優駿スタリオンステーションで種牡馬展示会が開催される
2月6日、新冠町の優駿スタリオンステーションで種牡馬展示会が開催。新種牡馬のセリフォスに加えて、社台スタリオンステーションからの新入厩馬となるニューイヤーズデイ、浦河町のイーストスタッドから2年ぶりに移動してきたホッコータルマエなど、29頭の繋養種牡馬の展示が行われた。
今年の種牡馬展示会でのトップバッターを務めたのは、昨年の12月27日にスタッドインしたセリフォスとなった。展示に際しては現役時の管理調教師だった中内田充正調教師も駆けつけ、生産者に向けてのアピールを行った。
「最初にセリフォスを見せてもらったのは1歳の春となります。その当時からあか抜けた馬体をしており、生産者である追分ファームさんも期待の一頭であることが、その時点から分かりました。その後の初期馴致や騎乗育成でも期待通りの動きをしてくれただけでなく、デビューまでスムーズに進められました。入厩は2歳の4月となりましたが、ウチの厩舎では一番早い組となります。その頃から期待通りのスピードに加えて、パワーも申し分なかったです」(中内田充正調教師)
期待通りに新馬戦を勝利したセリフォスは、続く新潟2歳S(G3)、そしてデイリー杯2歳S(G2)と重賞を連勝。朝日杯フューチュリティS(G1)でも1番人気の支持を集めるも、ドウデュースの2着に敗れる。
「負けた相手が世代を代表する競走馬となったように、後のことを考えれば仕方のない敗戦だったとも言えます。3歳時はメンタル面の幼さがスピードコントロールの難しさともなっていましたが、NHKマイルC(G1)の走りは良かっただけでなく、安田記念(G1)でも古馬相手に頑張ってくれました。秋には心身ともに成長を遂げると、富士S(G2)に続いてマイルChS(G1)も後方一気の末脚で優勝してくれました」
このマイルChS(G1)ではメンバー中最速の末脚を使ったセリフォスであるが、2着のダノンザキッド、3着のソダシといったG1馬を一気に交わしていった瞬発力は桁違いだった。
「この瞬発力を生み出しているのは、セリフォスのしなやかな動きのなせる業だと思います。2歳から3歳にかけてトップパフォーマンスを見せただけに、早熟かなとも思われがちですが、年齢を重ねるごとに馬体は確実に成長を遂げていき、500kg前後の馬体重で競馬をしてくれていました。引退レースとなった阪神C(G2)は初めての芝1,400mでしたが、距離の変化にも対応してくれた姿からしても、スプリントといった条件でも力を発揮してくれたのではと思います」
そう話した中内田充正調教師は種牡馬セリフォスに対して、様々な可能性を感じ取っている。
「自身のような仕上がりのいい産駒だけでなく、スピードに加えてパワーも兼ね備えているので、芝とダートの双方で活躍してくれるのではないかと思っています。是非とも生産者の皆さんからのご支援と応援をよろしくお願いいたします」
セリフォスの後には、昨年の11月22日に安平町の社台スタリオンステーションから移動してきたニューイヤーズデイが展示された。
先に繋養された海外では、フロリダダービー(G1)などG14勝をあげたマキシマムセキュリティを送り出して注目を集めると、2020年シーズンからは国内で繋養。次の年に誕生した初年度産駒からは、兵庫ChS(Jpn2)を優勝したエートラックス、2年目産駒からはエーデルワイス賞(Jpn3)に続いて全日本2歳優駿(Jpn1)も制したミリアッドラヴが送りだされている。2024年には154頭に交配を行っており、今シーズンも好調な産駒の活躍を受けて、配合申し込みは満口となっている。
3頭目の展示となったのは、国内でシャトル種牡馬となっているホッコータルマエ。それも生産界からの需要が高い証明ともいえる。その評価の高さに応えるかのように、昨年のNARリーディングサイアーでは2位。また地方の2歳サイアーランキングでは首位となっている。
地方における2歳戦の活躍にも証明されているように、産駒はダートの短距離戦でも勝ち鞍を増やしている。そこに毎年多くの産駒を送り出している層の厚さが加わってくれば、NARリーディングサイアー首位も射程圏に入ってきそうだ。
この3頭の後にはミッキーアイル、アジアエクスプレスといった実績のある種牡馬が展示され、その後にジュンライトボルト、ヴェラアズール、オナーコード、ウエストオーバーと、今年待望の初年度産駒が誕生する種牡馬4頭が展示。その後には1歳世代が初仔となるインティ、アルクトス、チュウワウィザードが姿を見せると、昨年の1歳市場でも産駒が高い評価を受けていたインディチャンプや、ワールドプレミア、サトノジェネシス、リオンリオンと、今年産駒デビューを迎える種牡馬が展示されていった。
1時間を優に超えた展示会の大トリに姿を見せたのは今年22歳となるヘニーヒューズ。22歳の年齢を感じさせないほどの筋肉質で逞しい馬体を誇示するように周回を重ねていく。そのヘニーヒューズも配合申し込みは既に満口となっているように、年齢を重ねても種牡馬としての人気に陰りは見られない。
昨年は31頭の繋養種牡馬で1,738頭の配合を行った優駿スタリオンステーションの種牡馬たちだが、充実したラインナップとなった今シーズンは、その数字を超える配合頭数も期待できそうだ。