が直線で出てからは体中の血が煮えたぎったようでしたよ」と満面の笑みを見せる。また「幼駒の頃から、見守って育ててくれた岩元先生(岩元市三調教師)のお陰ですよ」と感謝する。岩元師は幼駒の頃のコロッとした本馬を見て、活躍すると語ったそうで「がっしりしていて、腹袋の良さを見てくれたのでしょうか、馬を見る目は凄いですね」と当時を振り返る。

 本馬の幼駒の頃は、母親似の体型とおとなしい性格を持っていたようだが、母クールアライヴァル(母の父Relaunch)は、米国産で米国と北米で7勝をあげている。とくに’89年にはダート1600mのGⅠ戦(LAS VIRGENES S)を制覇しており、本馬にしっかりと血統を継承した。米国内でも5仔を持ち活躍馬を輩出しているが、’96年受胎付きで同牧場に輸入され、その国内での第1仔が半兄(父Seeking the Gold)のシーキングバル(中央2勝)で、1年空けての国内第2仔が本馬となる。半妹のクールリーヴ(父ブライアンズタイム)5歳とクールグレース4歳はすでに同町内の牧場で繁殖生活に入っているが、3歳の半妹クールモダン(父フジキセキ)はデビューに向けて調教中。最近3年間は空胎が続いたが、今年はダンスインザダークを配合予定だという。
同牧場には、別途輸入されていた半姉バルバラ(父 Slewpy、米国産)と全姉クールネージュ(父フォーティナイナー、米国産)が繁殖活動をしており、名馬の母クールアライバルの血統後継馬の確保は万全のようだ。

 この地域は、昨年からの重賞成績から見てもタマモホットプレイ(信成牧場)、オースミコスモ(岡本牧場)、スキップジャック(富菜牧場)、メイショウボーラー(日の出牧場)など活躍馬を多く輩出しているが、地域の連帯は強いようで情報を交換しながら、良い意味でライバル意識を刺激し合い、生産活動に取り組んでいるという。本馬の活躍はこの地域の牧場の喜びでもある。第12回マーチS(GIII)は、6番人気の伏兵・クーリンガー(牡6歳、父フォーティナイナー)が3番手追走から直線早めに先頭に並びかけ、そのまま押し切って快勝した。重賞は5勝目、中央の重賞はこれが初制覇となった。