2025年度(第47期)生産育成技術者研修修了式が行われる
3月19日、新ひだか町静内田原にある公益社団法人日本軽種馬協会静内種馬場において、2025年(第47期)生産育成技術者研修修了式が執り行われた。
2025年(第47期)生産育成技術者研修の研修生は、北海道、青森県、宮城県、千葉県、神奈川県、東京都、愛知県、石川県、京都府、大阪府、兵庫県、山口県、熊本県などから集まった19人。19人は昨年4月の開講から1年間、騎乗技術、馬の飼養管理や繁殖に関する幅広い知識に加え、牧場で必要となる作業全般について学んできた。
修了式には第47期生のほか第47期生の家族や第47期生の就労先の関係者、公益社団法人日本軽種馬協会の副会長・常務理事である上野儀治氏をはじめとした役職員、北海道日高振興局局長の高見芳彦氏、日高軽種馬農業協同組合代表理事組合長の古川雅且氏、JRA日本中央競馬会日高育成牧場場長の吉田年伸氏、静内軽種馬生産振興会会長の畠山史人氏、北海道静内農業高等学校校長の篠原圭氏といった来賓が出席。修了式前には走路にて騎乗供覧が行われ、単走から2騎併走、3騎併走、4騎併走といった、厳しい研修のなかで取得した人馬一体となった騎乗技術を堂々と披露した。
研修寮の講義室にて行われた修了式では、場長の遊佐繁基氏が19人に修了証書とアメリカンファラオのキャップを記念品として授与。上野儀治氏は「まずもって、一年間の厳しい訓練を耐え抜き、本日、晴れて研修を修了される研修生のみなさまに、心よりお祝いを申し上げます。この一年間は、ウクライナおよび中東地域をめぐる国際的な不安定化により、エネルギーや食料価格が高騰したことに加え、世界的なインフレ、円安の進行により、国内でも物価上昇などによる生活面への影響が見られ、不透明感の漂う状況が続きました。
しかしながら、こうした状況にありましても、わが国の競馬は着実に開催され、中央競馬、地方競馬ともに前年を上回る売り上げを記録し、日本の馬やレースが国際的にも高い評価を得るまでに成長しました。
また、生産界におきましても、せり市場での取引が活況を呈し、昨年の年間売却頭数、総売上は過去最高を記録。生産頭数、種付牝馬頭数ともに数字を伸ばし、生産界は順調に前進を続けております。
このように、かつては厳しい状況に置かれていた競馬産業も、近年は大変な盛り上がりを見せておりますが、いつの時代においても、競馬の主役は馬であり、多くのファンを惹きつけるような強い競走馬を生産、育成し、競馬の魅力を向上させることが、競馬振興の要であります。そのためには、育成分野における専門的な訓練を受けられた、みなさんのような技術者の力が大変重要になってまいります。
本協会では、生産育成界の期待に応えうる技術者を養成するため、平成2年より本研修を実施してまいりましたが、その修了者はみなさんを含め、今年で542名となりました。本研修修了者に対する業界内の評価はひじょうに高く、今回修了されるみなさんを含め、修了生の就職率は100%となっております。
また、定着率も約8割と高い水準にあり、今日では競馬サークルを支える大きな戦力として、大変な期待をされております。本研修が競馬サークル内でこのように高い評価を得られるようになった背景には、みなさんの先輩方のご努力があったことはいうまでもありません。
みなさんもプロとしてこの道を選ばれたからには、自分自身を厳しく律して精進され、生産育成界を担う立派なホースマンになっていただきたいとおもっております。
近年は、アニマルウェルフェアに関する意識の世界的な高まりもあり、競馬ファンのみならず、多くの方々から支持されるようなアニマルウェルフェア精神に基づいた馬の管理、取り扱いの徹底が当たり前のこととして、生産育成牧場にも求められております。わたくしどもは、みなさんがここで学ばれた知識や技術、そしてなによりも、馬を愛する気持ちを余すところなく実践の場で発揮し、馬にも人にも愛されるホースマンとして活躍されることを心から願っております。
結びに、本日、ご臨席を賜りましたご来賓、ご家族のみなさまに改めて心より御礼を申し上げます。また、修了生の受け入れ関係者のみなさまにおかれましては、意欲に満ちた若者たちに対する温かいご指導とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、はなはだ簡単ではございますが、ごあいさつといたします」と公益社団法人日本軽種馬協会会長理事である河野洋平氏の式辞を代読した。
続けて、「先ほどの騎乗ぶり、大変立派なものでございました。一年間でこのように成長されたことにつきまして、大変感動しております。これからみなさん、社会に出てですね、いろいろな経験をされるとおもいますけども、この一年間の成長を見ればですね、どんなことも乗り越えていけることとおもいます。
わたしもいろんなことを経験してまいりましたけども、人生というものは、いろんな課題、問題にぶつかるということは、これはもういたしかたありません。人生はこういうふうにできているとおもったほうがいいとおもいます。ただ、どんな課題もですね、積極的に前向きに取り組めばですね、乗り越えらないことはないということを、わたしも実感しております。
これから、人生において、いろいろなことがあるとおもいますけれども、楽しい気持ちと積極的に取り組む気持ちを忘れずに、乗り越えていただきたいとおもいます。
みなさん、今日はですね、アメリカンファラオ、トリプルクラウンの帽子をいただいたようですけれども、まずは三冠馬のような馬を育てられることと、そして人生の方もですね、いろんな意味で勝者となるように、毎日の気持ちを忘れずに、今後の人生を送っていただきたいとおもいます。本日はほんとうにおめでとうございます」とはなむけの言葉を述べた。
最後は第47期生を代表して北海道出身の村田貴宣氏が謝辞。「厳しい冬の寒さも和らぎ、春の陽気を感じ始める季節となりました。本日は、ご多忙のなか、わたしたち第47期生の修了式にご臨席賜り、まことにありがとうございます。
わたしたち第47期生は、昨年4月に研修を開始し、この一年間、まさに馬づけの日々を過ごしてまいりました。わたしも含め、馬に触れたことも乗ったこともない者がほとんどでしたが、いまでは厩舎作業や手入れ、騎乗まで行えるようになりました。すべてがはじめての経験でした。生活リズムの変化や日々の厩舎作業にも苦労し、とくに最初の1か月は肉体的にも精神的にも厳しい日々が続きました。
それでも自分の夢のために、研修生同士で支え合い、切磋琢磨しながら、本日を迎えることができました。厩舎管理では、一から仕事の進め方を教えていただき、少しずつではありますが、作業の正確さや効率を深めていくことができました。七厩三乗、という言葉があるように、馬に乗る以前に、まず厩舎での作業を徹底することの重要さを学び、この学びは、いまでもわたしのなかで大切な言葉として残っています。
移乗訓練では、常歩から始まり、速歩、駈歩と段階的にステップアップしていきました。わたしは乗馬経験がなかったため、馬装の仕方もわからず、常歩であっても馬の揺れに恐怖を感じていましたが、はじめて馬にまたがった時の、恐怖のなかにも楽しさが入り混じった感情は、いまでも鮮明に覚えています。
また、わたしはサッカーなどのスポーツ経験がありますが、乗馬はほかの競技とは異なり、自分以外の生き物と向き合い、コントロールするという特徴があります。自分自身のバランスを保つことはもちろん、どのような扶助を使えば馬が応えてくれるのか、日々試行錯誤を重ねてまいりました。落馬を経験した回数も数えきれませんが、いまでは障害飛越や走路での騎乗も行えるようになり、騎乗の楽しさを実感できるようになりました。
騎乗訓練以外にも、手入れや引き馬を通じて、馬の取り扱いや管理方法を学び、馬と人との信頼関係を築くための接し方について、理解を深めることができました。また、研修乗馬に限らず、繁殖牝馬や当歳馬の管理にも携わり、それぞれの馬に応じた対応の重要性を実感しました。
さらに、講義や実習を通じて、専門的な知識とプロとしての馬の扱い方を学ぶことができました。とくに本年は、 JRA日高育成牧場において、実習の機会を多くいただき、当歳馬の離乳や一歳馬の馴致、騎乗、さらには繁殖牝馬の分娩まで、貴重な経験を積むことができました。このような恵まれた環境のなかで研修を受けることができたことに深く感謝しております。
また、研修だけでなく、さまざまなレクリエーションもありました。春には桜を見に行き、夏には海へ出かけ、何度行ったかわからないほどバーベキューを行うなど、研修生同士の親睦を深めることができました。全国各地から集まり、高校卒業後間もない人もいれば、わたしと同様、社会人経験者の人もいて、非常に個性あふれる集団だったとおもいます。19名の研修生がここで出会えたこと、そして仲間との数々の思い出も、わたしがこの研修で得た貴重な財産です。同期と出会えたことを心から誇りにおもいます。
最後に、これまで多大なるご指導を賜りました先生方をはじめ、実習でお世話になりました種馬場のみなさま、日々の生活を支えてくださった食堂のみなさま、温かく見守り続けてくれた家族、そして、 32頭の研修乗馬に、心より感謝申し上げます。ここで学んだすべてを糧に、立派なホースマンとして、また社会人として、いっそう精進してまいりますことを誓い謝辞とさせていただきます」と述べた。















