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真夏の女王決定戦第37回ブリーダーズGC(Jpn3)でライオットガールが優勝

  • 2025年09月02日
  • 会心の騎乗に思わずガッツポーズの岩田望来騎手
    会心の騎乗に思わずガッツポーズの岩田望来騎手
  • 堂々と引き上げてきたライオットガール
    堂々と引き上げてきたライオットガール
  • JRAの藤田元騎手が誘導馬に騎乗した
    JRAの藤田元騎手が誘導馬に騎乗した
  • 「末脚を生かそうという作戦通りでした」と岩田望来騎手
    「末脚を生かそうという作戦通りでした」と岩田望来騎手
  • 4つの目の重賞勝利「馬も自信を取り戻してくれたのでは」と岩田望来騎手
    4つの目の重賞勝利「馬も自信を取り戻してくれたのでは」と岩田望来騎手
  • 笑顔の関係者。左端が中村直也調教師
    笑顔の関係者。左端が中村直也調教師

 3歳以上の牝馬限定戦となって12年目。真夏の女王決定戦JBC協会協賛農林水産大臣賞典「第37回ブリーダーズGC(Jpn3)」が8月28日、門別競馬場2,000mを舞台に9頭立てで行われ、道中は中団を進んだ岩田望来騎手騎乗の4番人気ライオットガールが、豪快な末脚を繰り出して2分6秒7(良)で優勝。通算成績を22戦7勝2着1回3着3回(重賞4勝)とした。管理する中村直也調教師にとっては2025年8月14日に行われた北海道スプリントC(Jpn3) (優勝馬ヤマニンチェルキ)に続く重賞勝利で通算7勝目(ダートグレード含む)。騎乗した岩田望来騎手にとっては今年5月の葵S (G3) (優勝馬アブキールベイ)に続く重賞勝利で通算22勝目。

 3日間で延べ3,404人のファンが足を運んだ門別競馬場恒例のシュエット・ジュマン・フェスティバル(素敵な牝馬の祭り)の〝メイン〟はブリーダーズGC(Jpn3)。今年は前走のエンプレス杯(Jpn2)こそアタマ差不覚をとったもののデビューから3つのダートグレード含み8連勝を記録したオーサムリザルト(オッズ1.4倍)と、同じく不敗のダブルハートボンド(オッズ3.2倍)が顔を揃え、現役最強と目される砂の女王と、その座を脅かす新星の対決が興味をそそった。人気もそれを示しており、やや離れた3番人気に22年の本レース優勝馬で、JBCLクラシック(Jpn1)3年連続2着グランブリッジがオッズ7.0倍で続き、単勝10倍台不在というメンバー構成となった。

 門別競馬場2,000mコースは4角奥のポケットからスタートし1角までの距離がたっぷりとあるためにハイペースにはなりにくい。このレースもスタート直後こそ、それぞれが互いの出方をうかがうような流れとなったが、ハナを奪った坂井瑠星騎手騎乗のダブルハートボンドを、武豊騎手騎乗のオーサムリザルトがぴったりとマークするような位置取りとなって厳しいラップとなった。1周目ゴール板前では外からマンマリアーレ、地元重賞4勝で前走は牡馬相手の王冠賞2番人気4着ゼロアワーが前に食らいつき、内ではグランブリッジが虎視眈々と前を伺う位置に収まり、これら先行勢を見るようにライオットガール。しかし、前半3ハロン36秒6の流れにサンオークレア以下はついて行けずに早くも馬群から取り残されていく。

 向こう正面に入ってもダブルハートボンドとオーサムリザルトの意地の張り合いは続き、ペースは緩むどころから12秒7、12秒4、12秒1と加速ラップを踏む。併走状態の2頭と3番手以下が大きく離れていく。門別競馬場の中距離戦で13秒台のラップがない事はほとんどない。こうしたペースに早くもグランブリッジが音を上げた。前を行く2頭は併走状態のまま4角をまわるも先にムチが入ったのはオーサムリザルト。残り100m付近では完全に足があがり、それを振り切ったダブルハートボンドも余力がない。そこに襲い掛かったのがライオットガールだった。最後の600mのレースラップは13秒0、13秒5、13秒9。前後半の1,000mは61秒7~65秒0のハイペース。こうした流れを読み切った岩田望来騎手は「パドックから状態の良さを感じていた。作戦通りだったが、結果を出せてほっとしている。関係者の方々に感謝したい」とレースを振り返り、中村直也調教師は「輸送と距離に一抹の不安があったが、よく我慢してくれたし、ジョッキーが上手に折り合いをつけてくれた」と北海道スプリントC(Jpn3)に続く重賞勝利に笑顔を見せた。JBCLクラシック(Jpn1)を頂点とする牝馬のダート路線はキャリア豊富なベテランの頑張りにより、一気に混沌としてきたようだ。