重賞ウィナーレポート

2006年10月22日 菊花賞 G1

2006年10月22日 京都競馬場 晴 良 芝 3000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ソングオブウインド

プロフィール

生年月日
2003年02月20日 03歳
性別/毛色
牡/青鹿毛
戦績
国内:10戦3勝
総収得賞金
207,438,000円
エルコンドルパサー(USA)
母 (母父)
メモリアルサマー  by  サンデーサイレンス(USA)
馬主
(有) 社台レースホース
生産者
追分ファーム (追分)
調教師
浅見 秀一
騎手
武 幸四郎
【取材先:ソングオブウインド号の生産者・追分ファーム(事務局:伊関太郎)】

―――― 最後は鋭く伸びて見事にGⅠのゴールをレコードで駆け抜けました、おめでとうございます。本馬にとって初の重賞勝利がGⅠとなりましたが、まずは生産者として今の喜びの声をお聞かせ下さい。
スタッフ:ありがとうございます。これまでの成績からも大崩れすることなく堅実に走ってくれていましたので微かな期待を持っていました。また浅見先生からも状態の良さを報告していただいていましたので、不利なく馬の力をすべて発揮してくれることを願っていました。結果としてレコードタイムでの快勝!改めてこの馬の底力と成長を認識しましたね。

―――― このレースは「2年連続の三冠馬誕生なるか」という点で非常に注目を浴びましたが、そのレースに生産馬が2頭出走しましたね。レース前のお気持ちは如何でしたか?また2頭にはそれぞれどんなレースを期待していましたか?(ソングオブウインド号/ミストラルクルーズ号)
スタッフ:三冠のかかった馬はもちろん、その他にも強い馬が何頭かいましたので、正直出走枠に2頭入ったことに大変喜んでいました。配合もほとんど同じである点、人気具合もほとんど同じな点と、共通項の多い2頭です。また、共に休み明けの前走のトライアルレースで力のあるところを見せてくれた後の状態の良さに関しても報告を受けていましたので、どちらか一方に肩入れすることなく両方に同じように期待をしていました。ただ先程も述べましたように強い馬がいましたので、「不利なく力を発揮してどこまでやってくれるのか・・・」という思いでいました。

―――― レースはスタートしてから終始後方での競馬となりましたが、道中はどのようなお気持ちで御覧になっていましたか?最後の直線で大外に持ち出した時の感想(感触)と合わせてお聞かせ下さい。
スタッフ:スタートが悪くて後方になった訳ではないので、ポジションに関しては武幸四郎ジョッキーの判断でうまく折り合っているように見受けられました。また、一瞬の切れ味で勝負というよりは、長くいい脚を使ってくれることは以前から分っていましたので、3コーナーあたりから進出して行った脚色と、うまく最終コーナーを回ってこれたことを確認できましたので、最後はそのまま弾けてくれることを願っていました。

―――― 追分ファームさんにとっては何より嬉しい初のクラシック制覇となりましたね。ゴールドアリュールとハットトリック号でGⅠレースは勝利されていますが、やはりクラシックレースの勝利は格別かと思います。開業から12年目でやっと手にした勝利の味は如何ですか?牧場での盛り上がりも大変なことと想像されますが、スタッフの喜びの様子なども合わせてお聞かせ下さい。
スタッフ:牧場で応援したスタッフは全員事務所で観戦していました。レース前は人気をしていなかったということで普段と変わらない様子でしたが、レースが始まり最終コーナーを回ってきたところから全員が立ち上がって声をあげていましたよ。大盛り上がりで喜んでいましたがクラシックの重みはその瞬間には感じることができませんでした。しかし、時間が経つにつれて次第とその意味を全員が理解してきたように思います。
開業から12年目という非常に早い段階での栄冠ですので、今までやってきたことに対する自信と関係者全員に対する感謝の気持ちを持っています。
また、今後に向けた期待と大きな責任とを同時に感じています。

―――― またこの勝利は今は亡き父エルコンドルパサーにも捧げるGⅠ初勝利となりましたね。トニービン→サンデー→エルコンドルパサーと素晴らしい血筋が見事に花咲きましたね。同レースに出走したミストラルクルーズもサンデー肌にエルコンドルパサーと同じ配合ですが、何か意図があったのでしょうか?
スタッフ:父エルコンドルパサーが現役時代に見せた素晴らしいパフォーマンスを評価していました。また、ブラックタイプからもアメリカ・ヨーロッパの名馬の名前が浮かび上がっていました。両馬の母も同年に繁殖としての生活をスタートさせ、父サンデーサイレンスということで牧場の期待も大きい繁殖でしたのでこのような配合になりました。特にスタッフの間で母メモリアルサマーの現役時代の活躍は大いに期待していましたので、大きな勲章を得ることが出来なかった分、子供に対しての期待は自然と高まっていました。結果として父の最終世代となってしまいましたが、父の後継馬として大きな活躍をした馬が少ないことからも、本馬に寄せる「父の後継馬」という期待は大きなものがあります。今後もお父さんのような大きな活躍を期待したいと思います。

―――― さて、続いては本馬の牧場時代のお話をお聞かせ下さい。
1)当歳時・育成時の印象やエピソードなどで何か記憶に残っていることはありますか?
スタッフ:特に手もかからず精神的に大人びていましたので、無駄な動きをすることなく、スタッフの手を煩わせることがありませんでしたね。大きな怪我をすることもなく順調に進んだ馬でしたし、やんちゃをしすぎることがありませんでした。一方の母親がうるさいところがある馬でしたので「お母さんのほうが子供っぽい」などと話していました。
1歳時はクラブの募集カタログにも書かれているように、放牧地においては仲間達との間でハッキリと自己主張をしていましたね。

―――― さて、続いては母メモリアルサマーについてお聞かせ下さい。
1)祖母はシャダイマインで活躍馬を多数輩出している社台グル-プゆかりの血統と言えますね。この血統に対する思い入れや、特徴などがありましたら教えて下さい。
スタッフ:ブラックタイプをみてもわかるように永くに渡り多くの活躍馬を出してくれている貴重なラインだと思っています。産駒は総じて小柄に出ることがありますが、配合によって距離の融通がでるという特徴があると思います。
2)性格など普段はどんなお母さんですか?
スタッフ:うるさいところはありますが、それは体型にも現れているように父サンデーサイレンスの影響を受けていると思われます。子育てに関しては特に問題はありませんし、周りに対する警戒心が強く「親ばか」であると言えます。

―――― キャリアもまだ10戦、しかも3着以下が一度も無いという素晴らしい成績ですね。本馬にはまだまだこれからの活躍が大いに期待されますが、今後どんな馬に成長して欲しいですか?最後にお聞かせ願います。
スタッフ:父の後継馬という看板はとても重いものではあると思いますが、これから先は古馬達とも互角に渡り合えるように、持ち前の堅実さを存分に発揮してもらいたいと思います。また、父が海外で大きな活躍をしたことからも、本馬にもチャンスがあれば世界的な活躍を期待したいですね。
ただ、こればかりは馬の状態とも相談していかなければならないことですので、とにかく無事に頑張ってくれることが一番だとも思っています。

―――― ご協力ありがとうございました。今後益々のご活躍をお祈り致します。