日本軽種馬協会静内種馬場で2025年(第47期)生産育成技術者研修開講式が行われる
4月3日、新ひだか町静内田原にある公益社団法人日本軽種馬協会(JBBA、河野洋平会長理事)静内種馬場研修所において、2025年度(第47期)生産育成技術者研修の開講式が行われた。
第47期生は90人以上の応募者の中から厳しい選考試験を経て合格した18歳から26歳までの20人。北海道、青森県、宮城県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、石川県、京都府、大阪府、兵庫県、山口県、熊本県出身の男性15人、女性5人で、「馬が好きで、生産育成技術者の仕事があることを知り携わってみたいとおもった」、「競走馬に関する仕事に就きたいから」、「未知数の幼駒を育てていく仕事にあこがれを持ち、自分の仕事にしたいとおもったから」、「1人前のホースマンになるため」、「育成牧場で働き、競走馬育成の分野で活躍できる人材になりたい」、「生産と育成の両方の知識や経験、スキルを身につけたいから」、「実家の生産牧場の業務に従事するうえで必要な知識、スキルを獲得するため」などといった動機や目的をもって研修の門をたたいたという。
開講式には第47期生のほか、第47期生の家族、JBBAの職員、来賓などが出席。20人の第47期生を紹介した後、遊佐繁基場長が入講を許可した。
本部の山岸直樹事務局長は「まずもって、本日、入所された20名の研修生のみなさんには、心からお祝いを申し上げます。さて、みなさんが就業を希望されている軽種馬産業の状況を紹介させていただきますと、新型コロナウイルス感染症流行から社会経済活動の正常化が進むいっぽう、世界的な情勢不安やインフレ、国内でも物価上昇など生活面にも不透明感が漂う状況のなか、わが国の競馬は確実に開催され、昨年は中央競馬、地方競馬ともに前年比を上回る売り上げを記録し好調が続いております。
また、生産界におきましても、せり市場での取引が活況を呈し、昨年の年間売却頭数、総売上は過去最高を記録、生産頭数、種付牝馬頭数ともに増加傾向にあり、順調に前進を続けています。このように、一時期苦しい状況におかれていた競馬産業も、ここ数年はふたたび盛り上がりを見せております。いつの時代においても、競馬を盛り立てていくためには、多くのファンを引き付けるような強い競走馬を生産、育成し、競走の魅力を向上させることが最も重要な課題となっております。そのためには、生産育成の分野における専門的な訓練を受けられたみなさんのような技術者の力が不可欠でございます。
本協会では、生産育成界の期待に応えうる技術者を養成するため、平成2年から本研修を開講しております。今年ですでに35年の歴史を有し、これまでに523人にのぼる修了生を、軽種馬生産界に送り出してきました。本研修事業に対する競馬サークルの期待は大きく、歴代の修了生もこの期待に応えるべく、それぞれの職場でおおいに活躍されております。
みなさんが本日から受ける研修の内容は多岐にわたっており、騎乗技術、馬の飼養管理や繁殖に関する幅広い知識に加え、およそ牧場で必要となる作業全般について体得していただくこととなります。研修中はどうか健康に留意され、ホースマンとしての研鑚に努め、馬を愛し、1年後には1人も欠けることなく、晴れやかな笑顔で修了式を迎えられることを切に願ってやみません。そして、みなさんには、これからの軽種馬生産界に、新たな活力をもたらす原動力に、ぜひなっていただきたいとおもいます」と河野会長理事の式辞を代読。来賓からは北海道日高振興局髙見芳彦局長、新ひだか町田中伸幸副町長、JRA日高育成牧場吉田年伸場長が祝辞を述べた。
第47期生を代表して井阪雄音さんは「わたしたち第47期生産育成技術者研修生は、軽種馬生産界の期待に応えうるよう、地域に根差した軽種馬産業の担い手として、一流のホースマンを目指し、常に向上心と探求心を持ち、知識と技術を高めることを誓います」と大きな声で研修生宣誓。会場から暖かい激励の拍手が送られた。
第47期生産育成技術者研修カリキュラムは、馬の性質と態度、馬の取扱い・馬への接近、愛撫と懲戒、馬の手入れ、引き馬と馬の保持、馬の種類、馬体の名称といった基礎知識、馬の保定法、相馬、馬と人の歴史、馬の運動器疾患、馬の寄生虫、護蹄管理、馬の栄養、馬の歯科治療、熱中症といった馬学、乗馬・下馬、馬上体操、乗馬の基本姿勢、柔軟、号令と運動、扶助、回転といった基本馬術、馬の心理とグランドワーク、馬の見分け方、サラブレッドの血統、蹄の管理などの特別講義、基本馬術、応用馬術、競走馬術、ロンジング、ドライビングといった騎乗訓練、堆肥造成、厩舎清掃、牧柵点検、修理、放牧地、草地管理、除雪、堆肥まき、環境整備などの作業、手入れ管理実習、JRA育成馬展示会見学、体力測定、せり見学、門別競馬見学、ウォーキングマシーン講習、種馬場実習、民間牧場見学などの実習・見学、レクリエーション、BOKUJOB体験会、研修生馬術大会、健康診断、馬術大会、駅伝参加など。アルキメデス、ケイアイレオーネ、クインズサターンなど3歳から26歳までの研修用乗馬29頭、遊佐繁基場長や8人の研修課職員、12人の種馬課職員らが研修をサポートする。