11月28日午前7時ころ、新ひだか町静内田原にある公益社団法人日本軽種馬協会静内種馬場に、2026年から種牡馬として新たに供用を開始するアメリカンファラオが、元気な姿でスタッドインした。

 アメリカンファラオは牡13歳の鹿毛。父はパイオニアオブザナイル、母はリトルプリンセスエマ、母の父はヤンキージェントルマンというアメリカ産馬で、父の父は2011年から2016年まで公益社団法人日本軽種馬協会静内種馬場において種牡馬生活を送ったエンパイアメーカーになる。

 アメリカンファラオの競走成績は11戦9勝2着1回。2014年にデビューし2戦目のデルマーフュチュリティ(G1)で初勝利。初勝利がG1という離れ業を演じ世界の度肝を抜いた。続くフロントラナーS(G1)にも優勝。2歳時は3戦2勝の成績で米2歳牡馬チャンピオンに選出された。

 3歳時の2015年も快進撃は続き、ケンタッキーダービー(G1)、プリークネスS(G1)、ベルモントS(G1)を制覇。1978年のアファームド以来、じつに37年ぶりのアメリカ三冠を達成した。その後、ハスケル招待S(G1)を快勝し、トラヴァーズS(G1)2着を挟んで迎えたラストランBCクラシック(G1)では、スタートから先頭に立つと最後まで影をも踏ませぬ圧倒的な強さで2着以下に6馬身1/2差、コースレコードを5秒以上更新する2分00秒07のタイムで完勝。文句なしの満票で米国年度代表馬および最優秀3歳牡馬に選出され、2021年には米競馬殿堂入りも果たした。

 2015年に現役を引退した後は、ケンタッキー州にあるアシュフォードスタッドで種牡馬入り。2017年から2021年にはオーストラリアへのシャトルスタリオンとしても供用された。

 海外ではビホールダーマイルS(G1)に勝利したアズタイムゴーズバイ、サンタラリ賞(G1)に勝利したアバヴザカーブ、ビングクロスビーS(G1)に勝利したアメリカンセオレム、Qエリザベス二世チャレンジC(G1)に勝利したハーヴェイズリルゴイル、ヴィクトリアダービー(G1)に勝利したゴールドラッシュグル、ヴィクトリアダービー(G1)に勝利したリフロケット、ニューヨークS(G1)に勝利したマーケットセグメンテーション、クリテリヨムアンテルナシヨナル(G1)に勝利したヴァンゴッホなどが活躍。日本で走った主な産駒には2021年、2022年のフェブラリーS(G1)、2022年のマイルChS南部杯(Jpn1)、2020年のシリウスS(G3)、2020年のユニコーンS(G3)などを制覇して2022年度JRA賞最優秀ダートホースに選出されたカフェファラオ、2020年ジャパンDダービー(Jpn1)、2021年のダイオライト記念(Jpn2)、2020年の浦和記念(Jpn2)などを制覇したダノンファラオ、2025年の武蔵野S(G3)などを制覇したルクソールカフェ、2023年のマリーンC(Jpn3)などを制覇したペルアアなどがいる。

 アメリカからの輸送、横浜市にある動物検疫所からの輸送に立ち会った遊佐繁基場長は｢無事に到着しました。ほんとうに待ちに待った馬でしたので、こうやって実際に来て、ほんとうにうれしいです。輸送がありましたが、検疫中もおとなしくてかしこく、現地からの担当スタッフがついてきてくれたので、まったく問題なく良いコンディションで迎え入れることができました。体つきもアメリカにいたときより、少ししまった感じで、すぐにでも種付シーズンを迎えられるような感じですね。向こうからもグルームが帯同してますので、万全の態勢でシーズンを望めるとおもいます。アメリカンファラオを導入するにあたっては、何年もかけて根気強く交渉を重ねてきました。導入に際しては地方競馬全国協会様による令和7年度競走馬生産振興事業も活用しましたので、地方競馬全国協会様には感謝のきもちでいっぱいです。血統表にエンパイアメーカーの名前があるのも感慨深いです。実際に見ているとエンパイアメーカーと似た動きをするので、血がつながっているのだと実感します。日本の馬産が発展するような活躍を見せてほしいです｣と話した。

 公益社団法人日本軽種馬協会静内種馬場では2026年の1シーズンの供用。種付料は受胎確認後支払｢2026年10月31日期限払い、流死産時又は産駒死亡時(生後30日以内)種付料返還特約付き｣で4,000,000円に設定されている。

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