北斗盃は1番人気ソルジャーフィルドが勝利
ホッカイドウ競馬の3歳クラシックロード第1弾「JBC協会協賛フィエールマン賞 第49回北斗盃」が5月1日、門別競馬場内回りコース1,600mで行われ、積極的に2番手を進んだ小野楓馬騎手騎乗の1番人気ソルジャーフィルドが、ゴール前で2番人気ウィルオレオールをねじ伏せるようにして先頭ゴールイン。昨年のNAR2歳最優秀牡馬の貫禄を示した。管理する川島洋人調教師の重賞勝利は、昨年のJBC2歳優駿(Jpn3)(優勝馬ソルジャーフィルド)に続くもので通算10勝目。北斗盃は2018年のサザンヴィグラスに続いて2回目。小野楓馬騎手の重賞勝利は、昨年のJBC2歳優駿(Jpn3)に続くもので通算9勝目、初の北斗盃制覇となった。
門別競馬場の内回りコースで、絶対に負けられないソルジャーフィルドと、この舞台は譲れないウィルオレオール2頭のプライドと意地が正面からぶつかり合う1戦となった。
逃げ馬不在。ゲートが開いた次の瞬間からジョッキー同士が互いの手の内を探り合うような展開となった。逃げると思われたジェーケーボンバーがやや押しながら先行する気配を見せたが、無理にペースアップはしない。誰もが行きたがらない中で、いつもどおりにゆっくり目のスタートを切ったソルジャーフィルドのポジションが自然と上がる。それを見ていた石川騎手が腹をくくったようにウィルオレオールがハナに立つ。この馬は、昨年5月にフレッシュチャレンジ競走を勝ち、栄冠賞2着。そして船橋競馬場の平和賞では、出走メンバー最速の末脚でのちにネクストスター東日本に勝利するガバナビリティー、当時不敗の3連勝中だったアッカーマンなどから顔色を奪うなど末脚自慢の馬だ。デビュー戦を含め、これまでハナを切ったことはないが、どんな位置でも競馬が出来るうえに、どこからでもスパートできる自在性を持ち合わせている。
前半3ハロン38秒0(13秒1、12秒1、12秒8)は、昨年比で0秒8遅いが前を行く2頭と後続の差が徐々に開いていく。スタンドが完成に包まれたのは、内回りコースの向正面、残り800mハロン棒を過ぎたあたり。「レース前は負けられないと思っていたが、相手はウィルオレオールだと思っていたので強気にいきました」と小野楓馬騎手。逃げるウィルオレオールに楽はさせまいとソルジャーフィルドが並びかけも、石川騎手は譲らない。川島洋人調教師も「ペースも遅くなると思っていたし、全日本2歳優駿(Jpn1)でも、京浜盃(Jpn2)でも差はわずかだった相手。この舞台なら怖い1頭だと思っていた」と警戒する1頭と馬体を併せたままレースは流れ、自然とペースがあがる。残り1,000mから12秒3、11秒7とレースは一気に消耗戦のような様相となった。前半1,000m通過は62秒0は昨年比で0秒4も速い。
4角を先頭で回ったのはウィルオレオール。コーナーワークを利して一度はソルジャーフィルドを突き放したものの、最後3ハロンのレースラップは12秒5、13秒6、14秒7。一完歩毎に差を詰めてくる相手をもう1度突き放す余裕はなかったが、漁夫の利を狙って追い込んだミラクルヴォイスの追い上げを許さなかったのは同馬に越された最後の意地だったかもしれない。
「馬の根性に助けられました」と小野楓馬騎手は安堵の表情でレースを振り返り、川島洋人調教師は「目標としていたレースを勝つことが出来てほっとしている。次のレース(北海優駿)に向けてしっかり体調を整えたい」と表情を引き締めた。