馬産地ニュース

浦河町総合文化会館で戸本一真さんの講演会が行われる

  • 2025年07月14日
  • パリ五輪で日本馬術界に92年ぶりのメダルをもたらした戸本一真さん
    パリ五輪で日本馬術界に92年ぶりのメダルをもたらした戸本一真さん
  • 講演はスライドを用いて行われた
    講演はスライドを用いて行われた
  • 北野あずささん(左)との座談会も会場を盛り上げた
    北野あずささん(左)との座談会も会場を盛り上げた
  • メダルを披露する戸本一真さん
    メダルを披露する戸本一真さん
  • 開場は200人を超える人で埋め尽くされた
    開場は200人を超える人で埋め尽くされた

 7月10日、浦河町総合文化会館で、パリ五輪の総合馬術団体競技で銅メダルを獲得した戸本一真さん(42=JRA日本中央競馬会)の講演会が行われた。

 この講演会は、ひだか東農業協同組合、日高軽種馬農業協同組合、日高地域人材開発センターの主催によるもので、日高信用金庫の協賛によるもの。2部構成で行われ「オリンピックへの挑戦を通して学んだこと」と題した講演のあとは、日本馬術連盟広報担当の北野あづささんとの対談形式による「パリ2024オリンピック馬術競技の舞台裏」。

 会場となった「ふれあいホール」には日本中央競馬会日高育成牧場職員ほか、92年ぶりの五輪馬術メダリストの話を聞こうと、育成調教技術者養成研修の第43期生ほか、浦河高校馬術部の生徒ほか日高管内の牧場従業員や乗馬クラブ会員、家族連れなど約200人が足を運び、用意された椅子が足りなくなるほど盛況を博した。

 戸本一真さんは1983年岐阜県の出身。8歳の時から馬に乗り始め、明治大学時代には馬術部キャプテンを務め、全日本学生馬術大会の馬場馬術競技では個人優勝、団体完全制覇(障害、馬場、総合)にも貢献した。卒業後はJRA日本中央競馬に馬術職として入会し、栗東トレーニングセンター勤務や競馬学校での教官などを経験。2021年東京五輪の総合馬術競技では、日本の馬術競技としては89年ぶりの入賞となる個人4位。パリ五輪では92年ぶり2度目の、団体としては初のメダルを獲得している。

 主催者を代表してひだか東農業協同組合の桑田美智代代表理事組合長は「たくさんの方々に足をお運びいただきましたこと、主催者の1人として深く感謝申し上げます。日高の地は馬とともに歩んでいた土地です。今日の、この講演は未来の騎手や生産者、さらには馬にかかわるすべての人々の心に希望の灯をともすことでしょう。心より歓迎を申し上げて、今後の活躍を地域一同応援しています」とあいさつ。

 続いて、浦河町教育委員会の和田修教育長が「浦河町では平成元年に、はまなす国体の馬術競技会を開催し、その跡地に乗馬公園を開設し、乗馬の普及推進の拠点として「5,000人町民乗馬」をスローガンに町民乗馬大会や各種乗馬教室など幅広く利用しているところであり、こうしたトップアスリートの話を、地域のみなさまが直接聞けることは教育の立場としても大変意義深いことと考えています」と述べた。

 最初の講演では、自身の競技半生を振り返りながら、あまりニュースなどでは取り上げられないオリンピックの裏話などを選手目線で語りながら「自分にとって1番の目標を達成するためには、何が必要なのか。それ以前に起こることはすべて過程なので、一喜一憂しないこと」と、トレーナーからの教えを説いた。

 後半は座談会形式で北野あづささんの質問に応える形で進行。獲得した銅メダルについて「トラブルがなければ銀メダルだったかもしれないが、トラブルがあったことでリザーブの選手が出場機会を得ることが出来た。ずっと一緒にやってきたメンバー4人で獲れたことが1番嬉しかった」と話し、残りの時間は「馬に乗るうえで1番大切にしていることは」「緊張している馬をリラックスさせるためには」「日本と海外で乗馬文化の違いはありますか」などという質問に丁寧に答えた。

 技術的な事を含めた質疑応答で締めくくられた。