コスモバルク記念はベルピットが7馬身差をつけ勝利
JBC協会が協賛するホッカイドウ競馬のカウントアップチャレンジM(ミドル、マイル)シリーズの開幕戦となるサッポロビール杯「第15回コスモバルク記念」が5月8日、門別競馬場1,800mを舞台に行われ、桑村真明騎手騎乗の1番人気ベルピット(牡5歳、父パイロ、母ベルライン、母の父ダイワメジャー、日高町・厚賀古川牧場生産)が2着ヒストリーメイカーに7馬身差を付けて優勝(勝ちタイム1分53秒5)し、通算成績を21戦15勝2着3回3着1回(重賞11勝)とした。同馬を管理する角川秀樹調教師はコスモバルク記念における最多タイとなる4勝目、騎乗した桑村真明騎手は昨年に続いて同レース2勝目となった。
これが、王者の走りだった。今シーズン初戦となる前走「ドウデュース・プレミアム」は休み明けに加えて、ほとんど前が見えないほどの濃霧の中でのレース。角川秀樹調教師は「レース前は馬を何頭か前に置いて、その後ろで折り合いをつける作戦だった」と振り返るが、スタートで出遅れて後方からのレースを余儀なくされる中で前2頭が飛ばす展開。それでも最後は力強く追い込んだが、門別競馬場での連勝記録を「6」でストップさせてしまった。
角川秀樹調教師は「自分のリズムで走ることができなかった」と悔しさを滲ませ、コンビを組んだ桑村真明騎手も「自分のミス。ベルピットに申し訳ないことをした」と反省しきり。そういう意味でも今回は絶対に負けられない1戦にもなった。
一瞬の静寂のあと、ゲートが開くと、レースは前走同様に11歳馬ヒストリーメイカーの先導で始まった。ドウデュース・プレミアムとは馬場状態が異なるので単純な比較はできないが、半マイル通過は49秒6で前半1,000m通過は62秒1。前走が61秒5だから初めてコンビを組む落合騎手が馬にとって楽なペースで大逃げを打つ。転入初戦の7歳馬アンタンスルフレが積極的に前を追い、「この日は馬場入場後から落ち着いていたのでリラックスして返し馬をすることができ、ゲート裏でも落ち付いていた」というベルピットは、課題だったゲートを無事に出て3番手。道営記念で一騎打ちを演じたアナザートゥルースは長距離のペース配分に自信を持つ阿部龍騎手に乗り替わって後方3番手で脚を溜める展開。そのまま12秒台のラップが刻まれたが、向正面中ほどでは7~8馬身はあったであろうヒストリーメイカーと2番手以下の差が一気に詰まったのは3角手前。13秒0にラップが落ちたところを見逃さず、空いた内ラチ沿いにアナザートゥルースが一気に3番手、2番手まで上がり、そのタイミングを待つかのようにベルピットが外から先頭に。内と、外から人気馬2頭がヒストリーメイカーを飲み込む。
「アナザートゥルースが内から来ていたのは確認できましたが、手応えは十分に残っていたので自信をもって力でねじ伏せに行きました」と桑村真明騎手。その言葉通りに最後の3ハロンは12秒6、12秒6で抜け出した最後は「馬が遊んでしまった」と13秒2。しかし、後続に大きな差を付けてのゴールで場内からは大きな拍手が沸いた。2着には逃げたヒストリーメイカーが粘りこみ。アナザートゥルースはそこから4分の3差の3着。「今日は、強いベルピットを見せることができてほっとしている」と桑村真明騎手が言えば、角川秀樹調教師は「今日は王者の走りだった。この馬が勝ったあとは嬉しいというよりも、いつもほっとする」と周囲を笑わせた。
このまま無事であれば、次走は6月19日の赤レンガ記念となる見込みだ。