重賞ウィナーレポート

2020年12月05日 ステイヤーズS G2

2020年12月05日 中山競馬場 小雨 稍重 芝 3600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:オセアグレイト

プロフィール

生年月日
2016年05月29日 04歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:16戦5勝
総収得賞金
131,099,000円
オルフェーヴル
母 (母父)
ブルーダヌーブ(IRE)  by  Bahri(USA)
馬主
IHR
生産者
下屋敷牧場 (三石)
調教師
菊川 正達
騎手
横山 典弘

 中山競馬場のゴール前に待ち構える急坂の手前からスタートして、内回りコースを2周。3度目の坂がゴールというステイヤーズS(G2)は、3600mという距離以上にスタミナと精神力が求められる難コースだ。

 それゆえ、いわゆる“リピーター”が多く、古くはピュアーシンボリやスルーオダイナ、近年ではデスペラードやアルバートなど、何度も好走するケースが見受けられる。54回目を迎えるそんなマラソンレースを制したのは横山典弘騎手騎乗のオセアグレイトだった。

 同馬の生まれ故郷は、間もなく創業50年を迎えようという新ひだか町の下屋敷牧場。2000年の桜花賞(G1)2着マヤノメイビーや、2018年のラジオNIKKEI賞(G3)、19年の日経賞(G2)に勝ったメイショウテッコンなどを送りしている家族経営の牧場だ。

 レース前、下屋敷千尋代表は「これまでの4勝が全部2000m以上の競馬でしたし、春のダイヤモンドS(G3)は3着。3600mという距離を味方に、今後につながるようなレースをして欲しいと思っていました」という心境だったそうだ。小雨が降り続き、さらにスタミナと精神力が要求されるような馬場状態となる中、横山騎手と折り合って道中を進んだオセアグレイトは、逃げ粘ろうというタガノディアマンテをゴール前で交わし、先頭でゴールへと飛び込んだ。

 規格外のパフォーマンスでターフを沸かし続けたオルフェーヴルの2年目産駒。「もちろん現役時代から注目していましたし、種牡馬入りしたら種付けをしてみたいと思っていた馬でした。たまたま縁あって、母のブルーダヌーブを手に入れることが出来ましたので、迷うことなく配合させてもらいました」。

 下屋敷さんが、そう話す母馬は愛国産で、世界的な名血馬だ。父のバーリは現役時代には欧州のマイル戦線で活躍。種牡馬としては凱旋門賞馬サキーを輩出した名馬で、祖母のシンコウエルメスは半兄に英国ダービー馬のジェネラス(本邦輸入種牡馬)、半姉に英国のオークス馬イマジンを持つ良血馬。骨折のため、わずか1戦の競走キャリアしかもたないが、繁殖牝馬として孫世代にディーマジェスティ(皐月賞(G1))、タワーオブロンドン(スプリンターズS(G1))などを送り出して、血の優秀性を証明している。

 「スタミナと底力に優れた血統ですから、その長所を伸ばすためにも軽いスピードタイプではなく同じようなタイプを配合したかった」という下屋敷さんは、迷うことなくオルフェーヴルを配合して生まれたのがオセアグレイトだ。

 しかし、生まれたのが遅かったということもあって「どちらかといえば、華奢で見栄えがするようなタイプではなかったです」。

 それでも、セレクトセールでオーナーと巡り合い3歳1月にデビュー。初勝利まで時間はかかってしまったが、徹底的に長い距離を使われ、デビュー16戦目、6度目の挑戦で重賞タイトルを手中にしている。

 「この馬の適性を見出し、そして伸ばしてくれた厩舎の方々と、理解いただいたオーナーのおかげ。これからは、さらにもう1段も2段も高いレベルが求められると思いますが、オセアグレイトもまだ伸びしろがある馬だと思います。ケガや病気をすることなく、頑張ってほしい」と期待に胸を膨らませている。