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宮下瞳騎手のBTC特別講演会が行われる

  • 2025年06月20日
  • 講師として招かれた宮下瞳騎手
    講師として招かれた宮下瞳騎手
  • 講習会には約150人の牧場関係者が出席した
    講習会には約150人の牧場関係者が出席した
  • フロアーからの質問にも真摯に向き合った
    フロアーからの質問にも真摯に向き合った

 6月19日夜、浦河町大通にある浦河ウエリントンホテル2階ウエリントンホールにおいて、名古屋競馬の宮下瞳騎手を講師に招いてのBTC特別講演会が行われた。

 この特別講演会は、公益財団法人軽種馬育成調教センター(草野広実理事長)とBTC利用者振興会(高樽優也会長)の主催で、JRA日高育成牧場(吉田年伸場長)とひだか東農業協同組合(桑田美智代代表理事組合長)が後援。当日は夜遅くからの開催にもかかわらず、BTC利用者振興会会員牧場のスタッフや浦河地区の生産者、BTCの育成調教技術者養成研修第43期生、公益社団法人日本軽種馬協会静内種馬場の生産育成技術者研修第47期生など約150人が出席した。

 講師として招かれた宮下瞳騎手は鹿児島県出身。1995年に地方競馬の騎手免許を取得し、1995年10月22日に名古屋競馬で初騎乗。2日後の10月24日に名古屋競馬第6競走において、浦河町で生産されたショウワミラクルに騎乗し初勝利をあげた。2002年にはクリスタルCをヘイセイチェッカーで勝ち重賞初制覇。2005年に同じ名古屋競馬所属の小山信行騎手と入籍し、この年には351勝をあげ女性騎手の最多勝記録を更新した。

 その後は、日本にとどまらず韓国へも長期遠征し大活躍した。2011年に惜しまれつつ騎手を引退。2人の子供を出産し子育てを経て、2016年に騎手免許を再び取得。5年ぶりに騎手に復帰した。2020年には女性騎手初となる地方競馬1万回騎乗を達成。2024年には地方競馬1,200勝を達成。2021年には第2回競馬功労者表彰農林水産大臣賞を、2024年には黄綬褒章を受章している。

 また、2024年には116勝をあげ自身が2020年に記録した女性騎手の年間最多勝記録の105勝を更新。今年1月には前人未到の通算1300勝を達成した。6月19日現在の成績は15,159戦1,350勝になる。「続ける力・あきらめない心」と題した講演で宮下瞳騎手は、騎手になった動機を説明。「騎手になるために最も苦労したこと」、「騎手になるために入った地方競馬教養センターでの一番の思い出」、「馬と信頼関係を築くうえでどのようなことを大切にしているか」、「毎日の馬の状態をみるときのポイントは」、「騎乗するうえで一番大切にしていること、意識していること」、「調教中に一番難しいと感じること」、「騎乗技術を成長させるためには、どういったことに取り組んでいけばよいか」、「どういった人と一緒に仕事をしたいか」、「メンタル面で工夫をしていること」、「うまくいかなかたっときに支えになること」、「馬産業で働く女性へのアドバイスは」、「ホースマンに必要な資質は」など、出席者から寄せられた質問に答えた。

 宮下瞳騎手は今後について「数字的には自分の記録を1勝1勝積み重ねていきたい。馬が好きなので騎手という仕事は乗れるまで続けたいとおもいますが、調教師という仕事にも興味があります。あと、2人の息子が騎手になりたいと言っているので、一緒にレースに乗れたらと、自分自身いろいろ迷うことはありますが、いまは人馬ともけがをしないように過ごせたらよいとおもいます」と明かし、出席者には「自分も厩務員を経験して、1頭の馬がレースに行くまでには、いろいろの人の力だったり手がかかっていることがわかりました。そういう気持ちを絶対に忘れてはいけないですし、その気持ちを感謝として私たち騎手は伝えていきたいです。みんなの力があるからこそ競馬の世界が盛り上がっていけるとおもいます。わたしも頑張りますのでみなさんも頑張って競馬の世界を盛り上げていけたらうれしいです」とエールを送った。