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日本軽種馬協会静内種馬場で2024年(第46期)生産育成技術者研修の修了式が行われる

  • 2025年03月24日
  • 第46期生の修了式
    第46期生の修了式
  • 屋外馬場において行われた騎乗供覧
    屋外馬場において行われた騎乗供覧
  • 河野洋平会長理事の式辞を代読する上野儀治副会長理事
    河野洋平会長理事の式辞を代読する上野儀治副会長理事

 3月21日、公益社団法人日本軽種馬協会(JBBA、河野洋平会長理事)は、新ひだか町静内田原にある静内種馬場において、2024年(第46期)生産育成技術者研修修了式を行った。

 この日、研修を修了した第46期生は、男性9人、女性6人の合計15人。昨年4月からの1年間で、騎乗技術、馬の飼養管理や繁殖に関する幅広い知識に加え、牧場で必要となる作業全般について体得してきた。15人は全員、生産育成牧場や育成牧場への就職が決まっているという。

 修了式には第46期生のほか第46期生の家族や就業先の関係者、JBBAの役職員、来賓ら出席。修了式前には屋外馬場において騎乗供覧が行われ、1年間の研修で身につけた人馬一体となった騎乗技術を披露した。

 研修寮の講義室にて行われた修了式では、遊佐繁基場長が15人に修了証書と記念品を授与。上野儀治副会長理事は「まずもって、一年間の厳しい訓練を耐え抜き、本日、晴れて研修を修了される研修生のみなさまに、心からお祝いを申し上げます。この1年間はロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルとパレスチナの情勢の悪化などによりエネルギーや食糧価格が高騰し、世界的なインフレ、円安の進行を受けて国内でも物価上昇などによる生活面への影響がみられ不透明感のただよう状況が続きました。しかしながら、こうした状況にありましても、わが国の競馬は着実に開催され、中央競馬、地方競馬ともに前年を上回る売り上げを記録し、また、生産界におきましても、せり市場での取引が活況を呈し、昨年の年間売却頭数、総売上は過去最高を記録、生産頭数、種付牝馬頭数ともに数字を伸ばし、生産界は順調に前進を続けています。このように、一時期苦しい状況におかれていた競馬産業も、ここ数年ふたたび盛り上がりを見せておりますが、いつの時代においても、競馬を盛り立てていくためには、多くのファンを引き付けるような強い競走馬を生産、育成し、競走の魅力を向上させることが最も重要な課題であります。そのためには、生産・育成分野における専門的な訓練を受けられた、みなさんのような技術者の力が不可欠でございます。
 本協会では、生産育成界の期待に応えうる技術者を養成するため、平成2年より本研修を実施してまいりましたが、その修了者はみなさんを含め今年で523名となりました。本研修修了者に対する、業界内の評判は非常に高く、今回巣立たれるみなさんを含め、修了生の就職率は100%となっており、また、定着率も約八割と高い水準にあり、競馬サークルに大きな貢献をいたしております。本研修が競馬サークル内でこのように高い評価を得られるようになった背景には、みなさんの先輩方の尽力があったことはいうまでもありません。みなさんもプロとして、この道を選択されたからには、自分を厳しく律して精進され、生産育成界を担う立派なホースマンになってください。近年はアニマルウェルフェアに配慮した、馬の管理・取り扱いが、生産・育成牧場にも求められるようになってまいりました。わたしどもは、みなさんがここで学ばれた知識や技術、馬を愛する気持ちを、余すところなく実践の場で発揮し、馬にも人にも愛されるホースマンとして、活躍されることを心から願っています。結びに、本日ご臨席を賜わりましたご来賓、ご家族のみなさまに改めて心より御礼を申し上げます。また、修了生の受け入れ関係者のみなさまにおかれましては、意欲に満ちた青年たちに対する温かいご指導とご鞭撻をたまわりますようお願い申し上げまして、はなはだ簡単ではございますが、ごあいさつといたします」と河野洋平会長理事の式辞を代読した。

 来賓からは北海道日高振興局髙見芳彦局長、新ひだか町田中伸幸副町長、JRA日高育成牧場吉田年伸場長が祝辞。第46期生を代表して西村有世さんが「厳しい冬の寒さも和らぎ、春の陽気を感じはじめる季節となりました。本日はご多用のなか、わたしたち第46期生の修了式にご臨席たまわり、まことにありがとうございます。私たち第46期生は、昨年4月に研修を開始し、この1年間、まさに馬漬けの日々を過ごしてまいりました。馬に触れたことも乗ったこともない者がほとんどでしたが、いまでは手入れや厩舎作業、騎乗までできるようになりました。入所当初は右も左もわからず、すべてがはじめての経験でした。生活リズムの変化にも苦労し、最初の2か月間は肉体的にも精神的にも非常に厳しい日々でした。それでも、騎乗訓練がはじまると、馬に乗る楽しさを知り、前向きに取り組むことができました。今では当たり前に感じる常歩の感覚も、はじめて馬の背に揺られた際の、その雄大な動きに深く感動したことを、いまでも鮮明に覚えています。
 研修が進むにつれ、季節の移ろいとともにさまざまな作業を経験しました。草地の除草や青草刈り、種馬場全体で協力して行った乾草運搬、さらには融雪剤の散布や雪かきなど、季節限定の作業にも取り組みました。とくに雪かきは、暖かい地域で育ったわたしにとって新鮮な体験でした。厩舎管理では、技量や作業の速さが向上するなかで、より効率的に作業を行うための工夫も求められました。仲間同士や先生方と意見を交わしながら、質の高い作業を目指し続けたことは大きな学びとなりました。また、騎乗訓練では、常歩からはじまり、速歩、駆歩と段階的にステップアップしていきました。最初は歩法が変わるたびにスピードや揺れに恐怖を感じましたが、次第に自分の姿勢や扶助のタイミングを意識できるようになり、馬を操作する楽しさを味わえるようになりました。さらに講義や実習を通じて、専門的な知識やプロの馬の扱い方を学びました。現場で働く方々の姿から多くのことを学び、自分自身が将来どのように働くべきかを思い描きながら研修に取り組みました。わたしたちは、非常に恵まれた環境で貴重な経験を積むことができたと感じています。
 最後に、これまで多くの指導や助言をくださった先生方をはじめ、実習でお世話になった種馬場やJRA日高育成牧場のみなさま、日々の食事を支えてくださった寮母さん、常に応援してくれた家族、そして、わたしたちのためにどんなときでも寄り添ってくれた31頭の研修乗馬に、心から感謝申し上げます。ここで学んだことを糧に、社会人としていっそう精進してまいりますことを誓います」と謝辞した。