馬産地ニュース

新冠町でサラブレッドの遺伝学に関する講習会が開催される

  • 2025年11月27日
  • 講師として招かれたナターシャ・ハミルトン博士
    講師として招かれたナターシャ・ハミルトン博士
  • 新冠町で開催された講習会
    新冠町で開催された講習会
  • 生産者や獣医師など250人が出席した
    生産者や獣医師など250人が出席した

 11月25日夜、新冠町中央町にある新冠町レ・コード館町民ホールにおいて、豪州の馬遺伝学の第一人者によるサラブレッドの遺伝学に関する講習会が開催された。

 この講習会は公益社団法人日本軽種馬協会の主催。NAR地方競馬全国協会の補助を受けて実施している経営高度化指導研修事業の一環で、講師にはレーシングオーストラリアウマ遺伝学研究センター所長のナターシャ・ハミルトン博士、ファシリテーターに公益財団法人競走馬理化学研究所遺伝子分析部遺伝子分析課長の戸崎晃明博士を招いた。

 講習会には日高や胆振から約250人の牧場関係者や獣医師が出席。講習会の開催に先立ち公益社団法人日本軽種馬協会静内種馬場次長の山本竜太氏は「これまで経営高度化指導研修事業では生産、育成、繁殖、獣医療など多岐にわたる分野で研修を行ってまいりましたが、今回はそのなかでも近年、国内外で急速に重要性が高まっております、馬の遺伝学をテーマに取り上げております。今日の講習会では、オーストラリアのエクワイン・ジェネティクス・リサーチ・センター所長であり、国際的に著名な馬遺伝学研究者であるナターシャ・ハミルトン博士を講師にお迎えしております。また、本日の進行および解説のサポートとして、公益財団法人競走馬理化学研究所遺伝子分析課長、戸崎晃明博士にファシリテーターを務めていただきます。本日は、生産者のためのサラブレッド遺伝学の最新情報をということで、遺伝学の基礎、遺伝学と繁殖能力、遺伝的変異と近親交配といったテーマについて、最新の科学的知見を交えながら、現場のみなさまにとって、実務に役立つ内容をわかりやすくご解説いただく予定です。本講習会がみなさまの今後の軽種馬生産、育成管理に少しでもお役に立てれば幸いです。どうぞ最後までご聴講くださいますようお願い申し上げます」とあいさつした。

 シドニー大学獣医学部で神経生理学と競馬科学を指導するほか、競走馬の病気、競走寿命に影響を与える遺伝的要因を研究し、遺伝子ドーピング検出法を開発したナターシャ・ハミルトン博士は、「生産者のためのサラブレッド遺伝学の最新動向」と題した講演で、遺伝学の基礎、競走能力・健全性に影響を与える遺伝的要因、繁殖能力に及ぼす遺伝的要因、近親交配と遺伝的多様性について言及。要所要所でファリシテーターの戸崎晃明博士が補足説明した。

 フロアからは「胚死滅についてGGとCCだと危険という話ですが、GGとCCのどちらかがAAであれば気にすることはないという認識で良いのか、ここを調べることで繁殖牝馬の価値の評価にもかかわってくるのか?」、「スピード遺伝子についてですが、お母さんがCC、お父さんがCCだと子どももCCでよいのか?TTやCTになることはありえないのでしょうか?」といった質問があった。

 講演は当初2時間の予定だったが、内容が濃かったこともあり30分以上もオーバー。出席者からは「長かったですが興味深いテーマだったのであっという間でした」という感想があった。