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フロイラインスプリントはワンダーウーマンが勝利

  • 2025年05月16日
  • 圧倒的なスピードで牝馬戦線の主役に躍り出た
    圧倒的なスピードで牝馬戦線の主役に躍り出た
  • 増えた12kgの分パワーアップした走りを見せてくれた
    増えた12kgの分パワーアップした走りを見せてくれた
  • 人馬ともに嬉しい重賞初勝利にガッツポーズの宮内勇樹騎手
    人馬ともに嬉しい重賞初勝利にガッツポーズの宮内勇樹騎手
  • 半姉に偉大なスピーディキックがいる良血馬
    半姉に偉大なスピーディキックがいる良血馬
  • 左から6人目が石本孝博調教師
    左から6人目が石本孝博調教師

 ホッカイドウ競馬所属の3歳牝馬による短距離重賞「JBC協会協賛第2回フロイラインスプリント(アダイヤー賞)」が5月15日、門別競馬場ダート1,200mで行われ、ダッシュ良くゲートを飛び出した宮内勇樹騎手騎乗の1番人気ワンダーウーマンが強烈な向かい風が吹いた最後の直線も力強い走りを見せ、2着以下に7馬身の差をつけ優勝し、通算成績を8戦4勝2着1回とした。勝ちタイムは1分13秒6(良)。石本孝博調教師の重賞勝利は2021年のエーデルワイス賞(Jpn3)(優勝馬スピーディキック)以来で通算3勝目。手綱を取ったデビュー3年目の宮内勇樹騎手は28回目の重賞騎乗で嬉しい初勝利となった。

 勝ったワンダーウーマンは、新ひだか町の曾我博さんによる生産馬で、父ナムラタイタン、母デザートフラワー(その父サイレントディール)。半姉には重賞9勝のスピーディキック(NAR2歳、3歳、4歳以上最優秀牝馬)がいる血統だ。

 偉大なる半姉を追いかけようとした昨シーズン。デビュー3戦目の初勝利までは同じだったが、その背中は遠かった。ネクストスター門別は最後の直線で失速。姉が全国にその名を知らしめるきっかけとなったエーデルワイス賞(Jpn3)は見せ場を作ることもできなかった。しかし、石本孝博調教師には秘めるものがあったようだ。

 「スピーディキック含め兄姉3頭は3歳シーズンになると南関東へと移籍してしまったが、この馬は残してくれとお願いした。結果を残せてよかった」とほっとしたような表情で姉に一歩近づいた愛馬を労った。

 その思いは過去27回の重賞騎乗で、人気よりも下の着順で終わったことが6回しかなかったにもかかわらず「デビューの年からたくさんのチャンスをいただきながら、結果を出すことが出来なかった」と話した宮内勇樹騎手も同様だったようだ。最終的な単勝オッズは1.9倍。短距離重賞らしく快速馬が顔を揃えた1戦だったが、愛馬を信じる気持ちに迷いはなかった。

 「パドックからゲートまで前走よりもテンションが高かったので、もまれる競馬はしたくなかった。幸い、良いスタートを切れたし、無理に行く馬もいなかったから逃げることを決めました」と追い風を受けて飛ばす。最初の2ハロンは12秒0、11秒5は今シーズン最速。前半3ハロン34秒5はエトワール賞と同タイムだが、当時と馬場状態がまったく異なるため、3歳牝馬にとっては厳しいラップだ。さすがに最後は強烈な向かい風の中で12秒6、13秒6と流したが、追ってくるものもおらず、石本孝博調教師をして「あんなに強い競馬をしてくれるとは思わなかった」と、楽に先頭ゴールインを果たしている。

 石本孝博調教師は「これからも強いワンダーウーマンをお見せしたい」といい、宮内勇樹騎手は「姉に負けないくらいの活躍を期待したいし、自分自身もそこに居続けたい」と、場内からの声援に応えるように目標を口にした。次走は6月26日のフロイラインカップ(1,700m)となる見込み。今度は距離の壁に挑む。