獣医師対象の実習つき講習会が行われる
11月29日、新ひだか町静内田原にある公益社団法人日本軽種馬協会(以下JBBA)静内種馬場研修所と軽種馬生産技術総合研修センターにおいて、獣医師対象の実習つき講習会が行われた。
この講習会はJBBAが主催。NAR地方競馬全国協会の補助を受けて実施する軽種馬経営高度化指導研修事業の一環で、講師に米国のエリザベス・サンチ獣医師が招かれた。
講習会には胆振や日高から約100人の獣医師が出席。主催者を代表してJBBA静内種馬場遊佐繁基場長は「今回の講習会では若齢サラブレッド競走馬における下肢部のX線画像の見方についてと題して、若馬の整形外科疾患の外科的治療を専門とするエリザベス・サンチ先生にご講演いただきます。サンチ先生はイリノイ大学獣医学部を卒業後、フロリダ州オカラにあるピーターソン・スミス・エクワインホスピタルにて馬外科専門医としてのキャリアをスタートされ、約40年にわたる馬外科医としての経験をお持ちです。1991年以降はパデュー大学をはじめ、いくつかの大学で勤務され、馬の若齢期の整形外科に焦点を当てた臨床研究に取り組んでこられました。また、実践的な整形外科研究にも積極的に取り組み、論文や書籍など200を超える出版物を発表されています。とくに、軟骨下骨嚢胞などの難治性疾患に対する管理や治療のために開発された新しい技術は高く評価されており、骨嚢胞の治療に関しては世界をリードする存在です。さらに、20年以上にわたりプレレポやせりでのレントゲン画像の読影や画像診断のコンサルタントとして活躍され、現在も複数の馬診療所でコンサルタントとしてご活躍中です。今回の講習会は北海道農業共済組合日高支所家畜高度医療センターの宮越大輔獣医師が企画し、時間をかけて準備をして実現したものです。11月26日は東京で、27日は茨城県の美浦で、昨日は新冠町で生産者向けに講演し、今回が最後になります。午前中は講義、午後からは実習と長丁場の講習会になりますが、有意義な機会になることを期待しています」とあいさつした。
講師を務めたエリザベス・サンチ獣医師は、午前中の講義で出生後の馬の後膝の発達と成長、大腿膝蓋関節滑車稜病変のX線縦断像、若齢馬における大腿骨内側顆透過病変の治療について講演。午後からの実習では実習用の脚をサンプルに用いて骨嚢胞の螺子固定術の見本を示した。