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東京ダービー(Jpn1)でナチュラルライズ優勝、史上初となるダート三冠制覇にリーチ

  • 2025年10月06日
  • 母のレディマドンナ
    母のレディマドンナ
  • 日高管内で生産、イヤリング、育成と各部門の牧場を備える
    日高管内で生産、イヤリング、育成と各部門の牧場を備える
  • 広大な放牧地は管理も行き届いている
    広大な放牧地は管理も行き届いている

 2024年から始まったダート三冠競走において、グランド牧場の生産馬であるナチュラルライズが、一冠目の羽田盃(Jpn1)に続いて、二冠目となる東京ダービー(Jpn1)も優勝。史上初となるダート三冠制覇にリーチをかけた。

 ナチュラルライズは父キズナ、母レディマドンナ(母の父Distorted Humor)の血統馬。伊藤佳洋氏が母系の血統や産駒の出来を考慮した上で、キズナを配合相手に選びだした。

 「祖母のドリームライターを導入したのは父(伊藤佳幸氏)となります。母父に入ったDistorted Humorは種牡馬成績もさることながら、ブルードメアサイアーとしても優秀な成績を残していました」(伊藤佳洋代表)

 2022年の2月2日に誕生したナチュラルライズは、初仔とは思えない程に恵まれた馬体をしていた。その後はせり馴致を行われた後に、同年のセレクトセール当歳セッションへと上場。オーナーである吉岡寛行氏が3,630万円(税込)で落札する。

 その後はグランド牧場のイヤリング部門、そして、日高町のファンタストクラブ内にあるグランド牧場の育成部門でトレーニングを重ねていき、2024年のメイクデビュー札幌(ダート1,700m)でデビューを迎える。

 「自分が代表になってから、生産、イヤリング、育成とそれぞれの部門に、エキスパートとなるスタッフを置いただけでなく、自分自身も頻繁に各部門を回りながら、幾度となくミーティングを重ねてきました。ナチュラルライズは競走馬への階段を順調に登っていっただけでなく、調教でも目覚ましい動きをしていたので、デビュー戦から期待を持っていました」

 メイクデビュー札幌では2着馬に1秒差をつける快勝を果たし、続くオープンのカトレアS(ダート1,600m)も優勝。1番人気に推された全日本2歳優駿(Jpn1、ダート1,600m)は折り合いを欠いて4着に敗れたものの、3歳初戦となる京浜盃(Jpn2、ダート1,700m)を勝利して、ダート三冠競走の第一冠となる羽田盃(Jpn1、ダート1,800m)へと挑んでいく。

 「育成時は誰に聞いても乗りやすい馬だと聞いていただけに、全日本2歳優駿(Jpn1)の走りは驚きました。競馬場ではテンションも高まってしまうのでしょうし、全日本2歳優駿(Jpn1)のあとは厩舎や調整先で、様々な工夫をしてくれたと聞いています」

 それが証明されたのが羽田盃(Jpn1)での走りとなった。好スタートからしっかりと折り合いが付いていくと、最後の直線では先頭に躍り出て、2着馬には5馬身差を付けての快勝。伊藤佳洋氏が代表となってからは、これが初めてのJpn1制覇となっただけでなく、叔父にあたる伊藤圭三調教師にとっても、厩舎開業以来27年目にして初のJpn1勝利となった。

 続く東京ダービー(Jpn1)は圧倒的な1番人気を背負うも、大観衆を前に気負ってしまったのか。ゲートが開くと行きたがる素振りを見せるようになり、たちまち先頭へと躍り出る。ただ、向こう正面に入ってからは息も入るようになり、そのまま影を踏ませることなく逃げ切り勝ちをおさめる。決して万全のレースではなかったにも関わらず、2分3秒8の勝ち時計は、従来のレースレコードを1秒更新してみせた。

 「引っかかった時に抑えることなく、この馬の走りを貫いたことが良かったと思います。人気を背負っていただけにひやひやもしましたが、ゴール前でファンの皆さんの声援が聞こえてきた時には、嬉しさも沸いてきました」

 レース後は北海道へと戻り、グランド牧場の育成部門で夏を過ごした。ここでは改めて折り合いを付けるためのトレーニングが行われただけでなく、秋競馬に向けての英気を養うこともできたという。

 「北海道ではとてもリラックスして過ごしてくれました。いい状態で厩舎へと送り出せただけに、ジャパンDクラシック(Jpn1)でもいいレースをしてくれると思います」

 今年のジャパンDクラシック(Jpn1)には、これまでの2冠を戦ってきたライバルに加えて、夏競馬で力を付けてきた馬たち、そして海外で実績を残した同世代の馬たちも出走する。ただ、桁違いの能力を証明し続けるナチュラルライズが、自分のレースを貫けたのならば、史上初のダート三冠制覇は達成されるに違いない。