2020年03月14日 中山牝馬S G3
優勝馬:フェアリーポルカ
プロフィール
- 生年月日
- 2016年02月25日 04歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:9戦3勝
- 総収得賞金
- 156,133,000円
- 馬主
- 山本 剛士
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 西村 真幸
- 騎手
- 和田 竜二
中山牝馬S(G3)のレース当日、フェアリーポルカを育成した、ノーザンファーム早来の佐藤厩舎では、毎年恒例となっている2歳馬取材が行われていた。レースの時間まで取材と撮影は延びた中、佐藤洋輔厩舎長は取材陣のスマートフォンから聞こえてきた、ラジオの実況でフェアリーポルカの勝利を知った。
「レースはその後で見ましたが、物凄い雪でしたね。レース後の和田騎手のコメントで、『前に行ったコントラチェックを目標にできた』と話していましたが、コントラチェックも自分たちが育成を手がけてきた馬となります」
それどころか、フェアリーポルカとコントラチェックは同じ年齢でもある。牧場時代から幾度となく顔を合わせてきたであろう2頭だが、育成時から常に高い評価を与えられていたコントラチェックとは対照的に、育成当初のフェアリーポルカは、芝の重賞で活躍するようなイメージは無かったと佐藤厩舎長は話す。
「脚の捌きにも堅さがありましたし、恵まれた馬体ながらも、調教では身体を持て余しているような走りをしていました。良くなるのは3歳に入ってからだと思っていましたし、ダートで安定したレースを見せるのではと当時は思っていました」
しかしながら7番人気だったメイクデビュー阪神を勝ち上がると、続く若駒Sでは牡馬を相手に3着に健闘。続く君子蘭賞も勝利しただけでなく、オークス(G1)にも出走を果たす。
「若駒Sでは牡馬を相手に一歩も引かないようなレースを見せてくれましたし、フローラS(G2)でも直線で勝てるのではと思えた程の見せ場を作ってくれました。そのフローラS(G2)やオークス(G1)の時点ではまだ、トップクラスの馬たちとの力の差はあるように思えましたが、その後、牧場に帰ってきた時の馬体や動きの良さを見て、これなら秋は更なる飛躍が見込めると思えるようになりました」
牧場から送り出した頃は、まだ緩さのあったその馬体は歴戦の経験もあるのか、しっかりしてきた印象があっただけでなく、それでいながら走らせてみると、そのグラマラスな馬体に似つかわしくないような軽さも見られた。
「牧場から直接厩舎に入れて、紫苑S(G3)を使う予定となっていましたし、ここでビッチリと仕上げようとも思っていました。スタッフとも試行錯誤しながら、様々なことに取り組んで来ただけに、2着という結果は非常に悔しかったですが、改めて重賞で勝ち負けできる馬になったとも感じました」
秋華賞(G1)は16着ながらも、愛知杯(G3)では勝ち馬から0秒2差の4着に入着。その愛知杯(G3)よりも1kg減となる52kgで出走が叶ったこの中山牝馬S(G3)では3番人気の評価を受ける。
モニターが雪景色になってしまうほど降雪もあり、不良馬場で行われたレースだが、フェアリーポルカは先行勢を前に置きながらレースを進めて行く。直線では外に進路を向けていくと、先に抜け出したリュヌルージュとの叩き合いを制して、見事に初重賞勝利を掴んだ。
「元々、競馬が上手な馬でしたし、そこに成長に伴った体力が付いたことが、この結果に繋がったのかもしれません。オーナー(山本剛士氏)が初めて所有された馬とも聞いていましたし、初めての重賞タイトルを自分たちが手がけた馬で授けられたことを嬉しく思います」
次走は福島牝馬S(G3)となることが陣営から発表。その次には春の最大目標とも言える、ヴィクトリアマイル(G1)への出走も予定している。更なる上昇度で重賞2勝目をあげたその向こうには、フェアリーポルカにとっても、そしてオーナーにとっても、初めてのG1タイトルが待っているのかもしれない。