2020年03月31日 マーチS G3
優勝馬:スワーヴアラミス
プロフィール
- 生年月日
- 2015年03月26日 05歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:18戦6勝
- 総収得賞金
- 323,940,000円
- 父
- ハーツクライ
- 母 (母父)
- ベイトゥベイ(USA) by Sligo Bay(IRE)
- 馬主
- (株) NICKS
- 生産者
- (有)社台コーポレーション白老ファーム (白老)
- 調教師
- 須貝 尚介
- 騎手
- 藤岡 康太
数々の重賞馬を送り出してきたハーツクライであるが、その内訳を見ると、圧倒的に芝での勝ち鞍が多く、昨年のシリウスS(G3)を勝利したロードゴラッソが、中央で初めてダート重賞を制した産駒となる。降雪の影響もあって火曜日に延期された今年のマーチS(G3)。1番人気に応えたスワーヴアラミスは、ハーツクライ産駒にとって、2頭目の中央ダート重賞勝ち馬となった。
「幼少期から見栄えのする馬で、1歳にかけてグングンと馬が良くなった印象がありますが、外見的には芝向きの馬だったように思われます」と話すのは、スワーヴアラミスを生産した、社台コーポレーション白老ファームの石垣節雄氏。しかしながら、ハーツクライ産駒にしては珍しいスワーヴアラミスのダート適性の高さは、その母系が大きく影響していた。
「母のベイトゥベイは、サドラーズウェルズ系のSligo Bayを父に持つ牝馬となります。個人的にハーツクライは、ちょっと重厚感のある血統背景をした繁殖に合う種牡馬だと思っていましたが、それでもベイトゥベイが芝ではなく、ダート適性の高い産駒を送り出しているのには驚かされました」
ベイトゥベイの2番仔となるスワーヴアラミスだが、1つ下の全弟となるデッドアヘッドもダートで3勝。現3歳のキッズアガチャー(父ヴィクトワールピサ)も、2歳未勝利戦だけでなく、4月5日に行われた3歳1勝クラスもダートで勝ち上がっている。
セレクトセールの1歳セクションでは、7,560万円(税込)という高評価で落札されたスワーヴアラミスは、他のハーツクライ産駒と同様に、2歳時から3歳時にかけては、芝の中距離を中心としたローテーションが組まれていく。転機が訪れたのは、デビューから6戦目となった3歳未勝利戦。それまで勝ちあぐねていたレースが嘘のような好走を見せて2着に入着すると、続く未勝利戦、500万下と連勝。ダートに戦いの場を移してからは12戦6勝、2着4回、3着2回と安定したレースを続けて行く。
「ダートを走るようになってから強いなと思ったのは、昨年のWASJ第3戦です。ミシェル騎手にJRA初勝利を授けたレースともなったのですが、早めの仕掛けから、そのまま押し切ってしまうような走りには驚かされました」
ダート戦における安定した成績も評価される形で、このマーチS(G3)でもスワーヴアラミスは1番人気を集めてみせる。
「1番人気が勝てないレースということだけが不安でしたが、そのデータなど問題にしないようなレースを見せてくれました」と石垣氏が話すように好位からレースを進めたスワーヴアラミスは、残り1ハロンを過ぎた辺りから抜け出しを図り、後方から迫ってきたクリンチャーとの叩き合いを制してみせる。
実はこのマーチS(G3)には、同じ社台コーポレーション白老ファームの生産馬であるタイムフライヤーも出走していたが、この馬もまた、ハーツクライの産駒となる。
「タイムフライヤーも武蔵野S(G3)で2着となるなど、重賞で勝ち負けのところまで来てくれています。ハーツクライ産駒でダートを得意とする馬が、次々と出てくるのもウチの牧場らしいですね」と石垣氏は笑みを浮かべる。
最後にスワーヴアラミスの今後について訪ねると、「レース内容を見ていても、まだまだ充実していきそうですし、秋には更なる大きなタイトルも期待したくなります」とエールを送ってくれた。ステイゴールド、ゼンノロブロイ、オルフェーヴルなど、芝のG1レースを沸かす馬を送り出してきた社台コーポレーション白老ファームであるが、ダートG1で5勝をあげたタイムパラドックスや、2018年にはG1/Jpn1で3勝をあげ、JRA最優秀ダートホースに選出されたルヴァンスレーヴなど、ダートのトップホースも次々と送り出している。そう考えるとスワーヴアラミスもまた「白老らしい馬」とも言えそうであり、いつか、同世代のルヴァンスレーヴと、G1でマッチレースを繰り広げる姿も見てみたくなる。