０４年小倉大賞典を快勝して、その年には阪神牝馬Ｓ２着など活躍していた本馬が、脚元の不安から１年以上の休養を余儀なくされ今年ようやく復帰、７月のプロキオンＳ、サマーカップ（佐賀　交流ＧⅢ）に続き重賞３連勝の快挙をあげ完全復活した。
　本馬の小倉大賞典制覇が牧場としては初めての重賞制覇だっただけに、この勝利は生産者の三木田明仁さんにとっても掛けがえの無い喜びのようだ。

　三木田さんは、しみじみとした表情で語る。「生産馬がようやくレースに出られて、勝ち上がるのさえ大変なのに重賞を取って、それが一つでも有難かったのが二つも三つも勝ってくれてこんなに嬉しい事はないですよ。一時は引退の話も出ていましたし、我慢して復帰させてくれたメイショウさん（馬主の松本好雄氏　地元の尊敬と親しみを持った呼称）や高橋先生（成忠調教師）の苦労は大変なものだったと思います。次はＧⅠと言われていますけれど、皆さんのために頑張って貰いたいですね。無事に走って将来うちに戻ってくれたら嬉しいです。」と陣営に感謝する。
　本馬は、引退後は同牧場に戻る予定になっているそうだが、三木田さんはその時を楽しみに待ち、また活躍する競走馬を生産して馬主さんに恩返しをするという夢を膨らましている様子。
　生産者と共に歩みながら競走馬に夢を託す馬主の松本氏と日高の生産者との信頼関係はやはり深いようだ。

　本馬の母メイショウハゴロモ（母の父　ダイナガリバー）の第１仔が本馬で、既に６仔を誕生させているが今も元気いっぱい。放牧地では離乳まじかの全弟に乳を強請られながらも仲良くして過ごしている。お腹には、再びメイショウホムラ（父の父ブレイヴエストローマン）の仔が宿っているそうだ。
　三木田さんは「母親もなかなかのスピード馬だったし、ホムラとは大きい仔を出します。相性が良いのでしょうね。」と母親を優しく見つめる。
　現在、日高町の日西牧場に供用される種牡馬メイショウホムラは、今年、この１頭だけの種付だったそうだ。　

　同牧場は夫婦二人で１０頭の繁殖牝馬を飼養、三木田さんには３人のお子さんがおり、それぞれ大学、高校に進学しているという。「馬産の世界は大変だからね。子供には跡継ぎの強要はしていません。でも、家に帰ってくると小さい時からやってきたので当然のように馬の世話を手伝ってくれていますよ。」と笑顔を見せる。
　本馬の大活躍が三木田家族に大きな夢をもたらしてくれているのは間違いなさそうだ。予定される交流ＧⅠ・ＪＢＣマイルでの活躍が期待される。