JRA札幌競馬場で馬具のお手入れ講習会が開催される
北海道札幌市のJRA札幌競馬場では、日本で唯一の馬具メーカー「ソメスサドル」の協力を得て同競馬場の誘導馬たちが暮らす「札幌競馬場乗馬センター」の乗馬スポーツ少年団を対象とした『馬具のお手入れ講習会』を8月9日に行った。
ソメスサドルは1964年創業。「世界のマーケットに通用する馬具をつくろう」をモットーに熟練した職人によるハンドメイドにこだわり、平成、令和の天皇「即位の礼」にて使用された馬車具一式を納入したほか、2008年の北海道洞爺湖サミットの際には来日した各国首脳に贈る記念品を製造してきた。
競馬用の鞍はもちろん、乗馬やウエスタン用の鞍や馬装品ほか、カバンやバッグ、財布やベルトなどの革製品全般を製品及び販売しており、現役ジョッキーにもファンは多い。砂川本社ほか札幌市内や新千歳空港、東京の銀座や青山、名古屋、大阪、福岡に直営店を持っている。
この日は、日々乗馬訓練に励む同スポーツ少年団に所属する約30人の生徒を前にソメスサドル社の社員が馬具の手入れや、取り扱い方、メンテナンスなどを指導。「乗馬をする上で馬具は人間の安全を守り、馬を守るという大事な役割も担っています。日々のメンテナンスは、製品を長く使っていただくという意味だけではなく、自分の身を守る道具の確認作業でもあります」と話し「鞍は、表面だけではなく、馬の汗を吸い込む裏面をしっかりメンテナンスすることが重要。革製品は人間の肌と同じでメンテナンスをしないと劣化しますので、日々のケアが大切。基本は乾いたタオルや柔らかいブラシを使って汚れを落とし、サドルソープやレザーオイルなどを用いて手入れをすること。水分は、そのまま放っておくと蒸発するときに必要な脂も一緒に蒸発させてしまう。長く使っていただくために直射日光を避け、湿気が少なく、風通しの良い場所で保管することでレザーオイルが中に染み込む効果が期待できます」と説明した。
また、この日は競馬場ファンファーレ広場内にて同社製品の展示会も行われ、馬具づくりの職人が実際に鞍を作る様子などを披露したほか、普段はなかなか一般競馬ファンが触れる機会のない鞍などの馬具を展示して人気を博した。
同社の桜庭さんは「こういった機会を設けていただいた札幌競馬場に感謝申し上げます。馬具にとってメンテナンスがいかに大切かということを知って欲しかったし、そうすることで2倍、3倍長く使えるということも伝えたかった」と述べ「作り手と使う方のコミュニケーションはとても大切だと思いますので、こういった機会にソメスサドルという会社を知っていただければ嬉しい。弊社では、海外メーカー含む他社の製品についても修理なども承りますので、これを機に困ったことがあればお気軽に相談いただきたい」と話し、同競馬場の植田場長は「競馬のジョッキーに限らず、一流のアスリートは道具をとても大事にします。このような機会をとおして、そういった精神も学んで欲しい」と講習会を見守った。