重賞ウィナーレポート

2020年05月10日 NHKマイルC G1

2020年05月10日 東京競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ラウダシオン

プロフィール

生年月日
2017年02月02日 03歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:7戦4勝
総収得賞金
292,841,000円
リアルインパクト
母 (母父)
アンティフォナ(USA)  by  Songandaprayer(USA)
馬主
有限会社シルク
生産者
(有)社台コーポレーション白老ファーム (白老)
調教師
斉藤 崇史
騎手
M.デムーロ

 ラウダシオンはこのNHKマイルC(G1)まで6戦3勝。負けたレースはいずれも重賞であり、それでも小倉2歳S(G3)では3着、1番人気の支持を集めたファルコンS(G3)では、57kgの斤量を背負いながらも2着に入着していた。

 にも関わらず、NHKマイルC(G1)での評価は18頭中の9番人気に過ぎなかった。生産牧場である、社台コーポレーション白老ファームの石垣節雄氏は、「G1ということでメンバーが強化されたことに加えて、これまでのレース成績や血統背景からしても、マイルは長いイメージがあったかもしれません」と話す。

 母のアンティフォナは米国産馬であり、自らハナを奪っていくような前向きさとスピードを武器に、現役時は6戦して1勝。唯一の勝ち鞍をあげたダートの1000mでは2着2回の成績も残している。産駒にも短距離適性の高さは遺伝されたようで、これまでデビューした産駒たちも芝のスプリント~マイルの条件で安定した成績を残している。

 「アンティフォナの産駒は総じて母のムッチリとした体型が出ていて、ラウダシオンもまさに短距離馬といったイメージがありました。ただ、兄弟の競走成績にも証明されているように、堅実に走ってくれるとは思っていましたが、当時は重賞どころか、G1を勝つような馬になるとは想像できませんでした」

 1歳時にはシルクレーシングの募集馬としても名を連ねたラウダシオンは、その後、父のリアルインパクトも手がけたノーザンファーム空港のC1厩舎で、騎乗育成を施されていく。同世代の育成馬の中でも、一際順調に調整されていくと、6月のメイクデビュー阪神を優勝。その後はもみじS、クロッカスSでも勝利をあげていく。

 「NHKマイルC(G1)までに3勝をあげていたのは、高い能力を持っていた証明とも言えます。そう思うと展開、流れ、位置取り、そしてデムーロ騎手の好騎乗も含めて、全てが上手く噛み合いました」

 これまでのレースで逃げ、差しと多彩な戦法を取っていたラウダシオンであったが、このNHKマイルC(G1)では逃げたレシステンシアをマークする形でレースを進めて行く。

 「ペースもそれほど速くはならなかったですし、最高の位置取りだと思いました。東京の芝レースの傾向も前残りになっていましたし、直線に向いてからの手応えも良かったので、ひょっとしたら…という気持ちになりました」

 この日の東京競馬場は強風が吹いており、スタート後は馬体を押してくれていた追い風は、最後の直線になると、ゴールを阻むような向かい風となっていた。しかしながら、ラウダシオンの脚色に衰えは見られず、残り一ハロンの叩き合いでレシステンシアをねじ伏せると、そのまま1馬身半差を付けてゴール板へと飛び込んだ。

 「重賞どころかG1まで上り詰めたその強さからしても、アンティフォナとリアルインパクトとの配合が合っていたのでしょう。リアルインパクトが3歳時に安田記念(G1)を勝った際に、今回と同じ9番人気だったことにも縁を感じます」

 ディープインパクト産駒の牡馬では、最初のG1馬となったリアルインパクトであるが、後継種牡馬としても最初にG1馬を送り出してみせた。

 そのリアルインパクトだが、安田記念(G1)に勝利した後も長きに渡って芝のマイル重賞を沸かし続け、7歳時にはオーストラリアで行われたジョージライダーS(G1)にも勝利している。ラウダシオンも父のように息の長い活躍を続けながら、幾つものタイトルを積み上げていき、いつか後継種牡馬となる日が来るのかも知れない。