フローラルCはニジコが重賞初勝利
9月18日、門別競馬場の1,600mコースで、で11月13日に行われるブロッサムC、12月31日に大井競馬場で行われる東京2歳優駿牝馬へとつながる「JBC協会協賛第25回フローラルC」(ダノンプレミアム賞)が9頭立てで行われ、序盤は後方に待機していた石川倭騎手騎乗の3番人気ニジコが最後の直線で1.8倍の人気を集めていたバレンタインケーキを交わし、1分45秒0(良)で優勝。2度目の重賞挑戦で初のタイトルに輝いた。管理する米川昇調教師にとっては昨年の王冠賞(優勝馬プラセボ)以来の重賞勝利で通算35勝目。手綱をとった石川倭騎手にとっては8月の北海道スプリントC (Jpn3)(同ヤマニンチェルキ)に続く重賞勝利で通算58勝となり、マイネルメダリストやアースソニックなど生産している昭和51年創業の新冠伊藤牧場にとっては、2020年の九州ジュニアCh(優勝馬シェリーデービー)以来の重賞勝利となった。
先手を取ったのは7番人気のティーズセラフ。7月に逃げて初勝利を上げたものの、その後の2戦は控える競馬で結果を出すことができなかっただけに、小野騎手は何が何でも行く構え。そこにリリーC3着の6番人気スルーザミルと7月のルビー特別を逃げ切っている5番人気リバーストリートが絡んでペースが速くなった。ツーターンの内回りコースとはいえ、結果から言えば前、後半の半マイルが50秒4、54秒6だから、かなり速い。人気を集めていたバレンタインケーキはこれらを見るような位置で、デビュー3戦目のクィーンズジョリーもインコースから食らいつき、7月のターフチャレンジでバレンタインケーキに次ぐ2着の2番人気ウィルラウスも前を射程圏内に置くポジション。こうした流れにほくそ笑んだのは「レース前はポジションにはこだわっていなかったが、結果的に人気馬を前に置くことができた」と言う3番人気ニジコに騎乗した石川倭騎手だった。デビュー戦を新馬らしからぬ直線一気で勝ち上がり、その後もウィナーズチャレンジ7着、ルビー特別5着、フルールC4着と短い距離での追走に苦しみながらも末脚に磨きをかけてきた。
父は菊花賞(G1)2着で、古馬になってから阪神大章典(G2)、そして天皇賞(春) (G1)を連勝したレインボーラインで、母はホワイトマズル産駒のブチャコ。ホワイトマズルは種牡馬としてイングランディーレ(天皇賞(春) (G1))アサクサキングス(菊花賞(G1))などを送るスタミナ自慢だ。この日は初めて経験するツーターンコースという事もあって強い前進気勢を見せたが「距離が伸びれば良いと思っていた」と米川昇調教師が言うようにしっかりと折り合い、内回りコースの勝負どころから進出開始。3~4角の中間地点で先頭に立って逃げ込みを図るリバーストリートと、それを懸命に追いかけるバレンタインケーキをゴール前では余裕をもって交わして陣営の期待に応えた。
「体調に上下動がないタイプ。それが長所」という米川昇調教師は久しぶりの重賞制覇に笑顔でインタビューに応え、「今日は折り合いに専念したが、競馬を覚えてくれれば距離は心配ないと思う。課題は…ありません」と石川倭騎手。短距離路線はリュウノフライトが一枚抜けている状態だが、牝馬中距離路線の有力女王候補に躍り出た。