馬産地ニュース

強い馬づくりのための生産育成技術講座2025が開催される

  • 2025年11月20日
  • 1998年から続いている強い馬づくりのための生産育成技術講座
    1998年から続いている強い馬づくりのための生産育成技術講座
  • 講師を務めたJRA日高育成牧場の丹羽秀和氏
    講師を務めたJRA日高育成牧場の丹羽秀和氏
  • 約100人の生産育成関係者が出席した
    約100人の生産育成関係者が出席した

 11月17日夜、浦河町大通にある浦河町総合文化会館4階文化ホールにおいて、強い馬づくりのための生産育成技術講座2025が開催された。

 強い馬づくりのための生産育成技術講座2025は、JRA日高育成牧場と日高軽種馬生産振興会青年部連合会が主催し、日高軽種馬農業協同組合が後援。JRAの生産育成業務で得られた知見を、軽種馬の生産育成にたずさわる牧場関係者への情報提供・技術普及を目的としており、1998年から行われている。本年はJRA日高育成牧場の遠藤祥郎氏による「日高育成牧場の調教法2025」とJRA日高育成牧場の丹羽秀和氏による「当歳馬の感染症(対策と最新情報)」の2つがテーマになった。

 この日は浦河町の生産者や育成牧場の関係者など約100人が出席。主催者を代表して浦河町軽種馬生産振興会青年部田中駿部長は「今日は進行を担当させていただきます。今回は調教法と感染症について講演していただきます。わたしたちが仕事をするうえでたいへん勉強になる話とおもいます。大きな会場ですので、なかなか質問しにくいということがあるかもしれませんが、遠慮なく質問していただければとおもいます」

 JRA日高育成牧場吉田年伸場長は「強い馬づくりのための生産育成技術講座は日高育成牧場に生産育成研究室ができたときから続いている講習会です。多くのみなさまと顔を突き合わせて活発な意見交換、情報交換になることを期待している企画です。この馬産地の日高に日高育成牧場が存在している意義として、産地のみなさまからニーズがある生産育成研究を続け、みなさまと活発に情報交換していきたいと考えております」とあいさつした。

 「日高育成牧場の調教法2025」の講師を務めた遠藤祥郎氏は、1979年生まれ、札幌市出身。2005年に帯広畜産大学を卒業、JRA入会。美浦トレーニングセンター競走馬診療所に配属され臨床を4年、2009年に日高育成牧場に異動し育成を2年、繁殖を2年、2013年に宮崎育成牧場に異動し育成を2年3か月経験した。2015年には1年9か月にわたり米国で研修。2017年に日高育成牧場に異動し繁殖を3年、育成を6年担当している。また、山口大学大学院連合獣医学研究科より博士(獣医学)の学位を取得しているという。

 講演のなかで遠藤祥郎氏は、まずはおとなしい馬を作る(BTC生徒に乗せる&職員の怪我を防ぐ)やり方と、故障を防ぎながら馬を仕上げるやり方を説明。今後の課題として、(ナチュラル)ホースマンシップに則った馬の取り扱い、グランドワークの技術向上、馬の福祉に反しない調教法の開発の3つを列挙した。

 「当歳馬の感染症(対策と最新情報)」の講師を務めた丹羽秀和氏は、1999年に鹿児島大学農学部獣医学科卒業。4年間獣医公衆衛生学教室を経験し、2003年東京大学農学生命科学研究科博士課程修了し、獣医公衆衛生学教室獣医学博士になった。2003年にJRAに入会し競走馬総合研究所に配属。22年間、馬の細菌感染症の研究に従事している。2007年には1年間、アメリカのCenters for Diseases and Prevention(CDC)に海外研修。2025年に日高育成牧場生産育成研究室に異動してきた。また、山口大学連合大学院客員教授でもある。

 丹羽秀和氏は講演のなかで、新生仔馬の敗血症(子馬病)、ロドコッカス・エクイ感染症、馬ロタウイルス感染症、ローソニア感染症、サルモネラ症について解説。それぞれの感染症の症状や発生状況、治療、予防、対策などについて言及した。