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道営記念でベルピットが優勝しホッカイドウ競馬重賞最多勝利記録を更新

  • 2025年11月12日
  • 今日もまた独走でゴールを駆け抜けた
    今日もまた独走でゴールを駆け抜けた
  • しっかりと結果を出せて良かったと、桑村真明騎手
    しっかりと結果を出せて良かったと、桑村真明騎手
  • 15個目の重賞レイはホッカイドウ競馬史上で単独トップ
    15個目の重賞レイはホッカイドウ競馬史上で単独トップ
  • この日、プレゼンターを務めた人気プロレスラーの内藤哲也さん(左)と桑村真明騎手
    この日、プレゼンターを務めた人気プロレスラーの内藤哲也さん(左)と桑村真明騎手
  • 表彰式は本馬場で行われた
    表彰式は本馬場で行われた

 ホッカイドウ競馬の年間王者決定戦「農林水産大臣賞典 第68回道営記念」(JBC協会協賛タイトルホルダー賞)が11月6日に門別競馬場2,000m(やや重)で行われ、先手を奪った桑村真明騎手騎乗の1番人気ベルピットが2分6秒4のタイムで2着パッションクライに3馬身差をつけて優勝。通算成績を25戦19勝2着3回3着1回(重賞15勝)とし、これまでシバフィルドーが記録していたホッカイドウ競馬重賞最多勝利記録を更新した。

 同馬を管理する角川秀樹調教師にとっては9月の瑞穂賞(優勝馬ベルピット)に続く重賞勝利で今年6勝目、通算144勝目。桑村真明騎手にとっても9月の瑞穂賞(ベルピット)以来の重賞勝利で今年5勝目、通算71勝目の重賞勝利。なお、角川秀樹調教師にとっては道営記念5勝目、騎乗した桑村真明騎手は道営記念3勝目となった。

 3歳以上馬にとっては1年を締めくくる大一番。一昨年の三冠馬で2年連続年度代表馬を狙うベルピットに、今年の三冠馬ソルジャーフィルドと昨年の北海優駿優勝馬パッションクライが挑む図式。とはいえ、単勝オッズはベルピットが1.0倍で2番人気ソルジャーフィルドが9.0倍。3番人気のパッションクライは13.2倍と、まさに「1強ムード」の中で行われた。

 圧倒的な人気を集めたベルピットは、シーズン初戦のドウデュースプレミアムこそ不覚を取ったが「カウントアップチャレンジM」に指定されているコスモバルク記念、赤レンガ記念、旭岳賞、瑞穂賞は、いずれも他馬に影をも踏ませぬ快走劇を続けた。その合計着差は34馬身。多くのファンが昨年に続くホッカイドウ競馬の中距離重賞完全制覇を期待して発走時刻を待った。

 ゲートが開いて、まず行く気を見せたのは11歳馬アナザートゥルースだった。昨年の道営記念ではベルピットに半馬身差まで詰め寄っており、名古屋大賞典(Jpn3)ではJRA勢に交じって臆することなく5着。この時はベルピットに先着している。しかし、もう1年以上も勝ち星からは遠ざかっているベテランランナーだ。内枠を利するようにジワリと先行する。しかし、外からベルピットが並びかけて、1コーナーをまわり終る頃には2番手に。この2頭が作り出した前半3ハロンのレースラップは36秒(12秒6~11秒4~12秒)。同じやや重馬場で行われた昨年よりも1秒6も速い猛ラップとなった。

 レース後に桑村真明騎手が「速いのは分かっていたが、馬の行く気にまかせた」と振り返ったシーンだ。そして、このペースに食らいついて行ったのは、本来は末脚を行かすタイプの競馬で実績を積み上げてきたソルジャーフィルドだった。ベルピットから離されまいという3番手キープは「2着は要らない」という心意気のようにも見えた。その外には昨年に王冠賞であっと言わせたプラセボ。そんな有力馬たちが作り出す澱みのないペースは後続馬たちから容赦なくスタミナを奪い取り、徐々に隊列が伸びていく。レースが動いたのは、残り1,000m標付近。これら先行勢をマークする位置にいたパッションクライが山本聡哉騎手のリードでインコースから1頭ずつ交わして2番手に上がり、4角を回る。懸命に前を追うが、その差はなかなか詰らない。そして、先行グループを形成していた馬たちが力尽きる中でしぶとく伸びてきたのは三冠競走すべてでベルピットの2着と続けてきたニシケンボブ。2年連続3着と健在ぶりを見せた。

 「ベルピットのペースで流れたと思うが、いつもに比べると後ろの馬が近かった。それでも結果を出せて嬉しい」と桑村真明騎手。戻ってきた愛馬を迎えた角川秀樹調教師は「道営記念は特別なレース。人気に応えられてほっとしている」と喜びを表現した。次走は、馬の状態次第としながらも昨年同様名古屋大賞典(Jpn3)を目指すという。

 ホッカイドウ競馬に不滅の金字塔を打ち立てた師弟は、角川秀樹調教師が騎手時代に主戦を務めたシバフィルドーの記録を41年ぶりに塗り替えた事について桑村真明騎手は「角川秀樹調教師の管理馬で勝てた事が嬉しい」とインタビューに応え、角川秀樹調教師は「自厩舎のジョッキーで達成できたのが良かった」と述べた。ホッカイドウ競馬という枠を超えた活躍への期待が高まる1戦となった。