重賞ウィナーレポート

2020年10月11日 毎日王冠 G2

2020年10月11日 東京競馬場 曇 稍重 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:サリオス

プロフィール

生年月日
2017年01月23日 03歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:6戦4勝
総収得賞金
457,631,000円
ハーツクライ
母 (母父)
サロミナ(GER)  by  Lomitas(GB)
馬主
有限会社シルク
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
堀 宣行
騎手
C.ルメール
  • 土日で重賞を勝利と勢いもある
    土日で重賞を勝利と勢いもある
  • 厩舎とは目と鼻の先にある屋内周回コース
    厩舎とは目と鼻の先にある屋内周回コース

 毎日王冠(G2)で古馬を一蹴したその走りは、「3歳馬」というカテゴリーには収めきれないほどの強さだった。

 昨年の朝日杯FS(G1)でG1初制覇。3歳を迎えた今年は、皐月賞(G1)と日本ダービー(G1)で2着となるなど、能力の高さを証明してきたサリオス。ただ、今年に入ってから未勝利であったのも事実であり、またこの毎日王冠(G2)が古馬とは初めてのレースという、未知数な部分もあった。それだけにこの夏の調整が重要であり、それを託されたのは、ノーザンファーム早来の木村厩舎のスタッフたちだった。

 「ダービー(G1)の後の6月6日に牧場へ戻ってきて、約3か月ほどこちらで管理させてもらいました。ダービー(G1)では馬体を絞って出走させたこともあるのか、飼い食いのいい馬にも関わらず、なかなか馬体重が戻らず、しばらくはウォーキングマシンだけでの管理を行ってきました」と話すのはノーザンファーム早来の木村浩崇厩舎長。牧場での管理に関しては、堀宣行調教師とも頻繁にやり取りを重ねており、その意向を反映していったとも教えてくれる。

 「堀先生からは目標は毎日王冠(G2)ではなく、そのまだ先にあると話していました。それを見越した調整を行ってきましたし、馬体が戻ってからは順調に乗り込めるようにもなりました」

 これまで調整を任せられていた現役馬に関しては、厩舎に戻ってからもすぐに速い時計が出せる程の状態まで仕上げていたが、サリオスに関しては時計を出す調教を控えめにした。成長分もあったとはいえ、馬体も大きくなっていき、それでいながら走りに重たさは感じられ無かったところか、乗り出した頃は堅さが見られた動きもスムーズになっていった。

 毎日王冠(G2)のパドックにおけるサリオスの馬体重は、ダービーよりプラス10kgの538 kg。そのことよりも、毛艶の良さや馬体の張りなどに、入厩してから更に良化されたその馬体を見て、木村厩舎長は勝ち負けの競馬になることを確信する。

 その状態の良さは、レースにおいても遺憾なく発揮された。古馬を差し置いて、単勝1.3倍という圧倒的な支持を集めたサリオスは、縦長となったレースを4番手で追走。直線に入ってから加速を開始すると、あっという間に先頭に躍り出る。上がり3ハロンの34秒1はメンバー中最速であり、2着馬に3馬身差をつけるという、まさに快勝だった。

 「気持ちのいい勝ち方を見せてくれたと思います。様々な名馬に乗せてもらいましたが、その馬たちとはまた違った落ち着きというのか、どこかボーっとした一面がありながらも、レースでは信じられないようなパフォーマンスを見せてくれる馬。それだけに今後、どんな活躍を見せてくれるかが、楽しみでなりません」

 次走はまだ確定していないものの、2つ目の G1タイトルを目指すことになるのは間違い無い。毎日王冠(G2)優勝の向こうには、誰もが想像しなかったような、名馬としての歴史が始まろうとしている。