重賞ウィナーレポート

2020年09月06日 小倉2歳S G3

2020年09月06日 小倉競馬場 雨 重 芝 1200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:メイケイエール

プロフィール

生年月日
2018年02月23日 02歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
330,060,000円
ミッキーアイル
母 (母父)
シロインジャー  by  ハービンジャー(GB)
馬主
名古屋競馬 (株)
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
武 英智
騎手
武 豊
  • 一世代目の育成馬から重賞馬を送り出す快挙となった
    一世代目の育成馬から重賞馬を送り出す快挙となった
  • イヤリングの放牧地も広大かつ、しっかりとした管理がされている
    イヤリングの放牧地も広大かつ、しっかりとした管理がされている

 ノーザンファーム早来には牡馬、牝馬合わせて9つの育成厩舎がある。その中で最も新しいのが、2歳世代が騎乗育成を手がけた第一期生となる山根厩舎だ。

 山根健太郎厩舎長は、様々な育成厩舎で経験を積んできただけでなく、海外研修にも出かけるなどして、ホースマンの経験を積み重ねてきた。

 その経験が生かされた2歳世代からは次々と勝ち馬が誕生。今年、中央競馬では初めての2歳重賞となる函館2歳S(G3)では、育成馬のモンファボリが1番人気の評価を与えられた。そして、小倉2歳S(G3)では2番人気の支持を集めたメイケイエールが優勝。牧場から巣立って間も無い2歳重賞で人気馬を2頭も送り出し、そして勝利へと繋げたのは快挙と言える。

 「素晴らしい馬を預けてくださったことや、巡り合わせもあったかと思いますが、本当に嬉しい勝利でしたし、ゴールの瞬間は興奮しました」と山根厩舎長は喜びを口にする。「この2歳世代は順調に進められただけでなく、扱いやすい馬も多かったです」とも話しているが、その中でも運動神経とスピード能力の高さで秀でていたのがメイケイエールだったという。

 「ミッキーアイルの初年度産駒となりますが、ディープインパクト産駒に共通する運動神経の良さや、全身をのびのび使ったフットワークなど、集団の中にいても目立っていた馬でした」

 8月22日のメイクデビュー小倉に出走したメイケイエールだが、本来はまだ早い時期のデビューを予定していた。

 「状態を崩したことにより、デビュー時期をずらして立て直しを図ることになりました。その時に牧場の獣医陣だけでなく、厩舎のスタッフも一丸となって頑張ってくれました」

 「その姿に自分自身も前向きにさせてもらったような気持ちがしています」とも話す山根厩舎長。そのチームワークが結果となって現れたのが、快勝を遂げたメイクデビューであり、そして鞍上の武豊騎手から、「馬が本当に強かった」との言葉を引き出した小倉2歳S(G3)で見せた、圧巻の走りだったと言える。

 「牧場にいた頃から気持ちのコントロールが問題だと思っていましたが、メイクデビューでの直線で見せたフットワークの良さなど、その強さに驚かされました。小倉2歳S(G3)も重馬場を苦にすること無かったどころか、そこから伸びてくるのかという物凄い脚を使ってくれました。中1週のレースながらも、疲れ知らずと言えるような姿でしたし、改めて物凄いフィジカルだと思います」

 「育成厩舎としての目標の1つが、2歳重賞を勝つことでした」とも話す山根厩舎長。「目標を達成したからこそ、改めて、自分や厩舎長としての仕事を見直せました」とも話してくれる。

 「日下(和博)調教主任といった、これまでお世話になってきた人たちの仕事を参考にしながら、自分の色を出すよりも、培ってきた感覚や経験を大事にしながら管理してきたのが、今の2歳世代だと思います。これからも地に足を付けた仕事をしていきたいですし、健康な馬作りは勿論のこと、馬も人も楽しいと思えるような仕事をしていきたいです」

 「次の目標は育成馬でのG1制覇です」とも話す山根厩舎長。この勝利で早来で管理される牝馬厩舎は5つ全てで重賞を勝利したことになったが、山根厩舎がG1を勝てば、全ての牝馬育成厩舎でG1を勝利ともなる。

 「物凄いことですが、なるべく早くG1制覇を達成したいと思いますし、メイケイエールもそれを叶えてくれる馬だと思っています」と力強く話してくれた山根厩舎長。次はG1馬を送り出した厩舎長として、話を聞かせてもらおう。