馬産地ニュース

アロースタッドで種牡馬展示会が開催される

  • 2025年02月10日
  • 展示会の最初に姿を見せたシニスターミニスター
    展示会の最初に姿を見せたシニスターミニスター
  • 芦毛の馬体が白さを増してきたリュウノユキナ
    芦毛の馬体が白さを増してきたリュウノユキナ
  • 兄もアロースタッドに繋養されていたレッドベルオーブ
    兄もアロースタッドに繋養されていたレッドベルオーブ
  • 新種牡馬ながらキャリアは充分のパールシークレット
    新種牡馬ながらキャリアは充分のパールシークレット
  • パールシークレット導入の経緯を語った、大狩部牧場の下村優樹代表
    パールシークレット導入の経緯を語った、大狩部牧場の下村優樹代表
  • 今年、待望の初年度産駒がするダノンプレミアム
    今年、待望の初年度産駒がするダノンプレミアム
  • 厩舎猫のおにぎりも、配信を見ていたファンに向けて手を振っていた
    厩舎猫のおにぎりも、配信を見ていたファンに向けて手を振っていた

 先に種牡馬展示会が行われていた日本軽種馬協会静内種馬場に続き、2月7日の午前10時からは、新ひだか町のアロースタッドで種牡馬展示会が開催された。

 この日は28頭の繋養種牡馬が展示されたが、その最初に姿を見せたのが、アロースタッドスタリオンズの大エースでもあるシニスターミニスターとなった。

 確固たる種牡馬実績に後押しされる形で、今年の種付料は供用18年目にしてキャリアハイとなる800万円(受胎条件)の設定がされた。本年で22歳となった年齢を考えても、この評価には驚かされるが、さらに驚くべきは既に配合申し込みが満口となっていることだろう。

 キャリアを重ねてきた中で、アロースタッドでの親子繋養となったテーオーケインズなど、後継種牡馬も続々と誕生し、その優秀な血を更に広げている。それでも晩年の最高傑作と言われる産駒は、これから誕生してくるのではといった期待を持たせてくれる。

 シニスターミニスターの展示の後には、今シーズンから導入された3頭の新種牡馬がお披露目された。

 その中で最初の展示となったのは、2021年と2023年の東京スプリント(Jpn3)、そして2021年のクラスターカップ(Jpn3)を優勝したリュウノユキナ。2歳時から9歳まで、息の長い活躍を続けただけでなく、G1/Jpn1で9勝をあげたヴァーミリアンの後継種牡馬でもある。そのヴァーミリアンも8歳まで息の長い活躍を見せていただけに、リュウノユキナの産駒もダートを中心に息の長い活躍を期待したくなる。

 新種牡馬では2頭目に展示されたのが、デイリー杯2歳S(G2)を制したレッドベルオーブとなった。そのデイリー杯2歳S(G2)だけでなく、2歳未勝利戦でもレコード勝ちをあげたスピード馬であり、また、そのレースでは後の朝日杯フューチュリティステークス(G1)の勝馬であるグレナディアガーズも破っている。仕上がりの良さ、スピード能力の高さと、現代の種牡馬にとって必要不可欠な要素が揃っているだけに、3年後のフレッシュサイアーではダークホース的な存在ともなりそうだ。

 そして、新種牡馬ながらに圧倒的な風格を備えていたのが、本年で16歳となるパールシークレット。2017年にイギリスで種牡馬となっており、産駒は芝の短距離重賞で活躍した父を彷彿させるかのように、芝のスプリントで良績を残している。

 展示に際しては、導入に深く関わってきた大狩部牧場の下村優樹代表が、自らマイクを持ってその経緯を話した。

 「16歳のニューフェイスです。生産者として、そして獣医師として、健康かつ丈夫で。速く走れるサラブレッドを生産、育成できるかということを、日々自問自答しています。
 その一方で心身の頑健さと、速く走るための資質を一つの括りにするのは非常に難しいのも事実です。心身の頑健さと、速く走る資質を併せ持たなければ、サラブレッドとして成功せきないと信じております。
 健康面においては、なるべく遠い血脈とのの配合を試みます。近い血脈との間に生まれた本能的な種としての機能的閉塞を避けつつ、主流血脈を母系からの恩恵を得るということが必須化と感じております。
 日本には古くから代々受け継がれている日本古来の血脈もあります。そこに北米や南米、そしてヨーロッパといったサラブレッド生産国の血統が導入され、配合を重ねられながら、この地で牝系を発展させていると思います。
 パールシークレットにとっては、これまでにない経験だと思います。これまで配合してきた血脈とは全く異なる繁殖牝馬と交配できることで、多くの可能性を秘めていると感じております。
 パールシークレットの身体面からお伝えすると、現在の競馬に適応するにはスピード力が必須かと思います。産駒にスプリント力を注入し、どの国においても戦える、そういう血が必須かと思います。
 サラブレッドのスピード、そして推進力の根源はトモにあります。ここで細かく伝えることはできませんが、筋肉量にも証明された豊富な容積と、そのトモをどれだけ機能をさせることができるかということが、大事となってきます。
 トモの容積はご覧いただければ一目瞭然かと思います。現在、日本で繋養されている提供されている種牡馬たちの中でも、後躯の容積という面ではトップクラスだと思っています。そのような期待を込めて導入しました。
 向こうで輩出されている産駒も見てきました。各々のパーツが明瞭で、かつ頑健であります。かつ、パールシークレットのチャームポイントとも言える、お腹の下にある斑色も遺伝してる産駒が多く、非常に優れた資質を感じております。
 弊社としても、多くの繁殖牝馬を配合させることで、バックアップを図っていきたいと思います。パールシークレットとは日本語で『秘密の真珠』という意味があります。皆様、ご検討をよろしくお願いいたします」

 パールシークレットは世界的に見ても、貴重なバイアリーターク系~ヘロド直系子孫の種牡馬でもある。日本への導入に際してはRacing Postでも取り上げられたほどに世界から注目もされているだけに、この後、どれだけこの血脈を繁栄させてくれるか楽しみでならない。

 シニスターミニスターと、新種牡馬3頭の展示の後には、今年産駒デビューのフィレンツェファイア、セイウンコウセイ、アスクピーターパン、ダノンプレミアムと、今年初年度産駒をデビューさせる種牡馬4頭の展示が行われた。

 その後は昨シーズンから繋養された、カフェファラオ、テーオーケインズ、ファストフォース、ユニコーンライオン、そして、シャトルサイアーとして渡ったオーストラリアでは、112頭の繁殖牝馬に配合を行ったパンサラッサも展示されていった。

 今年の種牡馬展示会も(株)ジェイエスのYouTubeチャンネルと、ニコニコ生放送での映像配信が行われており、カリフォルニアクロームが画面に映し出された時には、「クルーミー」と言われる海外の熱狂的なファンからの書き込みも相次いだ。

 種牡馬展示会では唯一の映像配信が行われている、アロースタッドの種牡馬展示会だが、淀みないカメラワークや、種牡馬スタッフのしっかりとしたハンドリングもあって、画面越しにも会場にいるような臨場感のある展示が伝えられていたに違いない。

 1時間を超える種牡馬展示会の後には、スタリオンスタッフと、事務局の(株)ジェイエスの職員が集まり、配信が行われていたカメラに向かって手を振っていた。その際には書き込みで「ありがとうございます」「楽しかったです」といったコメントが次から次へと書き込まれていた。

 この種牡馬展示会の模様は、(株)ジェイエスのYouTubeチャンネルのアーカイブ(https://www.youtube.com/watch?v=VRH2IScAIZM)で映像を見ることができる。