2019年10月27日 天皇賞(秋) G1
優勝馬:アーモンドアイ
プロフィール
- 生年月日
- 2015年03月10日 04歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:9戦7勝
- 総収得賞金
- 1,519,563,000円
- 父
- ロードカナロア
- 母 (母父)
- フサイチパンドラ by サンデーサイレンス(USA)
- 馬主
- 有限会社シルク
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 国枝 栄
- 騎手
- C.ルメール
16頭の出走馬の中にG1馬だけで10頭。史上希に見るハイレベルな戦いを予感させた今年の天皇賞(秋)(G1)。そのハイレベルな戦いをレースレコードから0秒1差という、時計面でも申し分無い勝利をおさめたのがアーモンドアイ。これでG1は6勝目、牝馬の天皇賞(秋)(G1)勝利は、2010年のブエナビスタ以来となった。
「レースはテレビで見ていましたが、とにかく凄いとしか言い様がないですね」とは育成を手がけたノーザンファーム早来の岡真治厩舎長。最後の直線、インコースに進路を取ったアーモンドアイが、逃げきりを図ってインコースを取っていた、アエロリットの更に内側を一気にすり抜けていったときには、「他の馬とは次元が違うと思わされた瞬間でしたし、どこか競馬のゲームを見ているようでもありました」と岡厩舎長から言わしめた程の加速であり、それは、鞍上を務めたルメール騎手の、「ボタンを押したら、すぐに加速してくれた」という表現とも共通している。
ここまで圧倒的なパフォーマンスを示していながらも、「アーモンドアイが実力を発揮できずに敗れるとするなら、この天皇賞(秋)(G1)だと思っていた、」と岡厩舎長は話す。
「自分がノーザンファーム天栄に研修に出かけた数日前に入厩していたので、直接は会えませんでしたが、担当してくれていた牧場のスタッフからは、『中間はそこまで状態が上がっていない』と聞かされていました。それでもレースには迎える状態にはあるとも聞いていましたが、今回はメンバーも揃っていただけに不安も感じていました」
実際にレース前の追いきりに騎乗したルメール騎手も、「昨年のジャパンC(G1)が100%とするなら、80%の状態」とのコメントからも、決してベストコンディションでの出走では無かったことが分かる。だが、持って生まれたポテンシャルの違いをまざまざとレースでは証明していっただけでなく、精神面でのタフさも証明したこの天皇賞(秋)(G1)となった。
ゲートが開き、好スタートを決めたアーモンドアイであったが、今年の皐月賞馬となったサートゥルナーリアが前に入ると、ブレーキを踏むような形でその後ろにポジションを下げる。
「それでも折り合いがついていた時にはホッとしました。この位置で包まれながら競馬をしていくのは嫌だと思っていたので、どこから出てくるのかと思っていた中で、ルメール騎手も冷静でしたし、アーモンドアイも素晴らしい反応を見せてくれました」
勝利を確信したゴール前、ルメール騎手はガッツポーズを取っている。もし、あのまま追っていたのなら、まだ2着との着差は広がっただろうし、レコードを塗り替えての勝利も確実だったに違いない。
レースの後は身体を冷水で冷やされていただけでなく、口取りも行えなかった程に力を出し切ってしまっていたアーモンドアイだが、注目の次走は香港カップ(G1)となることが、同馬を所有するシルクホースクラブのホームページで発表された。
「ここまでの馬になったのも国枝先生や厩舎の皆さんや、ノーザンファーム天栄や、早来のスタッフだけでなく、ノーザンファームの生産やイヤリングと、アーモンドアイに携わったみんなが、アーモンドアイに対して施してくれた積み重ねだと思っています。今年はこれが最後のレースになるとは思いますが、無事に走りながら、更に大きなタイトルを積み上げてもらいたいです」とも話す岡厩舎長。ホースマンの思いや愛情を力に変えながら、G1タイトルの数を更に積み上げてくれるに違いない。