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第50回栄冠賞はベストグリーンが優勝

  • 2025年06月26日
  • 堂々と馬場の真ん中を突き抜けた
    堂々と馬場の真ん中を突き抜けた
  • 小野楓馬騎手は北海優駿に続く重賞勝利となった
    小野楓馬騎手は北海優駿に続く重賞勝利となった
  • 前走から10kg増も太め感のない体でパドックを周回した
    前走から10kg増も太め感のない体でパドックを周回した
  • 世代最初の重賞ウィナーとなったベストグリーン
    世代最初の重賞ウィナーとなったベストグリーン
  • 右端が田中淳司調教師
    右端が田中淳司調教師

 2023年生まれ世代最初の重賞JBC協会協賛モズアスコット賞「JRA認定TVh杯第50回栄冠賞」が6月24日、北海道の門別競馬場ダート1,200mで行われ、平取町の北島牧場生産で1番人気ベストグリーン(牡、田中淳司厩舎)が、2着ゴッドバロックに1馬身半の差をつけ優勝。1分13秒4(良)の勝ちタイムで通算成績を2戦2勝(重賞1勝)とした。

 同馬を管理する田中淳司調教師は栄冠賞5勝目で、重賞競走は通算106勝目。騎乗した小野楓馬騎手は栄冠賞初勝利で通算11勝目の重賞勝利となった。

 世代の1番星はベストグリーン。デビュー前の3月に受けた能力検定で48秒台をマークした圧巻のパフォーマンスにはじまり、レコードタイムを更新したデビュー戦。中間も門別競馬場の坂路で34秒4を記録するなど、キャリア1戦ながらも圧倒的な身体能力を見せつけてきた馬が、1.2倍の単勝オッズに応えるように、その実力を遺憾なく発揮した。

 後続に2秒2の差を付けた衝撃的なデビュー戦から2か月少々で、この日の馬体重は前走から10kg増の514kg。早い段階から目標と定めてきたレースだけにビルドアップされた馬体はパドックから他を圧していた。「しっかりと走れる状態だったと思う」と手綱を取る小野楓馬騎手は自信を深めたが、ゲートでは重心を下げたときに扉が開いてしまった。

 それを見逃さずハナを奪ったのはベテランの服部騎手に手が戻った同厩舎の快足エイシンリガーズと、石川騎手に乗り替わったバウヴォーグ。12秒2、10秒7、11秒6の猛ラップは今シーズン行われた重賞競走で最も速く、自然と隊列が縦に伸びる。ベストグリーンはそのハイペースを物ともせずに二の脚利かせて好位に取り付くも、今度は他馬の蹴り上げる砂を初めて被るような展開になり一瞬だが馬が戸惑いを見せた。手応えが悪くなった愛馬に対して小野楓馬騎手が叱咤激励するシーンが映しだされると、場内がざわつく。

 しかし「こちらの指示を、馬がしっかりと聞いてくれた」と小野楓馬騎手。闘争心に再び火が付くと、あっという間に前を行く馬たちとの差が詰まり、最後は楽に抜け出した。さすが、ラスト1ハロンは13秒9と時計を要したがそれでも「初めて経験するナイターも含め、良い経験になったと思います」と笑顔でインタビューに応え「まだまだ成長途上の馬。これからは、もっと良い競馬が出来るようになると思います」と引き締まった表情で期待を口にした。

 父は2010、11年のNARグランプリ「ダートグレード競走特別賞」を受賞したスマートファルコンで、母は南関東川崎競馬場で新馬、特別を連勝した好素質馬。母系をたどれば数々の名馬を送り出したスターロッチにたどり着く名門ファミリーだ。レース後、田中淳司調教師は「これまでのレースぶりから、短距離の馬ではないと思う。これからは長い距離を意識したローテーションを組んでいきたい」とのコメントがあり、夢が広がる1戦となった。