エトワール賞はデステージョが重賞初勝利
ホッカイドウ競馬の開幕を告げるHBC杯「JBC協会協賛ベンバトル賞第25回エトワール賞」(H3、ダート1,200m)が4月24日、門別競馬場で行われ、新冠町オリエント牧場生産で2番人気デステージョ(牡5歳、父ニシケンモノノフ、母スレドボ、その父コマンズ)が最後の直線で外から力強く伸びて1分12秒7(重)で重賞初勝利。デビューの地で錦を飾り、通算成績を33戦12勝2着8回3着7回とした。
同馬を管理する小国博行調教師にとっては今年4月のネクストスター北日本(優勝馬バリウィール)に続く重賞勝利で通算10勝目。騎乗した阿部龍騎手にとっては昨年のサッポロクラシックCに続く重賞勝利で通算43勝目。小国博行調教師、阿部龍騎手ともにエトワール賞初勝利となった。
今シーズンの短距離路線を占う重要な1戦。人気の中心になったのは遠征した楠賞(兵庫)で岩手県の年度代表馬フジユージーンにアタマ差まで迫り、続く笠松グランプリ重賞5勝目を挙げるなど全国区で活躍していたストリーム。この日は騎乗を予定していた岩橋騎手が病気により、直前になって阿岸騎手が手綱を取ることになったが、ここまで13戦して7勝2着2回という安定性が評価されて、2.7倍の1番人気の支持を得た。
デステージョをはさんで3番人気は千葉Sに勝ち、ユニコーンS(G3)3着の実績を持ち、この日がJRAからの転入初戦となったケイアイロベージの6.1倍。以下、ドウドウキリシマの6.4倍、ヴィヴィアンエイトの8.8倍というオッズが続いていた。
ゲートが開いて、レースを引っ張ったのは快足イッツクール。逃げなくても競馬が出来るようになったとはいえ、持ち味を最大限に生かすのは「逃げ」。この日は同型馬不在という事もあって落合騎手に迷いはなかった。12秒5、11秒1、11秒5と、この距離、この馬場にしてはマイペースに落としながらインに寄せて押しきりを狙う。これを追うようにヴィヴィアンエイトとストリーム、そしてピンクヴェノムが好位グループを形成し「揉まれるのが嫌だった」というデステージョは砂をかぶらないように外目を追走し、石川騎手が手綱を取った末脚自慢のドウドウキリシマはこれらを射程圏内に収めながら、虎視眈々とチャンスを狙うような展開で、前半3ハロンの通過ラップは35秒1とさほど速くないものの短距離戦らしい消耗戦の様相となる中、残り200m付近で最初に抜け出したのはストリームだが、そこにJRAオープン馬ケイアイロベージと「とにかく揉まれないように、そして馬のリズムを崩さないように」とここまで阿部龍騎手にエスコートされたデステージョが襲い掛かり、わずかにデステージョが先着。デビュー33戦目で嬉しい初重賞となった。
レース後、小国博行調教師は「道営スプリントは思うような結果を残せなかったが、ひと冬越して馬の体調も上がっているように感じた。まだ課題の残る馬だが、力のあるところは示せたと思う。これからは使えるレースも限られてくると思うが、タイトルを獲った馬に相応しいローテーションを選んでいきたい」と今シーズンにかける意気込みを語った。