重賞ウィナーレポート

2008年10月12日 京都大賞典 G2

2008年10月12日 京都競馬場 曇 良 芝 2400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:トーホウアラン

プロフィール

生年月日
2003年04月16日 05歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:13戦5勝
総収得賞金
214,172,000円
ダンスインザダーク
母 (母父)
ヒドゥンダンス(USA)  by  Nureyev(USA)
馬主
東豊物産 (株)
生産者
前川 正美 (三石)
調教師
藤原 英昭
騎手
鮫島 良太
  • 前川正美さんと母ヒドゥンダンス
    前川正美さんと母ヒドゥンダンス
  • 放牧地での母ヒドゥンダンス
    放牧地での母ヒドゥンダンス
  • 前川さんに甘えて目を細める母
    前川さんに甘えて目を細める母
  • 周りの山が色付き始める季節となった
    周りの山が色付き始める季節となった
 本馬は2年前の京都新聞杯で、産まれ故郷の前川正美さん(三石歌笛)に生産馬の重賞初制覇をもたらし、ダービーへの参戦(9着 優勝馬メイショウサムソン)も果たしている。
 この年の12月には中日新聞杯に優勝して古馬戦線での活躍が楽しみにされていたが、屈腱炎を発症して昨年は治療に専念していた。今年の白富士S(5着)で復帰後、好走を続けていたが、生産者の前川さんは、レースに出走する度に愛馬の無事を祈って応援していた。
 「エビ(屈腱炎)になってから、また重賞に勝つとは思ってもいなかったですよ。いつも無事に走りきって欲しいと祈っていたので、前走(朝日チャレンジC)で2着になっただけでも嬉しかった。今回、勝った時は信じられない気持ちでした。昔は、エビになると競走を諦めるものと思っていましたが、今の調教師さん方の技術と努力は凄いものですね。」と、愛馬の快挙がまだ信じられない様子。

 三石歌笛にある前川正美さんの牧場は鳧舞(ケリマイ)川の中流域にあり、国道から15分ほどかかる。綺麗に管理された放牧地の先の山は、この季節に色づき始めていた。
 牧場には9頭の繁殖牝馬がいて、前川さん夫婦二人で営んでいるが、前川さんのこだわりは、実績を持つ良血馬を配合種牡馬に選ぶ事。苦労しながらも、良血馬の配合に努力し続けたことが生産馬の快挙に至ったものでもある。
 本馬の母ヒドゥンダンス(母の父 Nureyev)は、先代の父三夫と米国より購入した繁殖馬。ノーザンダンサーのM3×S4の血統で米国G2勝馬Hidden Lightの仔という良血馬。本馬の父ダンスインザダークとの相性が良さそうで、デビュー前の2歳牝馬と中期育成中の1歳牝馬も父がダンスインザダーク、全姉妹たちにも前川さんの期待が寄せられる。

 本馬は、今後、ジャパンカップを目標に調整が進められそうだが、前川さんは「一昨年は、仲間に協力してもらいダービーに応援に行ってきましたが凄い雰囲気でしたね。自分の生産馬がそこに参加しているだけで幸せでしたよ。今度は、ジャパンカップで世界の強豪馬と走る話があるけれど、まだ、ピッと来ないです。夢のようなことなので実感が湧きませんよ。」と目を細め笑顔を見せる。

 無事に走り続けてもらいたいと愛馬を想う前川さんは、「とにかく本馬や、ほかの生産馬たちには‘感謝’の一言ですね。生活もさせてもらっているし、こういう嬉しい思いも頂いていますからね。」と。
 奥さんと二人で牧場を営む前川さんは、今、幸せを感じている時なのかもしれない。