信成牧場は浦河町杵臼の天馬街道沿いにあり、道路の雪は解けて路面を出しているが、さすがにこの冬の大雪で放牧地は雪で深く埋まっている。寒さの中での取材でしたが、同牧場の本巣信平社長は、一昨年10月（マリンＳ）以来の本馬の重賞制覇に満面の笑みを浮かべていた。

本馬はレースで、ゴール直前にきっちりと２着馬を差し切り優勝したが、「4コーナーをまわってから前が開いたので、もしかしたら（勝てる）と思い、直線はドキドキしながら見ていたよ。ゴール前では、先行馬に粘られたので差し切れるのか微妙で凄く力がはいった。」と、普段は穏やかな本巣社長も興奮したようだ。本馬の母親を「ノーザンテーストの（肌に入る）繁殖が欲しかった。」と胆振から購入した社長にとって、本馬には思い入れもあり期待は大きい。

母ホットプレイ（母の父ノーザンテースト）は大変に気性が悪く、この母と祖父サンデーサイレンスの血をそのまま引いた性格という本馬は、幼駒の頃から手のかかる仔だったそうだ。社長は「生まれ持った性格なのだろうね。うちから出た後も気性面が心配でしたが、競馬場に行っても皆さんに迷惑をかけているようですね。でも、今度のレースを見た限りでは落ち着いてきたようだ。馬体も大きくなって、すっかり成長しましたね。」と陣営に感謝する。

本馬の兄弟も比較的にうるさい仔が多いようだが、半姉の6歳ダイナジョウ（父ブラックタイヤフェアー）、半妹オズノホットハーツ（父同）、半妹ロマンスロード（父ウイングアロー）が地方で活躍中。一昨年の取材時に、誕生を楽しみにしていた全兄弟は期待どおりの牡馬が誕生して、すでに育成場に移動しているという。今年は、再び父フジキセキでの全兄弟が4月に生まれる予定だそうだが、本巣社長は、相性の合う血統だけに「男の仔が欲しいけれど、後継馬に女の仔も欲しいね、どちらが良いか迷うよ。」と笑う。

最後に社長は、成長した本馬に「生産した者にとっては、やはり長く無事に走り続けてもらいたい。これからも出るレースは全部（勝つものと）期待して応援するよ。」とエールを送っていた。