日本軽種馬協会七戸種馬場でJBBA種牡馬展示会が開催される
3月1日、日本軽種馬協会七戸種馬場にて、JBBA種牡馬展示会が開催。新入厩馬のアニマルキングダムとサブノジュニアの2頭に加えて、この日はスプリングファームとの合同開催となったことで、(有)荒谷牧場で繋養される、オールブラッシュとウインバリアシオンの展示も行われた。
生産関係者を対象に開催されている種牡馬展示会であるが、近年の「ウマ娘」ブームによるウインバリアシオンへの注目度の高さもあって、この日はファンの入場も可能となった。
1時半からの展示に先駆けて、会場には続々とファンが足を運び、その数は100名以上ともなっていた。展示の前には関係者が挨拶に立つ中、まずマイクを渡された日本軽種馬協会の上野儀治副会長は、「本日は沢山の方にお集まりいただきありがとうございます。本年からサブノジュニアとアニマルキングダムの2頭を導入することになりました。サブノジュニアに関しては、長年にわたって東北の生産者の方から、内国産種牡馬を導入して欲しいとの依頼を受けていました。サウスヴィグラスの後継種牡馬ともなるだけに、是非ともご活用していただきたいと思います。アニマルキングダムは昨年まで静内種馬場にて繋養が行われていました。現役時はケンタッキーダービー(G1)にも優勝するなどして、米国の3歳チャンピオンに輝いた馬であり、古馬となってからもドバイワールドカップ(G1)を優勝している名馬であります。産駒につきましても、高知競馬の三冠に輝いたプリフロオールインを送り出しただけでなく、多くの活躍馬が誕生しています。生産者の方にはサブノジュニアと同様に親しみを持っていただければと思います。そして、今日お越しになった方はウインバリアシオンの展示を楽しみにされていると思います。このような形でスプリングファームさんと共催できたことは本当に良かったと思いますし、今後は今日、ここでご覧いただけた子供たちを応援していただければとも思います」とサブノジュニアとアニマルキングダムの導入について語った。
続いて挨拶に立った、東北軽種馬協会の山内正孝会長は、「これほどまでにファンや生産者の方が青森県にいらしたのかと、地元の生産者の1人として驚いています。普段の展示会ではなかなかない共催という形にはなりましたが、これからも青森産馬を応援していただきたいと思います。JBBAの新種牡馬は2頭となりましたが、NAR年度代表馬に輝いたサブノジュニアは私も大きく期待している種牡馬であります。昨年からダート三冠レースが体系付けられたことで、ダート馬にとっては更なる飛躍の舞台が出来上がりました。これまでの傾向を見ても青森産馬はダートで強い馬を送り出しているだけに、更にそれに磨きをかけられる存在になってくれると思います。最近は青森産馬の活躍が少なくなっていることに寂しさを感じていられるファンの方も多いかと思いますが、サブノジュニアとアニマルキングダムの導入で起死回生を図っていきたいと思いますので、皆様からのご支援やご声援もよろしくお願いいたします」と青森の生産界へのエールも熱望していた。
最後に挨拶へと立った、スプリングファームの佐々木拓也代表は、「本日はお忙しい中を皆様にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本当にいい天気になった中を、種牡馬4頭のお披露目ができるのは、とても幸せなことだと思っています。今日はこの場所にウインバリアシオンとオールブラッシュの2頭を連れてまいりました。スプリングファームとしては当初より青森県における新種牡馬にこだわって、荒谷牧場さんと共に種牡馬事業を行ってきました。ウインバリアシオンに関してはJRAでのオープン馬も送り出しており、今日の阪神競馬場リニューアルオープン記念には、ハヤテノフクノスケがオープン入りをかけて出走します。このレースを勝てれば天皇賞(春)(G1)への出走も見えてきますし、将来的には大きなところを狙える馬になると思います。オールブラッシュは昨年、初年度産駒がデビューしており、産駒数は少ないながらも、好調な産駒成績を残しています。この2頭は日本軽種馬協会の繋養種牡馬と共に、青森県の馬産振興のために頑張っていきたいと思いますので、ここにお集まりの皆様も、青森の生産馬たちにご注目いただければと思っています」と語っていた。3人の挨拶の後は、フリーアナウンサーの小木曽なつ美さんの進行の元、アニマルキングダム、オールブラッシュ、サブノジュニア、ウインバリアシオンの順番で展示が行われていった。
アニマルキングダムとサブノジュニアの展示に際しては、七戸種馬場の野田龍介場長が、来場者への挨拶と解説を行った。
「アニマルキングダムは当種馬場の屋台骨として、東北地区のサラブレッド生産を支えていくことになると確信しています。本馬のセールスポイントは雄大な馬格と馬場不問の適性能力の高さと言えます。サブノジュニアもまた、アニマルキングダムに負けず劣らずの好馬体をしており、父サウスヴィグラスから譲り受けたダートスプリンターとしての適性の高さがポイントとなります。東北地区のサラブレッド生産に新たな風を吹かせてくれる存在になるとの期待をしております」と野田龍介場長は2頭ともに好馬体の持ち主であることをアピールしていた。オールブラッシュとウインバリアシオンの展示に際しては、佐々木拓也代表が解説を行っていた。
「オールブラッシュが青森に来た時から非常にあか抜けた馬体をしており、見た瞬間からいい馬だなと声が漏れた程でした。騎乗してきた騎手の方たちからは、首の強い馬であるのを強調されてきましたが、その首の強さが速さの根源となっているとも聞いております。父ウォーエンブレムにとっては世界唯一の後継種牡馬でもあるだけに、この血を絶やすことなく、父系や母系のいずれかでオールブラッシュの名前を残してもらいたいです。ウインバリアシオンは歩様を見ていただいてもお分かりになると思うのですが、非常に身体が柔軟で、見た目にはぐにゃぐにゃと言ってしまえるほどに柔らかい馬です。このあたりは父のハーツクライだけでなく、曽祖父のトニービンの影響も出ているのではと思います。また体型は胴伸びに加えて体高もありますが、『ウマ娘』ではライバルのオルフェーヴルの方が大柄になっていました。そして『ウマ娘』の中ではリンゴのチップスを食べていましたが、実はリンゴが嫌いです(笑)」といったエピソードトークを話すと、詰めかけた競馬ファンからは笑いも起こっていた。
展示会の後、オールブラッシュとウインバリアシオンの2頭は、七戸種馬場の馬房内において撮影会も行われ、多くのファンが時間の許す限り写真撮影を行っていた。