北海道静内農業高等学校生産馬が北海道セプテンバーセールで売却される
9月16日、新ひだか町静内神森にある北海道市場を会場に開催された日高軽種馬農業協同組合が主催する北海道セプテンバーセールにおいて、新ひだか町静内田原にある北海道静内農業高等学校(篠原圭校長)の生産馬が、3,520,000円(税込、以下同)と9,350,000円で売却された。
3,520,000円で売却されたのは上場番号228番のアツコ2024。父は新ひだか町静内田原にある公益社団法人日本軽種馬協会静内種馬場で供用され、2歳世代が本邦初年度産駒になるミスチヴィアスアレックス、母の父はワークフォースという血統で2024年3月12日に生まれた鹿毛の牝馬になる。
せりは生産科学科3年生で埼玉県入間市出身の佐川虎之介さんが担当。複数のバイヤーから声がかかり、兵庫県の金岡信康氏にハンマーが落ちた。
将来は馬主になってバイアリータークの血をつないでいきたいという佐川虎之介さんは「ホッとしました。生産馬では久しぶりにせり上がっていったのでうれしかったです。彼女は基本的に人懐っこくて人のいうことに従順な馬です。今回、初めての所に来て最初は興奮してましたが、落ち着いたらおとなしくなって素直にいうことを聞いてくれました。ダートの短いところからマイル戦にかけて、日本競馬を盛り上げてくれる馬になってほしい」と話した。
購買した金岡信康氏は「馬も見ましたが、高校生のみなさんが世話をしてつくってきた夢を一緒に追いかけられたらと考えて購買しました。中央競馬と地方競馬のどちらでデビューするかはまだ決めてませんが、地方ならわたしの地元である園田、姫路の競馬場でと考えています。病気やケガなく最後まで走り切ってくれる競走馬になってほしいというのが一番の望みです」と話した。
9,350,000円で売却されたのは上場番号346番のナリタトップスター2024。父は公益社団法人日本軽種馬協会静内種馬場で供用され、1歳世代が本邦初年度産駒になるカラヴァッジオ、母の父はディープインパクトという血統で、2024年4月24日に生まれた黒鹿毛の牡馬になる。
せりは生産科学科3年生で埼玉県富士見市出身の石井久優さんが担当。こちらも数多くのバイヤーから声がかかり、最後は東京都の犬塚悠治郎氏が購買した。
生徒と一緒に記念写真に納まった犬塚悠治郎氏は「一番欲しかった馬です。農業高校の馬を買うことができてうれしいです。カラヴァッジオ産駒のおとこ馬ということで活躍が見込めそうだとおもって、高くなっても買うつもりでいました。来年、入厩先は未定ですが、中央でデビューさせたいと思っています。新馬勝ちを狙えるように頑張っていきます。事前に画像などをチェックしていましたが、実馬を見るのは今日が初めてでした。すこし気性が強いですが、それがよいほうに出れば走ると思っています。大事に育てて大成させたいと思います」と話した。
将来の進路は生産牧場で働きたいと考えている石井久優さんは「天翔(ナリタトップスター2024)を認めてくださって、声をかけてくださったことがうれしくて感動しました。天翔が生まれたときから携わってきました。最初はうまくコミュニケーションが取れなくて上手に馬を引くことができなかったのですが、ここ数か月、時間をかけて信頼関係を築くことができるようになり、今日はしっかり天翔をリードできました。先日、講師でいらした(JRA元騎手の)藤田菜七子さんや(馬産地ライターの)村本浩平さんのアドバイスが参考になりました。レースで活躍して天翔がもっと認知してもらえるようになってほしいです」と話した。
北海道静内農業高等学校は国内で唯一、軽種馬生産を授業の一環として取り入れている公立高校。今年は父がデクラレーションオブウォー、母がナリタトップスターになる鹿毛の牡馬、父がマクフィ、母がアツコになる鹿毛の牝馬の2頭が生まれているという。