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第22回星雲賞はミラクルヴォイスが人気に応えて優勝

  • 2025年07月14日
  • 堂々と抜け出したミラクルヴォイス
    堂々と抜け出したミラクルヴォイス
  • 圧倒的な1番人気に応えて引き揚げてきた人馬
    圧倒的な1番人気に応えて引き揚げてきた人馬
  • 2つ目の重賞レイをかけられた
    2つ目の重賞レイをかけられた
  • 左から7人目が佐久間雅貴調教師、8人目が加野さん
    左から7人目が佐久間雅貴調教師、8人目が加野さん
  • 松井伸也騎手にとっては、通算12勝目の重賞勝利となった
    松井伸也騎手にとっては、通算12勝目の重賞勝利となった

 2024年の番組改革によって3歳スプリント王決定戦となった北海道スプリントC(Jpn3)への前哨戦的位置づけとなった「JBC協会協賛週刊ギャロップ杯第22回星雲賞(ダノンキングリー賞)」が7月10日、門別競馬場で行われ、道中は2番手を進んだ松井伸也騎手騎乗の1番人気ミラクルヴォイスが4コーナーで早めに先頭に並びかけ、最後は独走。2着馬に4馬身の差を付けて昨年のネクストスター門別に続く重賞勝利で通算成績を9戦5勝2着1回3着2回(重賞2勝目)とした。勝ちタイムは1分12秒1(良)。

 管理した佐久間雅貴調教師にとっては、昨年のネクストスター門別(優勝馬ミラクルヴォイス)に続く重賞勝利で通算10勝目。手綱を取った松井伸也騎手にとっても、昨年のネクストスター門別以来の重賞勝利で通算12勝目。いずれも星雲賞は初勝利となった。「どこまで強くなってくれるのだろう」と佐久間雅貴調教師がやや緊張した面持ちでインタビューに応えていた。

 昨年10月のネクストスター門別に勝ち、飛躍が期待された今シーズン。水沢競馬場で行われたネクストスター北日本(1,400m)はハナ差惜敗を喫し、1,600mの北斗盃は3着。しかし、距離を1,200mに戻された前走は歴戦の古馬相手にそれまでのイメージを一新する先行策から6馬身差の圧勝劇を演じて改めてスプリント能力の高さを示していた。そうして挑んだ1戦。

 先手を奪ったのは前走のフロイラインスプリントを逃げ切ったワンダーウーマンだった。500kgを超える大型牝馬で、今シーズンは逃げて2戦2勝。今回は少頭数ということもあって楽に先手を奪うとマイペースの逃げ。最初の2ハロンが23秒8で、前半3ハロンが36秒1はスプリント戦としては珍しいほどのスローペース。

 こうしたペースにほくそ笑んだのは、「レース前は逃げ馬を見るような位置でレースを進めようと思っていました」という松井伸也騎手のミラクルヴォイス。2番手からいつでも先頭を奪えるような位置で進めると、追いすがろうというライバル5頭を後目に、残り200m付近から独走。最後は流しながら12秒5でまとめて先頭ゴールイン。結果的には前に行った2頭のワンツーフィニッシュとなった。

 「狙い通りのレースが出来ました」と松井伸也騎手。広島県出身の40歳は、地元の福山競馬でデビューしたが、福山競馬の廃止に伴いホッカイドウ競馬へと移籍。ミラクルヴォイスの母ミラクルフラワーにも騎乗経験があり、2014年水沢・プリンセスCにも勝っているベテランジョッキーだ。「抜け出すのが少し早かった」とやや反省したものの、それは「仕掛けたときの瞬発力が武器」という愛馬が主戦騎手の想像以上に強くなっていることの裏返しかもしれない。「手応えが十分に残っていたので、大丈夫だと思いました」と愛馬に絶大なる信頼を寄せた。

 佐久間雅貴調教師は「前走後もトラブルなく自信をもって挑むことができました。1戦毎にしっかりし、また落ち着きも出てきました。北海道スプリントC(Jpn3)は相手が強くなりますが楽しみです」と最後は笑顔で締めくくった。

 勝ったミラクルヴォイスは父ゴールドドリーム、母ミラクルフラワー(その父プリサイスエンド)という血統。コスモバルクを生産した新ひだか町の加野牧場の生産馬。同牧場にとっても、昨年のネクストスター門別以来の重賞勝利となった。