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北海優駿はソルジャーフィルドが二冠達成

  • 2025年06月18日
  • 王冠賞で史上8頭目の三冠馬を目指す
    王冠賞で史上8頭目の三冠馬を目指す
  • 450キロでデビューした体が482キロまで成長し貫禄をました
    450キロでデビューした体が482キロまで成長し貫禄をました
  • 一周目ゴール板前を5番手で通過するソルジャーフィルド(黄色帽子)
    一周目ゴール板前を5番手で通過するソルジャーフィルド(黄色帽子)
  • 小野楓馬騎手は北海優駿4度目の騎乗で初勝利
    小野楓馬騎手は北海優駿4度目の騎乗で初勝利
  • 二冠制覇を意味するVサインポーズで写真に納まる関係者
    二冠制覇を意味するVサインポーズで写真に納まる関係者

 ホッカイドウ競馬の三冠競走第2弾JBC協会協賛「STV杯第53回 北海優駿(ルヴァンスレーヴ賞)」が12日、門別競馬場2000mで行われ、昨年のJBC2歳優駿(Jpn3)優勝馬で、三冠路線第1弾の北斗盃を制したソルジャーフィルドが単勝1.0倍という圧倒的な人気に応えて優勝した。勝ちタイムは2分9秒3(稍重)。ソルジャーフィルドは日高町の(有)グッドラック・ファームによる生産馬。管理した川島洋人調教師、手綱をとった小野楓馬騎手はいずれも北海優駿初勝利となった。

 ソルジャーフィルドにとっては二冠制覇というプレッシャーのかかる1戦だったが相手云々というよりも、「自分自身との戦い」(川島洋人調教師)。勝利騎手インタビューの中で小野楓馬騎手が繰り返したのは「馬を信じる」という言葉だった。

 内回りコースで行われた前走の北斗盃はスタートからスローペースだったこともあってイメージを一新するような積極的な競馬を試みてウィルオレオールをアタマ差抑え込んだが、北海優駿の舞台となる門別競馬場2000mコースは4角奥のポケットからスタートして1周1600mの外回りコースを1周と少々。最後の直線は地方競馬場としては最長クラスの330mであり、ごまかしの効かないコースゆえに「馬を信じて、持ち味を活かせるように」(小野楓馬騎手)と挑んだ1戦。

 ゲートが開いて、先手を伺ったのは石川騎手とのコンビで南部駒賞、そしてネクストスター北日本を勝っているバリウィールだったが、それを制するように桑村騎手が手綱を取った7番人気、北斗盃5着のシュネルカガがハナを主張すると、ペースはあっさりと落ち着いた。ゲートからスタンド前までは12秒3~11秒1と流れたものの、隊列が決まったあとは13秒台にガクンとペースが落ちたところで岩橋騎手騎乗の3番人気スワッガーがポジションをあげる。

 一方、ゆっくり目のスタート切ったソルジャーフィルドだったが、しかし馬が前走の経験をしっかりと覚えており、ややエキサイトしながら1角をまわってしまう。小野楓馬騎手が賢明に馬をなだめ、向正面に入る頃には先行馬たちを見るようなポジションで落ち着きを取りもどしたが、バックストレッチの半ばを過ぎたあたりから、後方で息をひそめていた前走岩手のダイヤモンドカップ3着で、2番人気アサマがソルジャーフィルドに並びかけて勝負に出る。そうした動きを見逃さなかったのはバリウィール。何度も石川騎手が後ろを振り返ってソルジャーフィルドの位置と手応えを確認しながらペースをあげ、スワッガーもこれに食らいついて、結果的にソルジャーフィルドは包まれるようなポジションとなってしまった。

 レース後、川島洋人調教師が「苦渋の選択だったと思う」と話したが、小野楓馬騎手は迷うことなく内ラチ沿いに愛馬を導き、そして突き抜けた。最後の3ハロンは13秒5、13秒1、そしてソルジャーフィルドが先頭に立った最後の1ハロンは12秒8。ジョッキー同士の高等戦術と馬の強さが目立った1戦となった。「馬にとっては一生一度の舞台。嬉しい気持ちと、ほっとした気持ち」と少し照れたように小野楓馬騎手がインタビューに応えれば、ジョッキー時代に勝利経験のある川島洋人調教師は「目標としていたレース。馬は、自分との闘いに勝ってくれた。このあとは王冠賞で三冠を目指します」と力強く語った。