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北海道スプリントC(Jpn3)は2番人気ヤマニンチェルキが初重賞制覇

  • 2025年08月18日
  • 夏の3歳ダートスプリント王に輝いたヤマニンチェルキ
    夏の3歳ダートスプリント王に輝いたヤマニンチェルキ
  • 近親にはヤマニンウルスやテイムオペラオー、ローブデコルデなどがいる名血馬だ
    近親にはヤマニンウルスやテイムオペラオー、ローブデコルデなどがいる名血馬だ
  • オールエイジのダートグレード競走は初勝利の石川倭騎手
    オールエイジのダートグレード競走は初勝利の石川倭騎手
  • 父フォーウィールドライブにとっても産駒の重賞初勝利
    父フォーウィールドライブにとっても産駒の重賞初勝利
  • 右端が中村直也調教師
    右端が中村直也調教師

 3歳馬のダート短距離王決定戦として生まれ変わって2年目。「第29回北海道スプリントC (Jpn3)」が8月14日、門別競馬場で行われ、逃げ、先行馬を見るような形でレースを進めた石川倭騎手騎乗の2番人気ヤマニンチェルキ(牡3、栗東・中村直也厩舎)が最後の直線で余裕をもって抜け出し、後続の追撃を封じ込めた。勝ちタイムは1分12秒4(良)。管理した中村直也調教師の重賞勝利は昨年の新潟大賞典(G3)(優勝馬ヤマニンサルバム)に続くもので、通算6勝目(ダートグレート3勝含む)。手綱を取った石川倭騎手の重賞勝利は今年のノースクイーンC(同サンオークレア)に続くもので通算57勝目。ダートグレード競走では22年JBC2歳優駿(Jpn3)(ゴライコウ)以来の勝利となり、通算4勝目となった。

 人気の中心はマテンロウコマンド。デビュー4戦目の初勝利を7馬身差で記録すると非凡な先行力とゴーサインを受けてからの加速力を武器に1勝クラス、昇竜S、兵庫ChS (Jpn2)と4連勝。中でも前走の兵庫ChS (Jpn2)では持ち前のレースセンスを発揮して初めて経験するコーナー4つもあっさりクリア。初めて経験する1,200mへの対応が危惧される中で2.0倍の人気を集めた。

 2番人気は、ここまでダート1200m戦に限れば3戦2勝2着1回のヤマニンチェルキ。3走前のバイオレットSでは芝部分で全く行き脚がつかず大きく置かれたが、最後の直線では目の覚めるような末脚を繰り出して3勝目。兵庫ChS (Jpn2)は小回りの競馬場に苦しめられ、前走は古馬相手に結果を残せなかったが、鞍上にホッカイドウ競馬の名手を配し3.7倍の単勝オッズを受けて巻き返しを狙っていた。

 3番人気は地元ファンの期待を一身に背負ったミラクルヴォイス。今シーズン初戦の北斗盃こそ得意とは言えない距離でソルジャーフィルドの引き立て役に回ってしまったが、その後は1,200mで2戦連続1分12秒1をマークするなどスピードに磨きをかけ4.3倍の期待を集め、米国ブリーダーズカップジュベナイル(G1)への挑戦が話題となったエコロアゼルが4.8倍で続く人気となっていた。

 定刻の19時55分にゲートイン。最初にレースを引っ張ったのはホッカイドウ競馬が誇る快足牝馬のワンダーウーマンで、逆にミラクルヴォイスはまさかの出遅れ。マテンロウコマンドがさすがの先行力を見せるも栄冠賞勝馬ベラジオゼロも譲らず、外からヤマニンチェルキ。猛烈なラップが刻まれ、器用な立ち回りが要求される門別競馬場1,200mコースにやや戸惑いを見せたマテンロウコマンドがあっという間に置かれ、場内がざわつく。一方、コースを知りつくしている石川倭騎手は「いつでも抜け出せる」と余裕綽々の騎乗。残り200m付近で抜け出すと、懸命に追い込むマテンロウコマンドを退けた。

 レース後、石川倭騎手が「チャンスをいただいたので、結果を残せてほっとしている。距離は伸びても大丈夫だと思う」とインタビューに応え、中村直也調教師は「気持ち夏負け加減かなというところもあったが、すでにオープンを勝っている馬。馬も我慢してくれたし、石川倭騎手もしっかり乗ってくれた」と喜びをかみしめた。